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『中華モード 非常有希望的上海台湾前衛芸術大饗宴』

久々に中華本の感想。帰省時の移動を利用して読みかけだったこの本をやっと読了したのだー。

 中華モード 非常有希望的上海台湾前衛芸術大饗宴(TH叢書№20 アトリエサード)

 7年前、映画界からは当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった王家衛と文学界からは『赤いコーリャン』の原作者として知られる莫言をフィーチャーし、両者の作風に共通する「ラテンアメリカ的ムード」をキーワードに中華圏ポップカルチャーに迫った『ウォン・カーウァイ×モー・イェン』を発行した「トーキングヘッズ叢書」が再び挑んだ中華文化本。このシリーズの他のラインナップを見ると、フィリップ・K・ディック、アン・ライス、ダニエル・キイスといった個性派作家から、日本の90年代Jカルチャー、英国、パリ、ゲルマン文化に人形、そしてゴシックとかなり個性的に展開している(ここしばらくはゴシック路線らしく、次号の特集は“少女”だとか)。そんな路線の延長線上に中華文化が語られるとなると、相当先端的になるかもしれない。先端的になればなるほど、ワタシのような電影系中華趣味人間には知らないことや興味深いことも多くなってくるが、エロ系やキモ系に行き過ぎるとちょっとひくかも…なんて思いながら読んでみた。

 中華文化でも特に台湾と上海をフィーチャー。アート系に強いこのシリーズらしく、巻頭は上海&台湾の最新現代アートをご紹介。あまり日本で中華圏の現代アートを見る機会がないので、これをいいサンプルとして今後チェックしていきたいかも。
 でも、中華趣味人間でもやはり影迷であるもとはしは、久々に名前を拝見した“日本一の舒淇者”こと杉山さんの台湾映画レポート(&すーちーを始めとした台湾明星&監督インタビュー集)や稲見さんの台湾ポップス(陳昇&王力宏)レポートを興味深く読ませていただいたのだった。現在かなり深刻な事態にあるという台湾映画のここ数年の流れやワタシが気に入っていた台湾映画『熱帯魚』&『ラブゴーゴー』を作った陳玉勲監督の近況(監督第3作の製作に入れず、現在はCF製作を中心に活動しているとか)を知ることができたし、台湾映画界を代表する俳優戴立忍(レオン・ダイ。出演作品としては金城武が演じた主人公の中年期を演じた『君のいた永遠』やレオン・カーファイ主演の『ダブルヴィジョン』が日本公開済)が台湾映画の今後にかける想いなどを読んでウンウンとうなずいたもんだった。ちなみに台湾映画の記事内ではもちろんホウちゃんこと候孝賢監督についても触れられていた。すっかり台湾映画界のゴッドファーザーなんだな、ホウちゃん。日本では「台湾フェミニズム文学の旗手」として紹介される李昻についての評論(by上野千鶴子氏!そーいえば李昻さんって吉本ばななと対談したことあるのねー)も興味深く、台湾特集には力が入っていた。でも、でも、おそらくこのシリーズのカラーとあわないのは承知なんだけど、現在の台湾ポップカルチャーを引っ張っているといっても過言はない、未だに日本ではまだまだ無名のF4を、日本マンガ原作の台湾TVドラマと絡めて紹介したり、台湾における金庸人気と映像作品(リッチー・レン&アニタ・ユンの《笑傲江湖》など。笑)についてのコラムなんかも欲しかったかなーなんてさりげなく意見を言ってみたりして。
 ついでにもうちょっと意見を申し上げると、紀平重成氏が毎日インタラクティブのコラムで紹介していた(すでに記事が削除されてたのでリンク貼れなかったのですが…)藤井省三先生の「現代中国の映画と小説」受講生による2003年度中国語圏映画ベスト10紹介は興味深く読んだのですけど、これ以外の中華圏(先に挙げた台湾映画は除く)映画に関するコラムの内容が…。まぁ、『無間道』なんかは思い入れの強い迷以外だと、ああいう見方になるのはしょうがないのかなぁ、なんて改めて思ったもんだけど。それでも「これ中華圏ものと関係ないのでは?」っていうもの(具体的には書かないが)もあったし…。まぁ、これはある熱狂的中華電影迷のたわごとなので、そのへんの文句は勘弁してちょー。

 今や日本だけでなく、アジア圏では“韓流”の嵐が吹き荒れ、ぺ様だドンちゃんだビョン君だと世間は大騒ぎしているけど、やっぱり中華圏カルチャーは不滅だ(当たり前だってば)。もちろん韓国を始めとしたアジア諸国にも目配りするものの、今後も中華アートを始めとした中華ポップカルチャーに一層注目していかなきゃなぁ。

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