« 2004年4月 | トップページ | 2004年6月 »

2004年5月

『男たちの絆、アジア映画』に思ふ。(その1)

 先週半ばの新聞広告で気になっていた本。それがnancixさんのところで取り上げられ、幾つかの中華電影好きblogでも話題になっていた最中、bk1で頼んでいたのが届いたのでやっとのことで読了。このエントリーはなんだか長くなりそうなので、とりあえず連載方式で(笑)。

『男たちの絆、アジア映画 ホモソーシャルな欲望』四方田犬彦・齊藤綾子編(平凡社)

 小説にしろ映画にしろドラマにしろ恋愛ものやトレンディものは好きではないし、ホラーも嫌いでハリウッドの大味アクションものはいい加減食傷気味。ミステリー小説は濫作気味に感じるので自分の琴線に触れるものしか読まない。こんなふうに基本的に飽きっぽいワタシなのだが、梁朝偉迷と香港映画迷だけはなぜか飽きずに続いている。巷で流行の「萌え」という言葉は「キムタク」という略称と同じくらい(だからなぜこれと比べる?)好きじゃないのであまり使いたくないけど、自分はこれらの何に「萌え」ているのだろう。恋愛ものでも『☆月』よりは『金枝玉葉』や《天下無双》のようなジェンダーパニックもの、それよりは『ブエノスアイレス』や『美少年の恋』のような同性との恋愛から異性愛では見えない恋愛の普遍性を描いたものにひかれるし、(これは日本では『風と木の詩』に見られるというので、ワタシは『ブエノス』を観た際に友人から『風木』を薦められて読んだという、きわめて珍しいパターンを踏んでいる。多分こんなヤツはワタシくらいだ)ムダは殺し合いは嫌いよーとか言いつつも、香港時代のジョン・ウー監督の作品群に現れるアウトローの男たちの熱い友情とそこから生まれる連帯感や友愛には女性であるワタシも胸を熱くしてハマりまくった。(余談・ハリウッドへ行ったウーさんも『フェイス/オフ』まではこのトーンを保っていたものの、某トムクルプロデュース&主演の『M:i-2』以降はすっかりトーンダウン。今年中にクランクイン予定という《華工血涙史》にて、チョウ・ユンファ&ニコラス・ケイジの男の友情が観たいのだが、予定は未定だろうなー)ウーさん不在の今も、ジョニー・トゥやアンドリュー・ラウが“ダーク・トリロジー”や《無間道》3部作でこの路線を継承しており、ワタシの胸を熱くさせてくれる。
 さて、今書いた前者の『ブエノス』『美少年』と後者のウーさんやトゥさん、アンドリューさんの作品群の共通点と相違点は何か?共通点は男たちが物語を引っ張っていくこと。そして相違点は、前者の世界観には恋愛感情のあるホモセクシュアルがあり、後者には基本的に恋愛感情がないホモソーシャルな世界観があるということだ。そして、この本ではアジア映画に見られる「ホモソーシャル」を発見して理解することを学ぶ目的でまとめられている。

 個人的に「ホモソーシャル」という言葉は珍しいものではない。雑誌「文学」や「國文学」ではしばし「文学上のセクシュアリティ」に関する特集が組まれ、その中に登場したので、ワタシは職場で購入していた雑誌を読んでホモソーシャルについて学んだ。適切な日本語がないということなので、強引に説明していけば同質なものだけで構成された集団やそこで結ばれた人間関係のことを言うとか。例としてよく挙げられるのは新選組、大日本帝国軍、男子校などか。もしかしたらプロ野球チームやサッカーチーム、某事務所なども含まれるのか?
 これらの集団はしばし腐女子の「萌え」の対象にされ、同人誌ではホモエロティックな脚色をされる(とか書いたらマジな新選組迷や某事務所タレント迷などに殺されそうかも…)が、腐女子的傾向のあるように感じるもとはしでも、非常に日本的なこれらの集団とそのパロディには全く反応できなかった。(それはワタシが倒幕派好きのアンチ新選組傾向で、かつフィクションでも戦争&軍隊ものが大嫌いだっていう個人的事情があるからなんだが)しかし、『狼』や『ハードボイルド』で登場するユンファと敵対するダニー・リー、あるいはトニーとの間に漂う奇妙な連帯感や『ハードボイルド』でのアンソニー・ウォンたち黒社会の面々がトニーに多大に興味を抱くくだりには妙にエロティックなものを感じた。なぜなのだろう?それは日本的じゃないから?トニーにはそーゆーものがハマるから?いや、それは違うのではないか。…そんなことを思いながら読み始めた。

 この本で取り上げられているのはアジア映画論の大家四方田氏による日活アクション映画論(タイトルの『トニーとジョー』はトニーこと赤木圭一郎の歌にちなんだもので、堤幸彦監督作品『溺れる魚』にて、宍戸錠オタクな刑事役の椎名桔平が相方刑事役のまだ髪のあった窪塚洋介を従えて歌ってた印象が強烈)に始まり、もう一人の編者で映画評論家斉藤綾子氏による東映ヤクザ映画での高倉健論、ホモソーシャルを描いた代表的作品、夏目漱石の『こころ』の映像化作品と鈴木清順監督作品『ツィゴイネルワイゼン』を分析したホモソーシャリティ論、『カル』と『JSA』から探った韓国社会のホモソーシャル論、そして中華電影からは『覇王別姫』と『ホールド・ユー・タイト』等の作家性の強い香港映画、いわゆる“香港ノワール”映画に見られるホモソーシャル論までをとりあげ、東アジア的なホモソーシャルの描かれ方を丁寧に分析し、論じられている。その詳細な分析と考察に、思わずため息が出てしまい、ああ、ワタシも学生だったらこーゆー研究がしたかった…などと今さら役立たずな後悔をしたのだった。

 とまぁ、あまり長くなるのもなんなので、今日はこのへんで。この論文集の中からは当然、中華電影論文について思うことを書きますね。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

豆腐花を作ってみた。

tofufa.jpg

 いわゆる“豆乳プリン”のことを、香港の糖朝ではこう言います。また、この豆乳プリンにフルーツ系シロップやチョコソースをかけて食べる“豆花”というデザートは台湾でよく食べられます。てなわけで作ってみました。めざせ唐朝の豆腐花、または台湾甜品の豆花!

 今回は、以前作った牛乳プリンのレシピを応用して作ったので、ここにレシピを簡単に書いてみます。(200ccの器2~3個分)
 結果どうなったかはこのあとすぐ!

 1、鍋に豆乳300ccを入れてグラニュー糖30gを加え、弱めの中火にかける。途中、はちみつを少々加える。
 2、へらで静かにかき混ぜながらグラニュー糖を煮溶かし、沸騰する前に火から降ろす。すぐに鍋底を氷水を入れたボールで冷やし、粗熱をとる。
 3、別のボールに卵白1個分をよくときほぐし、2の豆乳を加え、泡だて器で静かにかき混ぜる。(泡立てないよう注意)
 4、3をいったん裏ごしし、器に流しいれる。器にアルミホイルでフタをし、蒸気の立った蒸し器に入れて中火で12分ほど蒸す。蒸しあがったかどうかは器をひとつ取り出して大の上でくるりと回した時、同じ方向に回るかどうかでみる。回れば出来上がり。
 
 …で、どーなったかというと、柔らかめでした(がくし)。いや、ドロドロってわけじゃないんだけど、ムースっぽい仕上がりだったんっすよ、コレが。これなら卵白の代わりににがりを使ってホントに豆腐の作り方で固めてみようかなー。

 ただいま冷蔵庫にマンゴープリンが入ってます。これも食べたら記事にしますねー。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『レスリーの時間(とき)』

 レスリーの死から1年が過ぎ、当時は言えなかったけど今だからこそやっと世に出ることができた逸話は幾つもあると思う。そんな話がいくつか語られているのがこの本。

『レスリーの時間(とき)』志摩千歳著(産業編集センター)

 やっと落ち着いたので、今読んでいる『鹿鼎記』を一時中断して一気読みした。著者はいまやすでに伝説と化した1000人切りサイン会などで知られる、同社出版の2冊の写真集の制作でレスリーに深くかかわった編集者(だと思うのだが…プロフィールくらい載せてほしかったです志摩さん。もしかしたら載せるといろいろとまずいことが起こるのかと思ったのかもしれませんが)。レスリーを尊敬してはいるものの熱烈なファンじゃないワタシだが、最初の写真集制作から彼が自らの人生に幕を引くまでの5年間、日本主体で写真集を発表するなどの活動に力を入れたのはなぜなのかと言うことを疑問に思い、追悼の意味でこの本を買って読んだ。-読んでよかったと思った。

 著者の志摩さんは熱烈なレスリー迷ではないとのことだから、非常に落ち着かれた様子で文章を進めている。これくらい冷静だと安心して読めるが、レスリーの表情の描写は妙にリアル。ファンじゃなくてもドキッとさせられる。一見自由奔放に見えるけど、実はすっごく繊細だったり、そうかといえば自分であれこれブリブリ怒ったり、でもしばらくすればすぐに忘れて宣言撤回してしまうようなお調子者っぷりを見せたりと、レスリーの心はくるくる変わる。その姿は孤高で気高いまさにお嬢な明星レスリー像を勝手に作り上げていた人間から見れば腰が砕けてしまいそうに人間くさい。そんな中でも映画も含めた香港娯楽界に対する失望と自由の国日本に対する憧れを語るくだりでは、そこで言及される香港映画界への絶望が妙に現実的な話だったので電影迷やってるこっちも一緒になって凹むのであった。…でも、この写真集の前に撮影していたあの『☆月』に関してはいったいどう思っていたのだろうか…。あの映画がトラウマなもとはしにとってはそこが気になるし、レスリー自身も『電影双周刊』のインタビューであまりいいこと言ってなかった記憶があるので。
 最初は軽い気持ちで提案された'99年春の東京でのサイン会が、いつのまにかあんな巨大規模なイベントになってしまったこと。日本でも発売されていない写真集の詳細が、香港の新興新聞紙にすっぱ抜かれて香港サイン会が中止寸前まで追い込まれたことはこの本で初めて知った。どの国でもスターのゴシップを面白おかしく報道したり、不必要に持ち上げてはバッシングしたりするのは共通しているが、やはり香港ゴシップ界は恐ろしい。実力がある明星を素直に認めず、ちょっとしたこともへんな方向に曲解してしまう(先日もカンヌ帰還直後のトニーのコメントに「14歳の小影帝に負けた偉仔、『14歳に演技できるの?』と納得いかず」とかキャプションつけたりするのもどーかと思うしな!)から厄介だ。それに加えて2度目の写真集プロモ時には熱狂的なフーリガンのような迷たちの激しい追撃もあったというから(先月の某ぺ様来日の騒ぎもこんなのだったのだろうか?)、レスリーやるのも大変だよな、と思った次第(やや意味不明な述語。なんなんだこの結び方は)。
 ここで個人的な思い出を書いてしまうが、最初のサイン会の時に映画サークルの迷である友人が3人ほど行くと言うので、ワタシを含めた非レスリー迷3人がそれに便乗し、「レスリーサイン会に行く人とそれを見守る東京ツアー」を組んで6人で上京した。先着1000名整理券発行に間に合わせたい迷の3人は前日の夜行バスで上京し、非迷3人は朝イチの新幹線に乗り、整理券をゲットした彼女たちと国際フォーラムで待ち合わせしたのだが、午前10時の丸の内、箱舟型のガラスタワーをぐるりと囲む1000名以上のレスリー迷たちの姿を見て、我々は唖然とするばかりだった…。むむむ、恐るべしレスリー迷の力。それでもなんとか写真集にサインしてもらい、幸せ気分でハイになる友人たちとともに夕食し、ホテルの部屋で写真集をサカナに、みんなで酒(お茶だったかも)を飲んでツッコミまくっていたのはいま思い出してもとても楽しい出来事だった。
 そんなふうに我々が盛り上がっていた同じ東京の空の下で、レスリーは唐さんや志摩さんといろんなことを語り合い、未来を夢見るひとときを過ごしていたようだった。自分の映画を作りたい、映画のメイキング本も作りたい。そんな夢があったのに、その夢を実現できぬまま、4年後の春に彼はこの世から姿を消してしまった。明星迷に電影迷はもちろん、映画の神様や歌の神様からも愛される素質があった(と思う)レスリーは、私たちが愛しても決して理解できない悲しみを抱いていたのだろうか。やはり、自分の心の悲しみは自分にしかわからないのだろう。そんなふうに思うしかない。
 また、レスリーは「香港にはほとんど夢を抱いていない」といったそうだ。その発言は、香港と香港電影に夢中なワタシにはちょっとショックなものだった。それはビジネス面で、という意味合いがあったのだろうけど、文化的にはまた違う考えを持っていたのかもしれない(そのへんはよくわからないけど)。近年では売れ行きが二分化されてしまっている香港電影界の状況を思うたび悲しく感じてしまっていたので、レスリーほど実力があって、状況もよく考えてくれた人だったからこそ、香港映画にカンフル剤を打つような映画を香港で撮ってほしかったのだ。でも、それも見果てぬ夢になってしまったのね。

 ワタシは決して熱狂的迷ではなかったので、今はもう全然悲しくない。でも、時々映画を観たり、この本をチョコチョコ読み返したりして、彼に思いを寄せたい。それがいい供養になるかな。 

 最後に紀平重成さんによるこの記事を。泣かされます。
 

| | コメント (0) | トラックバック (1)

♪えぇいあぁ~、ほったら~♪

 意味不明なタイトルで失礼。前半はお気づきの人もいるでしょうが、後半のフレーズは後ほど触れます。

 カンヌ疲れ(こらこら)でへばっていたところ、こんな楽しいニュースが入ってきました。今年のカンヌ映画祭に作品が選ばれなくてがっかりしていた、ホウちゃんこと候孝賢監督のCM話です。なんと、主演は『珈琲時光』のヒロインだ!(おい、素直に一青窈って書こうよ>もとはし)

 一青窈CMデビュー!歌と出演 父の故郷台湾で「一番搾り」

 

歌手の一青窈(27)が日本より一足先に父親の故郷である台湾でCMデビューすることが26日、分かった。日本のビール会社「キリンビール」の合弁会社で台湾に拠点を置く「台湾麒麟ビール」のビール「一番搾り」に出演、CMソングも歌う。CM監督は初主演映画「珈琲時光」も手がけたホウ・シャオシェン氏(57)。27日から台湾全土でオンエアされ、日本でもインターネットで期間限定公開される。

 台湾人の血を引く一青窈といえば、♪えぇいあぁ~の他に『大家』など北京語も交えた曲も歌っているから、それほど縁遠い存在とは思えない。でもホウちゃんに気に入ってもらえたってのはスゴイな。ホウちゃん、いつか一青小姐とトニーを共演させてあげて下さい。トニーにとってはきっとあの方との共演よりずーっといいはずです(こらこら!)あーんど『珈琲時光』もそれなりに楽しみじゃ~。

 ホウちゃんは台湾麒麟ビールのCMをよく撮っているようで、タイトルのフレーズに挙げた♪ほったら~は台湾語で「飲もう」という意味で、5、6年前にホウちゃんが作ったCMで使われたという曲らしい(映画『ゴージャス』の冒頭、すーちーの父親役陳松勇さんのレストランで歌われた歌と同じ)…のですが、すみません、歌手名等失念しました。誰かご存知の方フォローお願いいたします(^_^;)。

ともかく、ネット公開されたら見に行ってみますわ。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

マンゴートライフルを作ってみた。

triffle.jpg

現地に行ってもいないくせにカンヌ疲れだわ…とかなんとか言ってみる自分にあきれつつ(笑)、しばらく休止していた甜品作りを再開。聘珍楼のマンゴープリンの素を買ったり、フルーチェのマンゴーミックスなどマンゴーものを買いまくっていたので、いつもと趣向を変えてこんなものを作ってみた。目指せ香港のオサレなカフェにも置いてもらえるような香港甜品(大笑)!

名づけて「マンゴートライフル」。広東語名は考えてまへん(爆)。小さめのカップを用意し、4等分したブルボンのマンゴーケーキを入れ、その上からスプーンで適当に崩した聘珍楼のマンゴープリン、さらにその上にハウスのフルーチェアジアマンゴーミックスをかけてみました。では召し上がれ!

…んー、でも味は微妙かなー。果物のマンゴーそのものが足りないし。生クリームをホイップしてデコレートしたら、また趣が変わるかも。

今度は豆腐乳(または台湾風豆花)を作ってみる予定。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

愛とツッコミの第57回カンヌ映画祭最終日。

 今回でつべこべ言うのもとりあえずおしまい。日本から9時間遅れのフランスの熱海、違った高級リゾート地で行われた一大イベントのあれこれをいろいろと電脳追星族してた中華趣味女子による、今年のカンヌ映画祭総括。

 フタを開けてみればある意味順当な結果かもしれなかったねー。たとえ政治的な意図はなくてもマイケルおじさんの作品にパルムが与えられる価値は充分にあるぞ。趣味に生きる映画の俺様審査委員長クエタラもこのへん納得したんだろーなー。その分グランプリで趣味炸裂!てなわけだな(笑)。movieplusの受賞式後のキャロルねーさん&別所ハムの人さんのコメントを聞くかぎりではおっそろしいほどのバイオレンスエンターテインメントみたい。(原作本もbk1やアマゾンで探してみたたけど、8年前の作品でもしかして品切れ状態?)主要部門受賞作品のエンターテインメント性は『レディ・キラーズ』にも当てはまるか。
 そしてパルム同様社会派作品の受賞が男女優賞受賞作品か。マギーは『CLEAN』でヤク中から更生したいロックスターの妻を演じ、優弥くんは『誰も知らない』で母親に置き去りにされた兄妹たちの“長男”。カンヌでは「日本は子供を大切にする国だと思ったのに!」とショックを受けた外国プレスもいたらしい。こうして見ると、戦争も大きな悩みであるが、それと同様に世界中のそれぞれの社会には個人それぞれの悩める事情も同じ重さであるってことだろうか。うーん、うまくいえないけど。

changchen.jpg
↑張震迷に捧げます。プレコンでもレッドカーペットでも写真が使えなかったので。

 そして、なんだかまったく興味のない人々には空騒ぎ状態になってしまったような印象があった『2046』。あの方についてもそうだけど、アタシもかなりはしゃぎすぎたかな?(おいおい、今さらそう言うなって)もうあれこれ言うのはやめるけど、あの方目当てで映画を観に行った皆さんには、トニーを始めとした中華明星の底力を知ってほしいと願うばかりである。もしプレミア上映があったら行きたいけど、きっとものすごい大騒ぎになることは間違いないよなぁ…。
一応ここで暴言ブチかますのは当分打ちどめるけど、なんか思い出したら機会を改めて別のところに書くかもです。
 しかし、《十面埋伏》はもちろんだけど、《大事件》も早く観たいなぁ。東京国際映画祭の特別招待作品でこないかなー。

2046Party.jpg
↑2046な奴ら(除く1名)@コン・リー姐お祝いparty。王家衛の横の女性は夫人のエスターさん。

 10日間、何を書こうか悩みつつもずーっとモニターとにらめっこ状態だったけど、なんだか楽しかった。いつも読んでくださった皆さん、コメント&トラバいただいた皆さん、ホントにありがとうございます。我表示非常感謝m(_ _)m。 

| | コメント (4) | トラックバック (0)

カンヌ映画祭コンペ部門結果発表。

 まずはこれにつきるでしょう。ホントにホントにおめでとう、マギー!

bestactress.jpg

 アジア人初の最優秀女優賞、なのかな?(自信ない、後で調べよう)しかも元ダンナの作品(フランス映画)で受賞。マギーの存在感がやっと世界に認められてアタシは嬉しい。(ちょっと待った、彼女はベルリン映画祭で最優秀女優賞とってるんだぞ、もとはし)
 しかしそれ以上にビックリしたのが是枝監督の『誰も知らない』主演の柳楽優弥くんの、葛優さん、トニーに続くアジア人3人目、役所さんや浅野くんでも獲れなかった日本人初、さらにカンヌ史上最年少14歳(つまり優弥くんは平成生まれだ!)の最優秀男優賞受賞だ!日本人として素直に喜んじゃうよ、これは!
 グランプリはパク・チャヌク監督の『OLD BOY』。日本マンガが原作作品のカンヌ主要部門賞受賞ってのももしかして史上初じゃないか(笑)?チャヌクさんとともに壇に上がったチェ・ミンシク(『シュリ』『パイラン』)の渋いこと渋いこと。…カンヌにも韓流の波到来か。(こらこら!)
 パルムドールの『華氏911』は現在の世界情勢を考えれば順当でしょう。アメリカの上映中止騒動はパフォーマンスではないって証拠だし、あの戦いを止めさせたいと願うのはは誰だって一緒だもの。さ~皆でマイケルおじさんと一緒に叫びましょう。
「くたばれブッ○ュ!」(爆)
 受賞式で「え?マジマジ?」って顔をしていたマイケルおじさんと「へへへあげちゃったー」といった表情のクエタラが対照的で面白かったわ。
 忘れちゃいけない審査委員賞には、アジア映画にもかかわらずまったくのノーマークだったのを謝りたいタイ映画《Tropical Malady(Sud Pralad)》。やはりタイ映画も今後侮れないってことね。

 ワタシの予想通り『2046』は無冠…。でも、これで引き下がる王家衛じゃないでしょう。これを糧に今後映画製作への一層の努力をしてくださることでしょう。ホントにお疲れ様、カーウァイ。最終編集されたこの作品を観るのが楽しみだよ。
 だけど最後に日本マスコミに一言。賞獲りレースにこだわりたいのはわかるけど、それだからといって根拠なしに王家衛を叩くことは絶対やめてほしい。カンヌはオリンピックと同じ、参加することに意義があるんだよ。そして「また来たい」とおっしゃっていたあの方、それなら今後俳優としてCFやドラマばかりではなく、映画や演劇等に積極的に出演し、一層自分の演技力を高めてもらいたいものです。本気で「また来たい」と思っているのなら本国の視聴率男やCMキングや抱かれたい男だけで満足してちゃ絶対絶対だめなんだから。頑張ってよ!←これは決してちゃかしで言っているんじゃありません、本気で言ってます。

| | コメント (3) | トラックバック (2)

カンヌ映画祭11日目アルよ。

 今、『2046』のためにさっきまで普段は絶っ対観ないスマステ観てましたワタシ。ワイドショーも大っキライだしあの方のことばかりでうんざりしてるけど我慢してチェックしたからね。明日の朝のニュースショーも我慢して観なきゃ、かな…。やでやで。しかし日本マスコミはトニーはともかく、王家衛のことよー知らんで「2046」のフィルム入り遅れのことを批判的に報道していないか?ということを実感するな。あの9年前の『恋する惑星』フィーバーは、そして返還前後の香港ブームによりいろいろ紹介された香港映画&カルチャーブームは何だったんだよ、ホントに…。
普段王家衛にあれこれ突っ込みまくっているアタシでさえ、今回はちゃーんと擁護してやらんとまずいなって思っちゃうよ。観る前からあれこれ批判なんて絶対しちゃいけないよ。

 さて、気を取り直してカンヌ映画祭のクロージングまであと1日。いつもは最終日に発表されるコンペ結果だけど、いよいよ日本時間の今夜半に発表。なんか早いなぁ。どーもあちこち聞いてみると、…どーなんでしょうねー『2046』。パルムはまたしても無理かもしれない(&トニーの二度目の最優秀男優賞、もちろんあの方の日本人初の最優秀男優賞も)けど、クエタラが特別に審査委員長特別賞とか作ってくれればいいのに。とかなんとかいってパルムかグランプリとっちゃったら「どーだこのヤロー!」とか叫びそうな勢いになるかもしれないが。ったく現金なヤツ。

 movieplusの「カンヌ映画祭の50年」(フランス製作)を観た。50周年記念ということで当然トニー@花様年華の時の映像などは流れなかったんだけど(笑)、ごま塩頭の陳凱歌監督やホントに嬉しそーなカーウァイ@『ブエノスアイレス』で監督賞などもちょこっと映ったので手を振らせていただいた。あとは黒澤明監督の姿にも「きゃーアキラー!!」(ワタシは彼を“アキラ”と呼ぶ。そして同姓の黒沢清監督は“キヨシ”)とかミーハーしたりして(おいおい)。しかし、最後の最後に「アナタは女優?」と地元の方に声をかけられてたのって…サンドラ・ン姐さん?

『2046』ラプソディでコメント付け忘れた画像を二つ。まず最初はこれ。

flying_redc.jpg

《十面埋伏》レッドカーペット。なかなかステキな構図。

次はこれ。《CLEAN》より。マギーとニック・ノルティ。

maggieandnick.jpg

ニック・ノルティ、久々に見たけどしわ増えたねぇ。なんかマギーがすっごく少女に見えるよ。

さて、コンペはどーゆー結果に出るのかな。待て次号!なんちて。 

| | コメント (2)

Rhapsody in 2046

 昨日は朝から気張ったせいか、夜に記事アップできなかったわ。いろいろツッコミたいことあったけど、これを今やると大暴言マシンガンをぶっ飛ばす恐れがあるので、カンヌが終わってからゆっくりこそっと言うことにすっか。

 まずはこの画像。もう、言うことないっす。

2046_precon.gif

 両手に花状態な「2000年のカンヌの王様」の図。…え、誰かいないって?気のせい気のせい。
公式サイトの映像(video。要realplayerかWindows media)を観て感無量の思いでいっぱいになり、あの方ばかり映そうとする(&あの方を呼ぶ日本語の叫び声も聞こえる)日本の映像でもカンヌの王様の笑顔はものすごーく輝いていた。ヒゲ面じゃないしねー。2000年の『花様年華』公式上映のときも胸いっぱいだったけど、それ以上にドキドキしたもんだわ。

 当然、本日の日本新聞サイトはあの方のことしか載せていないのでここではいちいち引用しないけど(あの方中心だから写真もないしさー)、本編約2時間中10分足らずの出番で共演女優との濃厚なキスシーンとオープニングの語りだけとりあげられても、それだけじゃ本編を引っ張る主役には及ばないでせう。それ以前に日本語以外話(暴言マシンガン装填されそうなので以下略)。

…ふぉろみぃ~♪(だから違うって)

 もう少し冷静になったほうがいいな、もとはしよ。中華趣味女子的には《十面埋伏》のことも《大事件》についても書きたいし、マギー&元ダンナの新作もチェックしたいんだけど、やっぱ首ったけ(笑)なのでトニーにゃかなわないわ。

 そうだ、今夜はMovieplusで特別番組があるんだっけ。それもチェックせねば。モニターの前で暴言吐きまくらないように気をつけねば。←自分に戒め。

 というわけでこの次アップする愛とツッコミのカンヌ日記(こらこら!)に続く~。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

カンヌ映画祭10日目なのだからして。

 今朝のワイドショーは、さながら“ラプソディin 2046”てー具合でしたわね。でも出勤時間だったので後半のきむらくんインタ(があったらしいんだが)は全くスルーしてきたわけなんですけど。ついついアタシも興奮して、朝イチで記事アップしてしまいましたわ(笑)。でもしかし!今回の上映はどーも完全版じゃないんじゃないか、ということらしい。 
 また、本日は日本アニメ初コンペ出品作品となる(ちなみにカンヌに初出品された日本アニメは昨年の監督週間出品の『茄子・アンダルシアの夏』と『インターステラ5555』)『イノセンス』の上映もあり。

「イノセンス」カンヌ映画祭コンペで上映 日本アニメ初 (fromアサヒコム)。

 ところでタキシード姿の押井守監督、誰かに似てるなぁ…。

 あ、葉加瀬太郎?

 …Follow me~♪

 すみませんごめんなさい謝ります!許して下さいっ!!ついでに『イノセンス』のテーマ曲「Follow Me」の意味は、「ワタシについてきて」であって、決して「ワタシ(の発言)をフォローして」って意味じゃないですよね?
「当たり前じゃボケー」
だから謝ってるんだってば。

 そして今日のカンヌ。ついつい「別れても好きな人」を歌いたくなるマギーの元ダンナ(オリヴィエ・アサイヤス)監督、元ダンナの元嫁マギー・チャン主演のフランス映画《CLEAN》が上映。

clean_maggie.jpg

 それからそれから、イベントとしてはツイ・ハークからアンドリュー・ラウに監督が交代した日本マンガ原作の香港映画『頭文字D』の製作発表もあったんですって?で、ヒロインがホントに鈴木杏ちゃん?マンガ好きのくせに『頭文字D』には思い入れないので今まで積極的に情報収集してこなかったんですけど…。ふぉろみぃ~(だから違うって…;_;)。 


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2046@レッドカーペット

 つべこべ言われず(大笑)、無事上映されたようです。まずこの写真。

kar-wai.jpg

 出演者の皆さんのレッドカーペットアライバルはこちら。トニー、また白いタキシードです。カリーナ、ゴージャスだわ~。あの方?まぁ見てやってください。今(午前6時20分現在)、めざましとズームインでやってました(笑)。

 

| | コメント (0) | トラックバック (2)

いよいよ、カンヌ映画祭9日目!

 …やはり、順調に遅れていたらしい。さすがだな王家衛、こっちが予想していた通りだぜ。「王家衛はいつも行き当たりばったりなので、いつもウィリアムが切羽詰まって編集している」と認識しているので、王家衛ウォッチャーのもとはしは「ああまたか…」と思ってしまうのだけど、一般の方々や日本マスコミはビックリしているよーですねー。というわけであの方がらみの情報を求めている方は次をどうぞ!

 キムタク真っ青…「2046」カンヌ公式上映ピンチ(fromサンスポ)

 だからこの映画に関してなんでもかんでもあの方の名前を載せなくても…と思ってしまうのであった。この映画はあくまでも「トニー・レオン、チャン・ツーイー、フェイ・ウォン主演の香港映画『2046』」なんだから。やでやでー。

 フランスは日本より9時間遅れているので、『2046』の1回きりのプレミア上映は、日本時間では明日の早朝4時半ということになる。明日早起きしてサイトをチェックしたらレポートが入っているかな。それだったら嬉しいな。

 というわけで今日はここで、この『2046』という映画がなぜ企画され、なぜ紆余曲折を経たのかということについて、手元の情報を全て整理したので客観的に記してみます。もし、「ここは違うよー、実はこうだよー」というところを知っておられる方(nancixさんが一番詳しいでしょうか?)がいましたら、コメントよろしくお願いいたします。

 ○王家衛と仲間たち、2046への道程○

 1996年、『恋する惑星』と『天使の涙』の国際的(中華圏以外?)成功で名を成した王家衛は、『天使の涙』の次回作を2作準備。それはマヌエル・プイグの小説『ブエノスアイレス事件』にインスパイアされた『ブエノスアイレス・アフェア』と香港返還時の香港と北京でロケを行う『北京の夏』だった。本来同時進行で2作の撮影を計画していたが、前者のアルゼンチンロケが予定より長期化。加えてカンヌ映画祭コンペ部門への初出品も決定したため、前者の完成を急ぎ、作品を《春光乍洩》(『ブエノスアイレス』)と名づけて出品。なお『北京の夏』はトニー・レオン&クリストファー・ドイルとともに1日だけ北京入りしてスチール撮影まで行ったものの、結局製作中止となった。
 1997年、カンヌ映画祭に出品された『ブエノスアイレス』は各国の映画人に大きな賞賛を持って迎えられ、王家衛には監督賞が与えられた。ちなみにこの年、トニーは最優秀男優賞の最右翼と言われていたが、審査委員会のジャッジでは僅差で破れ『シーズ・ソー・ラブリー』のショーン・ペンが受賞したと言うのは有名な話。完成された映画は日本でも単館で6ヵ月もロングラン上映され、王家衛の名はますます高まった。
 国内外で次回作が期待された1998年、香港の映画情報誌『電影双周刊』の製作予定一覧に王家衛の新作が2作エントリーされた。題名は『花様年華』と『北京の夏(後に2046…だったかと思う)』。両作品に共通して挙げられたキャストは、トニー・レオン、マギー・チャン、カリーナ・ラウ、金城武(後に金城の名は消える。さらに一時期、スティーブン・フォン出演も噂されていた)。彼らに加え、次の2名の日本人タレントの名前が入っていた。

 竹野内豊、木村拓哉。

 未確定情報でありながら、このエントリーは日本の王家衛迷や香港電影迷、もちろん木村迷を含め、各方面で波紋を起こした。まもなく竹野内の名はエントリーから消えたが、1999年初秋、王家衛の新作『2046』に木村が出演されることが正式に決定してタイロケがスタートし、「キムタク、世界デビュー」などと日本全国的に大々的に報道された…。実はこの映画と同時に『花様年華』もタイで大部分が撮影されており、王家衛の急病や木村のスケジュール調整で『2046』の撮影が中断された合間に編集を行って2000年のカンヌに不完全なまま出品。結果は承知の通り、トニーにアジア人2人目(もちろん香港人初)の最優秀男優賞を、編集・美術のウィリアム・チャン、撮影のクリストファー・ドイル&リー・ピンビンに高等技術院賞をもたらしたのであった。
 次こそ木村が『2046』でカンヌ(=世界)デビュー!と日本芸能界&マスコミ等周囲の期待が勝手に膨らむものの、製作資金は底をつき、加えて日本一忙しいアイドルである木村の結婚とハードなスケジュールがどうしてもロケの予定とあわない。やむなく王家衛はトニーやフェイ、カリーナやマギー、張震などのオリジナルメンバーに加え、チャン・ツーイー、コン・リー、トン・ジエなどの中国女優を次々起用し、できる範囲で製作を続行。ついに2003年秋、上海ロケで木村が本格的に撮影復帰。今年始めにクランクアップし、現在に至るというわけであった。

 こんな感じでつくられていたんです、この作品。主観バリバリで書いてしまうと暴言波動砲が乱れ飛んでしまいそうなので、あえて客観的に述べさせていただきました。作品完成の遅れに監督との不仲などいろいろ書かれているようですが、それが主たる原因ではないでしょう。もっともこれ以前に、王家衛は『楽園の瑕』の完成に2年以上を費やしてヴェネチア映画祭に出品したという事実もあるので、多少遅れようがビビることないんです、年中行事ですから。その辺を押さえていただければと思います。(いや、そーゆーわけじゃないって?まぁまぁ)

 おっと、忘れちゃいけない本日の画像。↓
flying_0519.jpg

アンディの中国服、レザー?

| | コメント (3)

カンヌ映画祭8日目なーのだー。

 さぁさぁ今日もやってきました、独断と偏見に満ちたカンヌ映画祭参加の中華圏映画へ愛とツッコミを入れる時間が!じゃーまずは昨日に引き続き全国1億うん千万人の期待を背負ったあの方に登場していただきましょうか!ではどーぞ!!

 キムタク:金髪でカンヌ出発(from毎日新聞)

 ふぅーん、そう…。だから?

 「くぉらまたそれだけかよ!!」
 「そうだよ!!」

 …しかし、出発するくらいでワイドショーでガンガン流れるんだから幸せもんだぜきむらくんは。さすが11年連続(だっけか?)抱かれたい男だな。別に抱(以下略)

 それはさておき、今日からいよいよ中華圏映画が続々登場いたしますよー。これからの数日はホント嬉しいっすよー中華趣味女子としては~。まずはこの写真をどーぞ。

flyingdaggers.jpg

 はい、今日はいよいよ特別招待作品『LOVERS』こと《十面埋伏》の公式上映ですよー。ツーイーとイーモウはしょっちゅう来ているからいいけど、アンディと金城くんにとっては初のカンヌっすねー(^o^)。夏の終わりの日本上映も楽しみざんす。

 そうだ、カンヌの検索でいらっしゃった方へもひとつ。先日のmovieplusの開会式中継でキャロルねーさんが連呼していたスペインのガエルくんの主演作品『THE MOTORCYCLE DIARIES』も本日上映だそうで。すみません、中華趣味だからホントこのへん疎くて、これで許して。
 あと、《2046》の完成は順調に遅れているらしい…。ジ○リじゃないけど。
(追記・明日の上映スケジュールはプレミアの1回のみに変更されたそうです。ちなみに《大事件》もいよいよ明日上映)

 ○おまけ○ スポニチのカンヌサイトもよく見てます。ここは過去の記事も見られるのが嬉しい♪ 

| | コメント (0)

カンヌ映画祭、7日目っ。

 さぁーて、全国1億うん千万人のファンの方、お待たせいたしました!ついにあの方がカンヌに向かって発進です!!行け!!鉄人!!…違うって。てーわけでこの方の名前の検索でいらした方、どうぞ!!

 カンヌ映画祭:キムタク、世界デビュー(from毎日新聞)

 「これだけかよ!」
 「そーだよ!!」

…すみません。m(_ _)m。いや、ワタシが応援しなくても、きむらくんには皆さんがついていらっしゃいますから…。

 さて、気を取り直して、本日のカンヌ。今日はカンヌを代表する兄弟監督コーエン兄弟作品『レディ・キラーズ』のコンペ上映があるとか。この映画、もうすぐ日本でも公開されるんだけど、ちょっと疑問に思ったのは、「コンペ作品ってどーゆー基準で選ばれているのかな?」っていうこと。例えば、コンペ作品には2000年に出品された『御法度』や去年の『アカルイミライ』のようにすでに本国で公開されているものもあれば、今年の『誰も知らない』のように本国ではこれから公開されるもの、さらにここ数年の王家衛作品のように未完成なのに出品できるものなどコンペ部門作品の出品時の状況は統一されていないような気がしたのね。そんなときに参考になったのが、nancixさんのエントリー。なるほどー。パルムドールとグランプリの違いはわかっても、細かいところは意外とわかんなかったりするもんっすね。

 明日(19日)は《十面埋伏》プレミア、そして20日はいよいよ…!後半に行けば行くほどワクワクしてしまうのであった。

kelly.jpg

今日はケリーfrom《大事件》。刑事役らしい。

| | コメント (2)

カンヌ映画祭6日目だよーん。

 いやぁ、折り返し地点ですね。
 まずは例の如く一般的話題から(笑)。本日のスポーツ紙サイト(多分ワイドショーも)は、案の定カンヌにセクシードレスで潜入したSPY_N@シュレック2の話題で持ちきりでした。公式サイトじゃそこまで詳しく書いてなかったような…(フランス語のシュレックの吹き替えがアラン・シャバだってことしかわからん)。んで今日はあの米国的電波少年マイケル・ムーアの『華氏9・11』の上映っすね。マイケルおじさん、いったい何を言うんだかってとこに注目が集まるんでせうか。

 というわけで《2046》(笑)。
なんかいよいよ全貌が明らかになりつつありますね。香港紙東方日報でも記事が載りましたよん。(要big5、明日になったら記事リンクが切れるかも)詳細はもーちょっと待つとしますか(翻訳したくても暇がなくて…大笑)。
とゆーわけで画像はこれ。

2046_tonyziyi.gif

 ところで記者会見は誰が参加するんだろう。王家衛&トニー&きむらくんはもちろんだけど、ツーイーとコン・リーと忘れちゃいけないカーウァイ組の張震もか?きむらくんだけじゃなくてちゃんと全員写してねー、マスコミの皆さん。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

《地下鉄》(2003/香港)

 ジミーの絵本『地下鉄』を読んだ時に、この詩のような絵本がどのように映画化されるのか、全く見当がつかなかった。ジミー自身が一番愛している絵本が原作のこの作品は、王家衛率いる春光映画(でもプロデューサーはカーウァイの右腕ジャッキー・パン)と『ファイティングラブ』等で旬のアイドル映画を作り続けた監督ジョー・マーによってこんなふうに換骨奪胎された。

 香港。
 視覚障害者センターで働く盲目の女性張海約(ミリアム)。優しい父親(林雪)と二人で暮らし、盲目のハンデをものとせずに自立して生きる彼女は、地下鉄の駅でビラ配りの青年(范値偉)から結婚相談所のチラシをもらう。その結婚相談所の所長何旭明(トニー)は何かトラブルを抱えている様子。彼女の電話がピンチを救ったことがきっかけで二人は知り合う。お調子者だが優しさとユーモアのセンスがある旭明に海約は好意を持つ。調子のよさが災いして数々のトラブルに巻きこまれてきた旭明だが、それに追い打ちをかけるようにある朝突然眼が見えなくなる。同僚の阿星(エリック)の助けも拒否し、心を閉ざす旭明。そのことを知った海約は旭明の生活をサポートする。お互いの顔が見えない中で心を近づけていく二人だったが…。
 台北→上海。
 台北の広告代理店で働く青年鐘程(張震)は、同僚に片思いするも、その思いを言い出せずにいた。彼女に思いを打ち明けるためにクリスマスカードを買ったが、地下鉄の中で青年(范値偉)がカードをこっそりすり替える。数日後、鐘程のもとに上海からクリスマスカードが届いた。同僚に送ったはずのカードがなぜか上海に行ってしまい、そのお礼として彼のもとに返事が届いたのだ。鐘程は事務所にあった名刺から送り主が董玲(董潔)という女性だとつきとめ、上海へ飛ぶ。上海の地下鉄で、鐘程は道行く人のスニーカーの数と種類を数えている董玲と出会う…。

 ジミーの原作からは地下鉄が物語の舞台になること、主人公が盲目である点、その女性が色とりどりの空想の世界を旅するという点だけが残されて、全く新しいストーリーが作り上げられている(というより、はっきり言ってしまえば原作では大まかなストーリーが存在しない)。実際、絵本どおりのビジュアルを映画の中に展開させるのはアニメじゃない限り不可能かもしれないし、原作どおりの映像化はやはり困難かと思われる。だけど、原作と全く違うというわけではなく、その中にこめられた思いはちゃんと映画の中に生きている。主人公の少女一人が抱えていた思いは、海約だけでなく、旭明も鐘程も董玲も同じ思いを抱いている。暗闇に閉ざされた世界から新しい世界を一歩踏み出すこと、今までの自分を振り返って、一歩踏み出すのを恐れてしまうことがあるけど、未来は決して怖いことや悲しいことばかりじゃない。突然色と光を失った旭明は、闇の中にいても自分の歩幅で歩ける海約に導かれて知らなかった世界と海約への愛を知るし、片思いの恋に身を焦がして何もできなかった経験を共有する鐘程と董玲はその時の気持ちを思い返し、目の前にいる相手に新たな希望を感じる。このように翻訳されてはいるけれど、4人の経験や思いはジミーの絵本で主人公の少女が語る思いにも通じる。
 この映画を簡単にいうなれば“恋の地下鉄三都物語”。『恋する惑星』やエリック・コット監督作品『初恋』のように二つの恋物語が展開するものの、先の2作品のような完全なオムニバスではなく、二つの恋模様が並行して語られていく。《美麗時光》の范値偉が演じる、青年の姿をした“地下鉄の天使”のいたずらが結んだ二つの恋は、直接的には交差しないものの、先に書いたように、人を好きになる温かさを感じさせてくれたり、困難な生活の中に一筋の光を見出せるような気持ちがある点で共通している。
 
 やっぱりそういう土地柄なのか(?)、かなりコミカルでもだんだんキュンとしてくる香港編。メインの4人の中で一人年長(大笑)のトニーは、王家衛作品のような悩めるフラレ野郎でもなければ『英雄』や『無間道』のような非情なダンディさもなく、ここ数年の日本公開作品の役柄とは一線を画していて、安心して見られた。久々にコミカルな役どころで、しかも視力を失っても悲惨さを感じさせない。あの「瞳で殺す」眼神演技を封じられたからこそこういう演技になったのか。それに対するチカちゃんはしっかり者の役どころ。眼が見えない役柄で結構大変だったのではないかな。とはいえ、周囲の音に耳をすませる動き、パパが落としたギターのピックを探す時に、自分のやり方でピックを「見つける」演技などが印象深かった。その他、滅多に観られない?林雪のよきパパぶり、やっぱり騒がしいエリック・コット&その仲間(方力申ほか)、役名のみの紹介だけどSK-2モデルのフィオナとお知り合いになりたいチンピラの強とその叔父、“彼女募集中”のませた小学生小吉などの脇役も面白かったりする。
 ところ変われば演出のトーンも変わり、台北&上海編は切なさがあふれる。『ブエノスアイレス』の時の純情少年がそのまま青年になったような(この間見たのは『グリーン・デスティニー』と《天下無双》だしどっちもヒゲ面だったし)張震と、淋しい表情が印象的な董潔。このカップルは若々しく恋愛に対して真面目なところがよい。かなわぬ思いに身を焦がした同志だったからこそ、お互いに共鳴する。地下鉄で言葉を交わし、車内の恋人たちを数え(笑)、存在しない駅を探しに暗い線路を歩く。彼らの探していた“駅”は、“新しい恋への希望”という名前だったのではないか、なんてね。
 1時間41分の本編にあれもこれもと盛りだくさんな内容なので、これならすぱっと2編に分けてもよかったんじゃなーいと思われるのかもしれないけど、こういう作りも展開もまた楽し、ということで…。これ日本公開してもいけるのでは?今年のクリスマス狙いで…。タイトルは『地下鉄』や『サウンド・オブ・カラー』などの原題そのままじゃ味気ないから、『恋は地下鉄にのって』とか、ひねりを効かせたほうがいい。あと視覚障害者連盟のような団体に協力してもらって、音声ガイド(日本語版になってしまうけど)をつけてもらってもいいかも。もちろん絵本とのタイアップも忘れずに(^^)。

 最後になったけどこれだけ一言。春光映画製作ということで挿入歌も印象的。サントラがなかったのでエンドクレジットでのチェックだけど、イメージソングは黄義達と《無間道》に出ていたエルヴァ・シャオ。エンディングはトニーとチカちゃんのデュエット。そして、物語のキーポイントになる、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ風のラテンな挿入曲が一番印象的だった。これも黄義達が歌っていたのかなぁ?すみません、後ほどチェックして追記します。

英題:Sound of colors
監督:ジョー・マー 製作:ジャッキー・パン 原作:ジミー『地下鉄』
出演:トニー・レオン ミリアム・ヨン チャン・チェン トン・ジエ エリック・コット ラム・シュー アレックス・フォン(方力申) チー・ティエンヨウ サミー・レオン クイ・ルンメイ ファン・チーウェイ

| | コメント (0) | トラックバック (2)

カンヌ映画祭5日目である。

 一般的に注目は『Kill Bill vol.2』のカンヌプレミアですか…。実はワタシは香港電影迷のくせにこれ(もちろんvol.1も)を観てないのでコメントしませぬ。
 そのかわり、クラシック部門の《THE NEW ONE-ARMED SWORDSMAN(SAN DUK BEI DO)》に注目。監督のChang CHEHって、もしかしてかつて香港武侠電影を支えた張徹先生ではないでせうか?

 さて、遅ればせながらワタシも録画で観ました、Movieplusでのカンヌ映画祭開会式中継。キャロルさんと別所ハムの人さんのコメントにはいろいろつっこみたいところは多少あれど、そっか、いま日本のアート電影迷に注目されているのはスペインのガエルくんって子なのね、なんて改めて知ってしまうかなーり偏り気味な知識をもって生きている香港電影迷もとはし。

 この開会式を観て思ったこと感想フラーッシュ。

 1、俺様審査委員長クエタラって顎がご立派。思わずその顎に硬貨載せたいくらいだ(ちょっと大げさ)。
 2、今回の審査委員徐克先生がダンディで嬉しい。隣にいた方が奥様の施南生さんだったのか?
 3、いまごろになって『Kill Bill vol.1』のテーマが布袋寅泰の曲だったと知ったアホがここにいます。 

 ラストまで観てたらなんと《十面埋伏》のCFが流れていたではないか!金城くんとツーイーがメインなのは言うまでもないけど、クレジットではアンディの他に梅姐の名も!そうか、ちゃんと残してあるんだ!よかった。これが遺作になるんだもんね…。

 ところでMovieplus、《2046》の中継やるのね。日本向け記者会見だけじゃなくて、全世界向けのプレスコンフェレンスも中継(録画か)頼むよ!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『地下鉄』『君のいる場所』ジミー(小学館)

台湾の絵本作家、ジミー(幾米)の名前を初めて聞いたのはいつごろだったのだろう。3年前、近所の絵本専門店に『君のいる場所』が山積みされていたのを見たときだったかな。その時はまだ「へー、台湾の絵本作家?でも、台湾っぽくないねー」という印象しかなかった。だけど、彼の絵本が中華圏で評判を呼び、金城武&ジジ・リョン主演の《向左走、向右走》、トニー・レオン&ミリアム・ヨン主演の《地下鉄》として香港で映画化され、さらに日本のNHKとの合作で作られた『戀之風景』で、リュウ・イエが演じた絵本作家志望の青年が描く絵としてジミーのイラストが劇中に登場するといった具合で、現在(というか、ちょっと前?)の中華電影界には「幾米ブーム」が巻き起こっている。
 最近、トニー&ミリアム主演、なんと王家衛率いる春光映画(Block2 Pictures)製作の映画《地下鉄》を入手したので、この映画を観る前に、ジミーの2冊の絵本の感想を書きたい。

『地下鉄』(Sound of Colors)

 街が秋の黄金色に染まった雨の日、黄色い傘をさし、白い帽子と白いワンピースを身にまとった少女が杖をついて地下鉄への道を降りていく。サングラスで眼を覆った彼女には、秋色の街が見えない。一人ぼっちの毎日から足を踏み出す少女。彼女を案ずるように、小さな白い犬が寄り添ってついていく。

 

「知らない街を あてもなく 歩いてみたかった 私はどこまで 行くことができるのだろう」

 少女が地下鉄を出ると、外は暖かな秋の日差しと舞い散る木の葉であふれていた。地下鉄に乗り、地上に出るたびに、少女の服の色は変わり、彼女には見えないけれども今までにない世界が広がっていた。

 

「希望をさがそう 暗闇を恐れずに 幸せは ほんの近くに 隠れているのかもしれない」

 眼の見えない彼女は新しい世界へどんどん進む。読み手のワタシたちは彼女とお供の白い犬とともに進み、彼女が見ることのない世界の姿と色を見る。不安も悲しみもあるけれど、それを抱えながら進んでいく少女。白い犬は彼女のそばにはもういない。

 

「私も 探してみよう 真っ赤な りんごを 金色の 一葉を 心に輝き始めた かすかな光を」

 少女の呟きで構成される詩のような絵本なので、ストーリーを紹介するのは難しい。この絵本をいったいどうやって映画に料理したのかも大いに気になる。そんなこの絵本の特色は少女が旅する地下鉄の中と外に広がるカラフルで不思議な世界。どこかモーリス・センダックっぽいところもあるけど、ジミーの絵はセンダックの絵が持つちょっと妖気漂う民俗的な雰囲気は感じない。かといって、中華な感じもしない(後に挙げる『君のいる場所』もそうだけど)。枕元に一冊置いて、寝る前に気に入った言葉と絵を眺めて眠りにつく。そんな感じで読みたい絵本。

『君のいる場所』(Separete Ways)

 郊外の古いアパートメントに住む男女の物語。彼女は玄関を左に曲がるくせがある。彼は玄関を右に曲がるくせがある。彼が彼女に会うことはなかった。彼はバイオリニスト。彼女は翻訳家。二人とも、ときどき自分の人生について考えていた。そんな二人がクリスマス前の冬の公園で突然出会い、お互い恋に落ちる。けど、突然の雨がつかの間の恋に幕を引いた。交換した電話番号はメモが雨ににじんで読めなくなってしまう。左に曲がるくせのある彼女と右に曲がるくせのある彼はこれ以降出会うことはなかった。幸せだった恋の記憶は孤独の向こうに追いやられてしまう。はたして、実は隣同士に住んでいる二人が、再びめぐりあえる時は来るのだろうか?

 ひたすら左に進み続ける彼女とひたすら右に進み続ける彼。…もし曲がった先が行き止まりだったらどうするのだろう?なんてつっこんじゃいけない。日本一じれったいラブストーリー『君の名は』以上のすれ違いを繰り返す二人。ほんのすぐ近くに、そしてさっきまで彼/彼女が通ったばかりなのに、お互いその存在に気づかない。都会なんて案外狭いのに、一度会った人間にもなかなか出会えない。画面にみっしりと描かれた人の姿を見ながら、思わず彼/彼女の姿を探してしまう。シンプルな絵にシンプルな表情の人物だけど、そこから人を愛した喜びも人に会えない寂しさも伝わってくる。

《向左走、向右走》も今年日本公開が決まりそうなので、ここで日本でも広くジミーの絵本が読まれると嬉しい。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

カンヌ映画祭4日目、ざーんす。

 一般的には、本日はコンペ部門出品アニメの一つ『シュレック2』の公式上映と『JSA』のパク・チャヌク監督新作《OLD BOY》(原作が日本マンガと聞きましたがホント?) が注目なのでせうが、『シュレック2』って各国語版のフィオナ役の声優が現地に結集するって名目でSPY_N(笑)こと紀香姫が潜入してるんですっけ。とすると中国語版声優なんかも行ってるんでせうか?ところで中国語版フィオナ姫って誰だろ?

 なんて一般的なことはさておき、もとはし的には昨日無事に公式上映を済ませた是枝監督のコメント(from日刊スポーツ)が気になるところ。詳しくは記事を見ていただくとして、そんなに下馬評高いんですか《2046》ってば…。

gongli_cannes.jpg
祝・カンヌ特別賞受賞。実はダイナマイトバデーだった?コン・リー姐さん。《2046》の公式上映には出るんだよね? 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

《侠骨仁心》(2000/香港)

 カンヌネタはちょっとお休み(もっとも今夜書くと思う)して、今日は久々に映画のReview。

 今から4年前、『花様年華』でカンヌ映画祭最優秀男優賞を受賞したトニーが次に選んだのがこの映画。香港の緊急救命室で働く医師や看護師たちの人間模様を描いた香港版『ER』というべき映画で、同名のTVドラマもある。多分、ドラマの1エピソードといった感じで作られた作品。ちなみにドラマ版にトニーは出演してません、あしからず。ワタシもそのドラマ版は観ていないからよくわからないし。 

 ローレンス・チェン(トニー)はとある病院のERに勤務する脳外科医。彼は自らが起こした交通事故で恋人をなくし、失意の中にいた。彼の同僚ポール(阿Bことケニー)は銀行強盗に遭い、その場に居合わせた看護師カレンとともに強盗の焼身自殺に巻き込まれた人々をERに運び込む。そんな中、ローレンスはある女性患者の脳腫瘍摘出手術を手がけるが、彼女-ジャッキー(ミシェル)はポールの昔の彼女だった。ローレンスの治療を受けたジャッキーは明るさを取り戻していく。それまで男にちやほやされる投げやりな生き方をよしとしていた彼女は手術を転機として自分の心に素直に生きようと決意。仕事を見つけるまでの仮住まいとしてローレンスのアパートに同居するが、マイペースなジャッキーはローレンスの生活ペースを乱しながらせっせと彼の世話を焼く。恋人の死や後輩医師(ステ)との確執、病院内の権力抗争で心がまいっていたローレンスは彼女を疎ましく思うどころが、逆に好意を抱いている自分に気づく。ジャッキーもまたローレンスを愛するようになっていた。しかし、ローレンスのもとから独立して新しい生活に入ったジャッキーには、脳腫瘍の再発という悲劇的な運命が待ち構えていたのであった…。

『ブラック・ジャック』や『ER』が好きなワタシは、当然トニーが医師を演じた『裏街の聖者』が大好きだ。凄腕の技術を持ちながら大病院の権力に背を向け、上環にある下町で、娼婦やチンピラや貧しい人々に囲まれて地道に診療する香港の赤ひげドクター・マック。最近日本で流行っている医師ものは『ブラックジャックによろしく』やリメイクされた『白い巨塔』のように大病院の特殊性や諸問題を描いた社会派ドラマが多いけど、医師は一人の人間であるから、人といかに向かい合っていくか、ということを感じさせる物語に深く共感する。
 アメリカで10年近く放映されている『ER』は日本ではまだまだ少ない緊急救命室を舞台に、そこで働く多種多様な医師や看護師たちが次々と運び込まれてくる患者の治療を行って人々を助けていくと同時に、それそれが抱えている職場での恋愛や家族とのトラブルなどの人間模様も平行して描かれたドラマ(今年の地上波放映はいつやるのだろう。某冬のなんちゃらだけじゃ淋しいよ…)。この映画も香港のERが舞台になるけど、本家ERに次々と患者が運ばれてスピーディに治療をこなしていく描写を見慣れてしまったせいか、冒頭の銀行強盗&自殺未遂のくだりで負傷者がどんどん運ばれていくシーンは「もーちょっとスピード感があってもさぁ…」なんていらぬ要望を出してしまったけど、使われている台詞が本家と全く同じだったので結構嬉しかった(笑)。
 本来なら、いやドラマ版なら本家の『ER』や日本の『救命病棟24時』のように、トニー演じるローレンスのほか、阿B演じたポールや看護師のカレン(ごめん、誰が演じてたのかチェックしてなかったわ)、ステやクリスティ・ヨンたち若手医師にもそれぞれのドラマがあったのだろう。しかしこれは映画、それもトニーとミシェル主演ということでこの二人のエピソードに焦点があてられてしまったために、脇のエピソードまで気が配れなかったというかつながりが見えにくかったのが残念。ジャッキー・ロイやヴィンセント・インなど、渋い個性派俳優たちも出演しているのだから、彼らもチョイ役じゃなくてそれなりに活躍してほしかった。なによりも、これは医師ものドラマでありながら、最終的には医師と患者のラブストーリーというよくある話に着地してしまったのが一番惜しかったと言うべきか。

 トニーはマック先生みたいな下町のべらんめぇ医師とは全く反対の、こういうエリート医師役もかなりハマる。白衣姿はステキだけどどこか頼りないのがミソ(笑)。半裸で鏡の前でポーズ取ったり(胸筋は目立たないが腹筋は一応割れてます)、ミシェルとのエモーショナルなキスシーンもあるのでとりあえず偉仔迷もとはしとしてはそのへんで「きゃートニーったらー♪」と言っておこう。しかしトニーったら最近うーんと年下の女優との共演が多いせいか、はたまた恋愛ものに出るのが少なくなったせいか、いいと思えるラブシーンを見ていない気がしたけど、久々にこのキスシーンはいいと思ったなぁ、やっぱミシェルはきれいだからなぁ、なんて言ってみたりして。 
 ミシェルは珍しく快活な女の子役。キレイで快活なんてうらやましいねぇ。ローレンスとの同居生活でせっせと世話を焼くくだりで、これが他の女優だったら結構腹が立ったかもしれないけど(『星月』のあの人があの映画でミシェルと同じことをやったらかなり腹が立ったと思う)、まーミシェルだからしょーがねーか、なんて。(こらこら!)しかし、いくらキレイでもミシェルはやはり香港女優。キレイな分だけゲロも吐くしアンディじゃなくても鼻血も吹くぞ。ああ素晴らしき女優根性。どーだこれが真似できるか日本女優。演技派と呼ばれるのにはベッドシーンで裸体さらすだけじゃなく(胸チラ見せはもちろん論外)、ゲロも鼻血も吐けることなんだぞー!…しまった話がずれた。
 久々に顔を見たな阿B。ちなみに彼、トニーとは「ホウちゃんの映画に出た」という共通項で結ばれます。予想したとおりトニーより大柄だった(笑)。ステは長髪に銀縁眼鏡で登場したけど、これはドラマ版でソーさん(ウィリアム・ソー)が演じたという役を意識してのこと?クリスティは地味だけどポイントになる役どころ。彼女が普段演じている役柄から考えればここでは看護師役をあてられそうだけど、あえて医師を演じさせたのがよかったかも。

 この映画はバリー・ウォンの製作プロBoBとナット・チャンやヴィンセント・インなど香港の実力派俳優&タレントたちが立ち上げたエンターテインメント集団スターイースト(東方魅力)が共同製作した作品。ローレンスとジャッキーが遊びに行くクラブはおそらくスターイーストが経営していたクラブで撮影されたんじゃないかな。このクラブとレストランはワタシも行ったことがあるけど、今はもうないんだっけ…(前回行った時確認してくるのを忘れた)。  
 
英題:Healing Hearts
監督:ゲイリー・タン 製作:バリー・ウォン
出演:トニー・レオン ミシェル・リー ケニー・ビー スティーブン・フォン クリスティ・ヨン ピンキー・チョン ジャッキー・ロイ ヴィンセント・イン

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カンヌ映画祭3日目、ですね。

 昨日はコンペ部門の先陣を切って、我が日本から是枝裕和監督の最新作『誰も知らない』が上映されたとか。実話を元にしていて、演技経験のない少年少女たちが主役というこの作品は、中華趣味なワタシもかなり気になるのでした。日本では夏公開だとか。

 さて、《2046》関係では、ついにあの方のカンヌ出席が正式に決まってしまった(from日刊スポーツ)ので、日本マスコミは大盛り上がりでせう。でもさぁ、そんなに盛り上がっていいのかなぁ。あの方って、そんなにすごい役どころなの?(今週の大暴言)そこまで盛り上がるんだったら昨年カンヌに出品された、トロさん&ツーイー共演の《紫胡蝶》の方がもっとすごいじゃーん!って思ったもんだけど。

 まー、このことに関しては昔からあれこれ言っていたし、ワタシの中華趣味を知っている人にも「正直どーよ?」って何度も聞かれたけど、…よーわかりまへん。ただ言えるのは、カーウァイってすっごいミーハーだなって時々思うってことくらいすか。ホント、こればかりは。

 本日は画像の代わりにこのリンク。「ある視点」部門に出品されている中国映画だそうです。多分、漢字で書くと《路程》って題名になると思うんだけど…。 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カンヌ映画祭2日目だぜ、いぇーい。

 ここしばらく、特にトピックがなければカンヌの電脳追星族(サイバー追っかけ)と化したい中華趣味もとはしです。

 まずは《2046》ネタfrom中国情報局。

 王家衛監督『2046』:上映許可はすでに取得

 よかったっすねぇ、カーウァイ&ジェットトーンの皆さん。…なんか投げやりなコメントだなぁ(大笑)。
しかし、前回エントリーでリンクしたムービープラスカンヌ特設サイトの予想投票、今の時点の結果がある意味すっごくステキすぎるんですけど(^_^;)。あ、アタシは投票してないよ、念のため。

 そうそう、全然中華ネタと関係ないけど、ついでに監督週間のリンクも貼っときます。日本映画の出品も多いからね。なんせ昨年、アタクシもこのサイトよくのぞいてましたから(実は去年監督週間に出品された日本のアニメ映画とともに『アカルイミライ』のコンペ出品が気になってて中華系作品がなくてもカンヌ公式サイトのぞいて電脳追星族してたんですよ、あはは)。

maggie.jpg

今日はマギー。多分役柄上なんだろーけど、すっごいアタマだなぁ。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

今夜からカンヌ映画祭だぜベイベー!

 今夜未明より、いよいよカンヌ映画祭が開幕。中華趣味な当Blogでは前回のエントリーのように中華系作品に注目しているのですが、全体的にはこんな感じだそうです。

  カンヌ国際映画祭開幕、コンペ初参加の監督作品が過半数

 ほー、そうなのかぁ。どーもマギーの元ダンナとかコーエン兄弟とかクストリツァとかマイケル“ブッシュよ恥を知れ!”ムーアとか知ってる名前にばかり注目していたからな。さ~てクエタラ、キミは何をどう選ぶんだい(えらそー)?

 ちなみに《2046》は、このようにご紹介。そっか、やっぱまだいろいろやってんだな王家衛。

  

木村拓哉が出演した王家衛監督の「2046」もついにベールを脱ぐ。監督の体調不良などで完成が大幅に遅れていた作品。映画祭終盤の20日の上映に向けて、まだ仕上げ作業が続いている。

 きむらくん「主演」と書いてないだけホッとするが、せめてトニーやフェイやコン・リーの名前も入れてよねー、日本マスコミよ。

faye_2046.jpg

 ↑なんか、キューティーハニーみたいだねぇ…。

 あと、忘れちゃいけない《十面埋伏》。こんな記事入ってましたよー。

 『十面埋伏』:張芸謀監督や出演者がカンヌへ

 …とかなんとかいって出発してないんですね実は(大笑)。こんな感じで電脳追星族していきますわ(^o^)。

 そうそう、カンヌ映画祭関係のニュースはムービープラスでやってくれるのですね。特設サイトができているので、公式サイトとともに毎日チェックしよっと。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

続・カンヌ映画祭まで、あと3日。

 先のエントリー「(上映)スケジュール決まってないとはどーゆーことだ?」とか吠えていたら、nancixさんからのコメントで《2046》の上映が20日とわかったので、早速スケジュールを見に行きました。(要Acrobat Reader)なんと同日上映が『イノセンス』だ!こりわびっくり!さて日本マスコミ、どっちをでっかく取り上げるつもりかい?(いぢわるモード気味に♪)

 ところで今年のカンヌは《2046》&《十面埋伏》以外に、香港系作品の出品が目立つことが特徴。“マギーの元ダンナ(ひでー呼称…)”ことオリヴィエ・アサイヤスが別れたのに再びマギー主演(しかも共演はニック・ノルティにベアトリス・ダル…すごすぎ)で撮った《CLEAN》もコンペ出品。さらにスケジュールをチェックして驚いたのが、ジョニー・トゥの新作《大事件(Breaking News)》が招待上映に決まっていたことだ!
すげーぞトゥさん!これで確実にカーウァイを超えたよ、トゥさん!!…いや、もとから超えてるってば。

breakingnews.jpg

 いやぁ、これで今年のカンヌがものすごーく楽しみになってきたわぁ♪公式サイトはまめにチェックしよ。(特に後半)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カンヌ映画祭まで、あと3日。

 おお、なんと今週開催ではないか、カンヌ映画祭。ここで当然注目するのはイノセンスでも是枝監督作品でも2本の韓国映画でもなく《2046》&《十面埋伏》なんだけど、《2046》はカンヌ公式サイトに紹介ページはあるもののまだスケジュールが決まっていないとはどーゆーことだ。やっぱまだ編集中なんだろう王家衛、白状しろ王家衛(大笑)!

tony_2046.jpg

 


 

| | コメント (2) | トラックバック (1)

輸入CD規制で一番困るのはアジア芸能好きだ

 前々回の記事で輸入CD規制問題にふれ、「もしかしてこの法案が通ったら将来的には輸入VCDもDVDもNGになっちゃうのでは…」と心配したところ、マイリストに入れた輸入CD規制問題サイトからたどり着いたOTO-NETAさんのエントリー「DVDは今までどおりだと思いますよ」とありました。そこにおいてはとりあえず心配しなくても、という感じですが、日本を除くアジア各国ではDVDより画質が劣るものの安価なVCDが多いので、これが輸入CD規制と共にCDとみなされたらちょっとなぁ…と思うところがあるんですよ。(一見で充分な映画だとVCDのほうが気楽なところがあって。もちろん正規版でですよー、念のため)
 また、絵文禄ことのはさんのエントリーも、今回の問題が特に我々アジア芸能好きにとって切実な問題であるということがわかりやすく述べられていて参考になりました。この問題に興味のあるアジア芸能迷も含めた全ての方は是非ご覧下さいませ。

 ワタシ自身は以前ほど中華ポップスを聴かなくなったのですが、日本ではタワレコやHMVにも充実したワールドミュージックCDコーナーのお世話になったし、レスリーのCDも日本版の『Gift』と中華版の『Plantemps』(つづり自信なし、調べたら訂正します…)は収録曲が違ったから両方買ったもの。今後、日本版が出る中華明星もの(といってもどれくらい出るのだろうか…)でもこういう楽しみがなくなっちゃうと考えたら、もうビービー泣くばかりですよ。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

マンゴープリンを作ってみた。

mangopudding.jpg

 前回「目指せ義順の牛[女乃]布甸!」牛乳プリンを作ったのに引き続き、今日は予告どおり「目指せ糖朝の芒果布甸!」とマンゴープリンを作成。レシピはもちろん脇屋さんの『香港のデザート』

 写真が陰になっちゃったけど、味は甘くもなくすっぱくもなくちょうどいい。ちなみにお砂糖は60グラム使用。バットに固めたのでグラスにはほぐしながら盛ったのだけど、一見固めにかたまっているように見えても舌の上に置くとゆるりと溶ける。もちろん味は糖朝には程遠いのはいうまでもないが。

 やっぱハート型の器で固めて食べる時に生クリームかコンデンスミルクを流したほうが雰囲気出るかなぁ?これから出かけるのでデパートの製菓材料売り場で探してみようかなぁ。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

輸入CDどころか輸入VCDも輸入DVDも、もしかしたら…。

 このところ、文化全般をめぐるうちの国の政府の動きにはなんだかなぁ、どっかヘンじゃないかよ?…と、再販制度や図書館の公貸権問題、そして現在では輸入CD規制問題(もとはしももちろん反対です!マイリストにリンク&バナー貼りました)の動きを知ってはガッカリするんだけど、特に輸入CD規制問題とあわせてこういう動きがあるってのはどーよ!なに考えてんだよ政府!とnancixさんの記事を読んでますます凹んだ次第。世界情勢がヘンな方向行ってて、不況も10年以上続いて、なんだかみーんなどんよりしてて世間や仕事が辛くても自分の楽しみだけはなんとか守りたい、って思っているのに、どーしてそーゆー方向へ行くのかなぁって。

 輸入CD規制問題はいくら日本盤のないCDは規制外とか言いつつも、それも全く信用できない。輸入の際のガードはむちゃくちゃ堅くなるからそれだけ現地盤が入りにくくなってくるってことだ。タワレコやHMVに行っても中華ポップスコーナー(←ここは大韓ポップスやタイポップスにも置換可能)が何十分の一に縮小されてしまうと考えたら、これはあまりにも哀しすぎるじゃないか。
 もし、このとんでもない法案が通りやがったら、次は確実に輸入VCDや輸入DVDも、って言うことは十分考えられる、間違いない!特に中華電影は未公開作品が多いし、いま大旋風を巻き起こしてる大韓電影だって、マサラムービーだって現地に行かないと手に入らないものが少なくないんだから…。

 今後、もとはしが税関でとっ捕まったらいちいちこう言わなきゃいけないってことか。

 

税関「キミ、この大量のCDは何かね?なぜこんなものを持ち込むのかね?」
もと「これはビデオCDというもので、DVDプレイヤーで見られるものです!中身は海賊版じゃない純粋無垢な香港映画です!そしてワタシは日本人に香港映画の素晴らしさを知ってもらうべく日夜奮闘している無名の人間です!もとはしがややらねば誰がやる!」

 

 あのー、ねえさんねえさん、無名の人間とか言いながら名乗ってるって。>自分にツッコミ。
…こんな言い訳考えててなんかむなしくなったけど(しかも最後の台詞は本日観たヒッキー婿映画のオリジナル作品ダイアログのパクリだし)、こうなったら日本の北のほうでせっせと「ふざけんな政府ー!おまえらもーちょっとメジャー以外の洋画も観ろ!世界各国のポップスも聴けよ!ついでにもーちょっとベストセラー以外の本も読めよ!(これは再販制度&公貸権問題から)」と叫ばせていただくぜ。

 今日はとりあえずこんなとこで。この問題は今後もじっくり考えよう…。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

『世紀末の華やぎ』朱天文

昨日に引き続き中華本の感想。かなり前に読んだものだけど、いろいろな思い入れがあってなかなか感想が書けなかったのよね…。

『世紀末の華やぎ』朱天文(アジア女流作家シリーズ第四巻/紀伊国屋書店)

著者の朱天文といえば、すぐ思い出すのはホウちゃんこと候孝賢作品のほとんどを担当した脚本家ということかな。多分、最新作の『珈琲時光』も彼女の筆によるものだと思う。(脚本を固定しないで撮ったそうですがプロットを作ったのかな?)この本は、ホウちゃんによって1988年に映画化された『ナイルの娘』の原作を含んだ5編が収められた短編集。

 台北郊外に住む気功の老先生が主人公の『柴師父』、日本の大河少女マンガ『王家の紋章』のような恋に憧れる少女が日常を語る『ナイルの娘』、(当時の)最新ファッションや流行の分析を交えながら台北で自由奔放に生きる女性の姿を描く表題作『世紀末の華やぎ』、長らく新作を発表していない人気作家の目の前に、かつて彼が関係を持っていた女性の義弟が現れ、彼女の死を告げたことで作家はその記憶を蘇らせるという『昔日の夢』、そしてカラオケ、選挙、ママさんエアロビなど賑やかな台湾の市井の人々の日常を綴った『赤いバラが呼んでいる』の5作。
 『世紀末の華やぎ』と『ナイルの娘』は確か台湾留学していた頃、原書を買って読んだ記憶がある。この当時の朱天文さんの最新作だったような気がする。ワタシは90年代初頭に留学したので、その頃に見たり聞いたりした固有名詞がいろいろと登場してきて懐かしかった。
 実は、台湾は90年代初めの頃まで、公の場で日本語が禁止されていた。90年代後半の台湾における日本ブーム(哈日族)を経た今、現在の台湾の姿しか知らない人々に「アタシが留学していた頃、台湾では大っぴらに日本語使えなかったんだぞー」と言うと思いっきり驚かれたものだったが、公共電波で日本語が乗らなくても、海賊版で日本のCDやマンガ(台詞は翻訳されていた)が輸入されていたので、台湾にいながらにして日本の情報を何週間遅れで入手できた。87年に戒厳令は解除されたものの、中国とは臨戦体勢にあった当時、国際社会的に孤立していて著作権法もほとんど存在しなかった(92年に制定され、公共電波での日本語使用も可能となった。日本映画もオリジナルのまま封切られるようになった)ため、台湾の皆さんも同じように日本を楽しんでいたのだ。特に、『ナイルの娘』のヒロイン林暁陽(リン・シャオヤン)や『世紀末の華やぎ』のヒロイン・ミアはワタシたちと同じ戦後生まれで、子供の頃から日本文化に親しんでいた世代だ。
 シャオヤンはチンピラときったはったのやりとりをする兄(映画ではカオ・ジエが演じていたとか)の世界を覗き見、兄の友人に憧れ、彼を『王家の紋章』のメンフィスと重ねてロマンスに浸る。極道な現実と空想を往復しながらも、決して空想に行きっぱなしにはならない。ミアの独白はバブルに浮かれていた頃の日本女性にも通じる。台湾関係の固有名詞を日本のものに置き換えれば、長野県知事の代表作か?なんて思ってしまうような小説だ。(ちなみにこの小説にはあの阿部寛がミアたちのアイドルとして紹介されるけど、実際当時の台湾では阿部寛の人気はトップクラスだった。んーステキだ。今の阿部ちゃんを考えても。笑)この二人のヒロインの周囲を囲むものは、まさに80年代末期から90年代初期の台湾の空気だ。現実はへヴィとわかりつつも夢見がちで、流行のファッションを追っかけて自由奔放で、でもどこか不自由という印象を、同時代の台湾でワタシも感じたのだった。

 朱天文さんの作品はこの短編集の他、『冬冬の夏休み』の原作と『世紀末の華やぎ』の別翻訳版『世紀末的華麗』も収録された『安安の夏休み』も筑摩書房から発行されていたけど、残念ながらこちらは絶版。この短編集自体も店頭の在庫のみになってしまっているというので、このまとまりに欠ける感想文を読んで興味を持たれた方は公共図書館等に当たってみてくださいませ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『中華モード 非常有希望的上海台湾前衛芸術大饗宴』

久々に中華本の感想。帰省時の移動を利用して読みかけだったこの本をやっと読了したのだー。

 中華モード 非常有希望的上海台湾前衛芸術大饗宴(TH叢書№20 アトリエサード)

 7年前、映画界からは当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった王家衛と文学界からは『赤いコーリャン』の原作者として知られる莫言をフィーチャーし、両者の作風に共通する「ラテンアメリカ的ムード」をキーワードに中華圏ポップカルチャーに迫った『ウォン・カーウァイ×モー・イェン』を発行した「トーキングヘッズ叢書」が再び挑んだ中華文化本。このシリーズの他のラインナップを見ると、フィリップ・K・ディック、アン・ライス、ダニエル・キイスといった個性派作家から、日本の90年代Jカルチャー、英国、パリ、ゲルマン文化に人形、そしてゴシックとかなり個性的に展開している(ここしばらくはゴシック路線らしく、次号の特集は“少女”だとか)。そんな路線の延長線上に中華文化が語られるとなると、相当先端的になるかもしれない。先端的になればなるほど、ワタシのような電影系中華趣味人間には知らないことや興味深いことも多くなってくるが、エロ系やキモ系に行き過ぎるとちょっとひくかも…なんて思いながら読んでみた。

 中華文化でも特に台湾と上海をフィーチャー。アート系に強いこのシリーズらしく、巻頭は上海&台湾の最新現代アートをご紹介。あまり日本で中華圏の現代アートを見る機会がないので、これをいいサンプルとして今後チェックしていきたいかも。
 でも、中華趣味人間でもやはり影迷であるもとはしは、久々に名前を拝見した“日本一の舒淇者”こと杉山さんの台湾映画レポート(&すーちーを始めとした台湾明星&監督インタビュー集)や稲見さんの台湾ポップス(陳昇&王力宏)レポートを興味深く読ませていただいたのだった。現在かなり深刻な事態にあるという台湾映画のここ数年の流れやワタシが気に入っていた台湾映画『熱帯魚』&『ラブゴーゴー』を作った陳玉勲監督の近況(監督第3作の製作に入れず、現在はCF製作を中心に活動しているとか)を知ることができたし、台湾映画界を代表する俳優戴立忍(レオン・ダイ。出演作品としては金城武が演じた主人公の中年期を演じた『君のいた永遠』やレオン・カーファイ主演の『ダブルヴィジョン』が日本公開済)が台湾映画の今後にかける想いなどを読んでウンウンとうなずいたもんだった。ちなみに台湾映画の記事内ではもちろんホウちゃんこと候孝賢監督についても触れられていた。すっかり台湾映画界のゴッドファーザーなんだな、ホウちゃん。日本では「台湾フェミニズム文学の旗手」として紹介される李昻についての評論(by上野千鶴子氏!そーいえば李昻さんって吉本ばななと対談したことあるのねー)も興味深く、台湾特集には力が入っていた。でも、でも、おそらくこのシリーズのカラーとあわないのは承知なんだけど、現在の台湾ポップカルチャーを引っ張っているといっても過言はない、未だに日本ではまだまだ無名のF4を、日本マンガ原作の台湾TVドラマと絡めて紹介したり、台湾における金庸人気と映像作品(リッチー・レン&アニタ・ユンの《笑傲江湖》など。笑)についてのコラムなんかも欲しかったかなーなんてさりげなく意見を言ってみたりして。
 ついでにもうちょっと意見を申し上げると、紀平重成氏が毎日インタラクティブのコラムで紹介していた(すでに記事が削除されてたのでリンク貼れなかったのですが…)藤井省三先生の「現代中国の映画と小説」受講生による2003年度中国語圏映画ベスト10紹介は興味深く読んだのですけど、これ以外の中華圏(先に挙げた台湾映画は除く)映画に関するコラムの内容が…。まぁ、『無間道』なんかは思い入れの強い迷以外だと、ああいう見方になるのはしょうがないのかなぁ、なんて改めて思ったもんだけど。それでも「これ中華圏ものと関係ないのでは?」っていうもの(具体的には書かないが)もあったし…。まぁ、これはある熱狂的中華電影迷のたわごとなので、そのへんの文句は勘弁してちょー。

 今や日本だけでなく、アジア圏では“韓流”の嵐が吹き荒れ、ぺ様だドンちゃんだビョン君だと世間は大騒ぎしているけど、やっぱり中華圏カルチャーは不滅だ(当たり前だってば)。もちろん韓国を始めとしたアジア諸国にも目配りするものの、今後も中華アートを始めとした中華ポップカルチャーに一層注目していかなきゃなぁ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

思い出の夏(2001/中国)

 注・この映画はまだ日本公開前の映画なのですが、今回の感想はかなりネタバレしております。通常、日本公開中の作品についてはネタバレなしで感想を書いているのですが、今回はネタバレ部分にあれこれ思うことがありましたので、あえてネタバレしました。まだ未見でこれから観に行こうと楽しみにしている方は、次の段落で読むのをやめることをオススメいたします。失礼しましたm(_ _)m。

 子供の頃、映画を観て俳優に憧れ、映画に出てみたいと思った。これは誰しも一度感じたことがあるのではないだろうか。そして、その思いは日本や西洋だけでなく、現代の中国、西北の田舎の村も同様だ。今年の「中国映画の全貌」で上映された新作『思い出の夏』は子供の頃映画に憧れた映画好きなら経験したり感じたりした、まさに思い出がよみがえるような映画だった。

 村長の演説を聞いていた母親が、彼が演説で「最初に(首先)…」と言った時に産み落としたという少年、王首先(ワン・ショウシエン、ウェイ・チーリン)は12歳。ワンパク小僧で暗記が苦手、本来なら中学生なのに1年落第して現在は小学校4年生。彼は映画に夢中で、屋根に上ってアンテナをいじっては「チョウ・ユンファを見るんだー!」と駄々をこねては怒鳴られる。
 そんな時、村にロケ隊がやってくる。助監督の劉(チョン・タイション)の説明によると、ロケ隊はこの村で映画の子役を探しているという。俳優を夢見る首先は張り切るが、落第生で問題児の首先が映画に参加することを、校長先生(リー・ワンチュアン)は快く思わない。学校で行われたオーディションによりこの役は級長に決まったが、首先の親友六子(リウツ、リュウ・シーカイ)が一計を案じ、級長の代役として首先の映画参加が決定する。映画の内容は田舎の村から大好きな姉と別れて都会の町に行った少年が、村が恋しくて戻ってくるという物語。だけど、一度村から出た人間がまた村に戻ってくるなんて考えられない首先はどうしても「ボクは町には戻らない」という決め台詞が言えず、劉助監督に怒られてしまう。首先は村人や友達からアンケートをとり、町に行ったら誰も村に戻ってこない根拠を劉助監督に見せる。映画と現実は違うと感じた首先はまたしても台詞が言えず、結局役を降ろされてしまう。そしてロケ隊が去った後、ロケ現場だった自分の家の庭先でスタッフが使っていた露出計を見つける首先。彼はロケ隊を追って、遠い近隣の村へと走り出す…。

 現代の田舎が舞台、出演者はほとんど素人、主人公は子供…といって思い出されるのは張藝謀監督の『あの子を探して』(1999)。この作品とイーモウにオマージュを捧げているといってもよいこの映画は、中華電影好きなら思わずニヤニヤしてしまう小ネタがいっぱい登場する。首先は成龍とリンチェイに憧れてポーズをとり、飯を食べながら『男たちの挽歌』でユンファ演じるマークが台湾マフィアに殴り込みをかける場面に熱中する。ロケを見に来た子供たちは「小燕子(ヴィッキー・チャオの出世作ドラマ《環珠格格》での彼女の役名)はロケに来ているの?」というし、極めつけは冒頭シーン、村で2年ぶりに開催された野外映画会で上映されたのが『キープ・クール』!ちょうどこの映画の直前に観ていたので、大笑いさせていただきましたワタクシ。
 その『キープ・クール』では高層ビルが林立する現代の北京が舞台になっていたが、この映画の舞台である山西省の村は同時代の中国でありながら映画館はなく、テレビも映りが悪いしもちろんパソコンやケータイもない。道路も舗装されておらず、隣の村まで20キロ以上もあるようなところだ。中国の都会と地方の格差は、都市型マンションが次々に完成する東京の都心と鉄道の駅もなく過疎化が進む岩手県の山中の村(注・これはあくまでも喩え)の格差より激しい。『あの子を探して』では貧しさから町に働きに出る少年の話だったし、首先も今はまだ子供だけど、成人したらきっと都会に働きに出るのだろう。そんな田舎育ちの首先は、都会から来たロケ隊が作る田舎回帰の映画が理解できない。俳優はやりたいけど、現実と違う台詞はどうしてもいえない。教科書の暗記が苦手でも、田舎の村の現実はよくわかっている。だから演技でも嘘は言えない。一方、改革開放に躍起になり、日本を始めとするアジアの先進国に追いつけ追い越せとばかりに経済発展を進める都心部。あまりに急激に発展しており、次の開発は地方の番だとばかりにこんな映画を企画したのか、あるいは発展に疲れた都会人が田舎に理想を求めて企画したのか(笑)。
 せっかくの俳優デビューを棒に振った首先だが、露出計を手にロケ隊を追いかけて自分の村から飛び出す。彼の思いはただ、これ(露出計)がないとロケ隊が困るに違いないから、届けて喜んでもらいたいという気持ちだけ。ワンパク坊主できかん坊に思えた首先も、ロケ隊で俳優として過ごした短い期間を大切に思っている。いろいろあったけど、彼らが大好きだったのだ。そして、劉助監督も同じ気持ちがあったからこそ、首先を必死に探したのだ。
 映画をめぐる記憶を共有できる前半と、どこか『あの子を探して』や子供が主人公のイラン映画に似ている後半では演出の感じも違うようでもうちょっと統一感があってもなぁと思ったのだけど、見終わったあとは暖かくなる小品。子供の時にささいなことでも一生の思い出になるような時を得た人には、きっといろいろと思い当たることがあるのかもしれない、なんて考えながら観たのであった。

原題:王首先的夏天(High Sky Summer)
監督:李継賢(リー・チーシアン) 
出演:魏志林(ウェイ・チーリン) 劉世凱(リュウ・シーカイ) 成太生(チョン・タイション) 李万全(リー・ワンチュアン)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

キープ・クール(1997/中国)

 原題の直訳は「話があるならよく話し合おう」。邦題になっている英題をわかりやすく言えば「だから落ち着けって!」(笑)今から7年前、『ブエノスアイレス』がカンヌ映画祭のコンペ出品で話題を呼んだ一方、中国政府からコンペ出品を取り消されたいわくつき(その理由は張元監督が同性愛をテーマに撮った『東宮西宮』が当局の許可なく監督週間に強行出品され、それに抗議する形で出品拒否。その代わり同年のヴェネチア映画祭に出品)の作品『キープ・クール』を観てきた。比較的日本公開作品の多い張藝謀作品のうち、『あの子を探して』や『初恋のきた道』より遅れて公開されたので、なになにこの映画、いったいどれだけ問題作なんかい、政府批判でもしてるんかいとか思いながら見たら、思いっきりコメディじゃねーか、ただの。しかも冒頭はニセ『恋する惑星』(爆)。常に不安定なカメラワークや最悪のタイミングは最高のチャンスで訪れる(逆もあり)展開に、「ドイルにーさん呼んでこよーか?」とか「イーモウの奴、もしかしてこの映画で王家衛とタランティーノに喧嘩売ってんのかもなー」などとあれこれツッコミつつも、楽しく観戦いたしましたわよ。

 現代の北京。昔の女安紅(チュイ・イン)を未練たらたらにストーキングする本屋の趙(姜文)。彼女に振り向いてもらうためには手段を選ばない趙は、屑屋(久々に俳優やってるぞイーモウ!)を雇って「安紅!お前を好きだぁぁぁ~」と叫ばせるなど節操のない行動をとる毎日だった。ある日、趙は安紅の今の男でクラブ経営者のドロン劉(リュウ・シンイー)の手下によってボコボコにされるが、とっさに近くにあった書類鞄を投げつけて応戦する。が、それもムダだった。病院で治療を受けた趙の元に眼鏡をかけたオッサン張(李保田)がやってきて、彼らの喧嘩に自分の新品ノートパソコンが巻き込まれて壊されたので弁償してほしいと詰め寄る。しかし、安紅のことしか考えていない趙は元はといえば劉が自分を襲ったことが重要だから自分は弁償しない、劉が弁償すべきだと取り合わない。張と二人で劉のクラブを訪れた趙は包丁を振り回して劉を追いかけ、挙句の果てに警察に逮捕されて“公共の秩序を乱したため1週間の拘留”となる。
 数日後、安紅とよりを戻し、自宅でいいムードになっていた趙を張が訪れる。劉がパソコン代込みで弁償してくれるというのだ。待ち合わせ場所に赴いた二人だが、話しているうちにお互いの思惑が全く違うことに気づく。張はただパソコンを弁償してもらえばそれでよかったが、怒りに燃え上がる趙は劉の右手を切り落とそうと目論んでいたのだ。これはまずいと感じた張はなんとか趙を止めようとするのだが、事態は思わぬ方向へと展開していくのだった…。

 このところ監督業があったり、映画に出ても『天地英雄』のようなコスチュームプレイが多かった姜文さん、現代人役を見るのはほんとに久々かもしんない。しかしでかいぞ趙こと姜文さん。あんなでかいオッサンにストーカーされたら安紅じゃなくても怯えるってフツー。以前『恋戦』の時に引用した「恋は人の頭をわるくする(by黒田硫黄の映画に毛が三本!)」を地で行く、というよりもともと頭が悪そうな趙が必死こいて安紅を取り戻そうとするつかみは笑いっぱなし。その頭が悪いゆえの行動は彼に悲劇または喜劇を呼ぶ。大ベテラン李保田演じる張と出会ってからはもっとドタバタに巻き込まれるものの、安紅がフェイドアウトしてしまったのが惜しいような。キレまくった趙に張が逆ギレし、立場が逆転する展開は予想できたかも。李さんの切れまくり演技も自分捨ててたみたいでおかしかったし。典型的北京のインテリ張が趙以上に暴走しまくり、趙と同じく刑務所に放り込まれる(この二人を諭した警官がご存知葛優さんだったが気づきまへんでした…)。
 思い込みやコミュニケーションの行き違いがとんでもない方向へ行く悲喜劇。それをコミカルに描いた意外性があっても、イーモウにとってはお茶の子サイサイで作った映画なんじゃないかな、これは。これまで人の情熱や感情をダイナミックに、時に悲劇的に描いてきたものの、時に社会的な主張も加わるゆえに、中国国内ではあまり評価されなかったイーモウも、この作品以降は国内に焦点を当てて、ささやかな幸せを取り上げた作品を作って評価を得た。この変化はなぜ起こったのだろうか。やはりコン・リー姐さんとの別離が原因?そんなこともついつい考えてしまうんだけどね。この映画はそんな変化の最中に撮られたこともあって、イーモウにとって転換作であり実験作であると思う。激しさから幸せへ、そして『英雄』や《十面埋伏》へ。イーモウという監督はどんどん変化し続ける。今後どこへ行くかもじっくり見守っていきたいけど、この作品で久々に俳優姿(堂々の主演だった香港映画『テラコッタウォリア』以来!)も見られたので、俳優イーモウももっと見たいぞー、なんて思ったりして。

原題:有話好好説
監督&出演:張藝謀(チャン・イーモウ) 原作&脚本:述平(シュー・ピン)  
出演:姜 文(チアン・ウェン) 李保田(リー・パオティエン) 瞿頴(チュイ・イン) 劉信義(リュウ・シンイー) 葛 優(クォ・ヨウ) 趙本山(チャオ・ベンシャン) 李雪健(リー・シュエチエン) 

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2004年4月 | トップページ | 2004年6月 »