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《侠骨仁心》(2000/香港)

 カンヌネタはちょっとお休み(もっとも今夜書くと思う)して、今日は久々に映画のReview。

 今から4年前、『花様年華』でカンヌ映画祭最優秀男優賞を受賞したトニーが次に選んだのがこの映画。香港の緊急救命室で働く医師や看護師たちの人間模様を描いた香港版『ER』というべき映画で、同名のTVドラマもある。多分、ドラマの1エピソードといった感じで作られた作品。ちなみにドラマ版にトニーは出演してません、あしからず。ワタシもそのドラマ版は観ていないからよくわからないし。 

 ローレンス・チェン(トニー)はとある病院のERに勤務する脳外科医。彼は自らが起こした交通事故で恋人をなくし、失意の中にいた。彼の同僚ポール(阿Bことケニー)は銀行強盗に遭い、その場に居合わせた看護師カレンとともに強盗の焼身自殺に巻き込まれた人々をERに運び込む。そんな中、ローレンスはある女性患者の脳腫瘍摘出手術を手がけるが、彼女-ジャッキー(ミシェル)はポールの昔の彼女だった。ローレンスの治療を受けたジャッキーは明るさを取り戻していく。それまで男にちやほやされる投げやりな生き方をよしとしていた彼女は手術を転機として自分の心に素直に生きようと決意。仕事を見つけるまでの仮住まいとしてローレンスのアパートに同居するが、マイペースなジャッキーはローレンスの生活ペースを乱しながらせっせと彼の世話を焼く。恋人の死や後輩医師(ステ)との確執、病院内の権力抗争で心がまいっていたローレンスは彼女を疎ましく思うどころが、逆に好意を抱いている自分に気づく。ジャッキーもまたローレンスを愛するようになっていた。しかし、ローレンスのもとから独立して新しい生活に入ったジャッキーには、脳腫瘍の再発という悲劇的な運命が待ち構えていたのであった…。

『ブラック・ジャック』や『ER』が好きなワタシは、当然トニーが医師を演じた『裏街の聖者』が大好きだ。凄腕の技術を持ちながら大病院の権力に背を向け、上環にある下町で、娼婦やチンピラや貧しい人々に囲まれて地道に診療する香港の赤ひげドクター・マック。最近日本で流行っている医師ものは『ブラックジャックによろしく』やリメイクされた『白い巨塔』のように大病院の特殊性や諸問題を描いた社会派ドラマが多いけど、医師は一人の人間であるから、人といかに向かい合っていくか、ということを感じさせる物語に深く共感する。
 アメリカで10年近く放映されている『ER』は日本ではまだまだ少ない緊急救命室を舞台に、そこで働く多種多様な医師や看護師たちが次々と運び込まれてくる患者の治療を行って人々を助けていくと同時に、それそれが抱えている職場での恋愛や家族とのトラブルなどの人間模様も平行して描かれたドラマ(今年の地上波放映はいつやるのだろう。某冬のなんちゃらだけじゃ淋しいよ…)。この映画も香港のERが舞台になるけど、本家ERに次々と患者が運ばれてスピーディに治療をこなしていく描写を見慣れてしまったせいか、冒頭の銀行強盗&自殺未遂のくだりで負傷者がどんどん運ばれていくシーンは「もーちょっとスピード感があってもさぁ…」なんていらぬ要望を出してしまったけど、使われている台詞が本家と全く同じだったので結構嬉しかった(笑)。
 本来なら、いやドラマ版なら本家の『ER』や日本の『救命病棟24時』のように、トニー演じるローレンスのほか、阿B演じたポールや看護師のカレン(ごめん、誰が演じてたのかチェックしてなかったわ)、ステやクリスティ・ヨンたち若手医師にもそれぞれのドラマがあったのだろう。しかしこれは映画、それもトニーとミシェル主演ということでこの二人のエピソードに焦点があてられてしまったために、脇のエピソードまで気が配れなかったというかつながりが見えにくかったのが残念。ジャッキー・ロイやヴィンセント・インなど、渋い個性派俳優たちも出演しているのだから、彼らもチョイ役じゃなくてそれなりに活躍してほしかった。なによりも、これは医師ものドラマでありながら、最終的には医師と患者のラブストーリーというよくある話に着地してしまったのが一番惜しかったと言うべきか。

 トニーはマック先生みたいな下町のべらんめぇ医師とは全く反対の、こういうエリート医師役もかなりハマる。白衣姿はステキだけどどこか頼りないのがミソ(笑)。半裸で鏡の前でポーズ取ったり(胸筋は目立たないが腹筋は一応割れてます)、ミシェルとのエモーショナルなキスシーンもあるのでとりあえず偉仔迷もとはしとしてはそのへんで「きゃートニーったらー♪」と言っておこう。しかしトニーったら最近うーんと年下の女優との共演が多いせいか、はたまた恋愛ものに出るのが少なくなったせいか、いいと思えるラブシーンを見ていない気がしたけど、久々にこのキスシーンはいいと思ったなぁ、やっぱミシェルはきれいだからなぁ、なんて言ってみたりして。 
 ミシェルは珍しく快活な女の子役。キレイで快活なんてうらやましいねぇ。ローレンスとの同居生活でせっせと世話を焼くくだりで、これが他の女優だったら結構腹が立ったかもしれないけど(『星月』のあの人があの映画でミシェルと同じことをやったらかなり腹が立ったと思う)、まーミシェルだからしょーがねーか、なんて。(こらこら!)しかし、いくらキレイでもミシェルはやはり香港女優。キレイな分だけゲロも吐くしアンディじゃなくても鼻血も吹くぞ。ああ素晴らしき女優根性。どーだこれが真似できるか日本女優。演技派と呼ばれるのにはベッドシーンで裸体さらすだけじゃなく(胸チラ見せはもちろん論外)、ゲロも鼻血も吐けることなんだぞー!…しまった話がずれた。
 久々に顔を見たな阿B。ちなみに彼、トニーとは「ホウちゃんの映画に出た」という共通項で結ばれます。予想したとおりトニーより大柄だった(笑)。ステは長髪に銀縁眼鏡で登場したけど、これはドラマ版でソーさん(ウィリアム・ソー)が演じたという役を意識してのこと?クリスティは地味だけどポイントになる役どころ。彼女が普段演じている役柄から考えればここでは看護師役をあてられそうだけど、あえて医師を演じさせたのがよかったかも。

 この映画はバリー・ウォンの製作プロBoBとナット・チャンやヴィンセント・インなど香港の実力派俳優&タレントたちが立ち上げたエンターテインメント集団スターイースト(東方魅力)が共同製作した作品。ローレンスとジャッキーが遊びに行くクラブはおそらくスターイーストが経営していたクラブで撮影されたんじゃないかな。このクラブとレストランはワタシも行ったことがあるけど、今はもうないんだっけ…(前回行った時確認してくるのを忘れた)。  
 
英題:Healing Hearts
監督:ゲイリー・タン 製作:バリー・ウォン
出演:トニー・レオン ミシェル・リー ケニー・ビー スティーブン・フォン クリスティ・ヨン ピンキー・チョン ジャッキー・ロイ ヴィンセント・イン

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