« 『ぺディキャブ・ドライバー』(1989/香港) | トップページ | これまでの3ヵ月を振り返りつつ、新しいことも。 »

『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(1998/台湾=日本)

 最近、この映画のメイキングVCDを観た。予告編も収録されているが、本編同様ゆるゆるとした雰囲気が漂っていた。そうか、予告もゆるいんか…。以上感想終わり。ってつまんねーな、もーちょっと書けよ、もとはし。
 というわけで、薄れゆく記憶をたどりながら、本編の感想を書こうっと。

 19世紀末、上海。広東出身の役人王蓮生(トニー)は遊郭の沈小紅(羽田美智子)と5年来の関係を持っていたが、小紅の気性の激しさに耐えきれず、別の遊女恵貞のところに通い始めていた。それを知った小紅は恵貞を侮辱する。同じ遊郭に働く翠鳳(ミシェル)は置屋からの独立を願い、置屋の姉御的存在の双珠(カリーナ)は女将から遊女同士のトラブルを調停するように頼まれるが、それは思いもいかない方向へいってしまう。そしてある日、泥酔した王は小紅のもとをたずねるが、そこで彼女が他の男と床を共にしているのを目撃してしまう…。

 遊郭というところは、昔から今も変わらず、男と女の駆け引きが展開されるところだ。それはいつどこを舞台にしても同じ事が起こりうる普遍的なものである。候孝賢(以下ホウちゃん)はこの男と女の感情の駆け引きを、お馴染の20世紀の台湾ではなく、清朝末期の上海に出現させる。当時の調度品を揃え、男どもは辮髪(実際できないので全員坊主)女どもは纏足(実際できないので全員高下駄)、いったいどうしたのホウちゃん!と思わずつぶやいてしまったほど、画面の隅々まで前時代の再現に挑戦する。ほの暗い照明に阿片の煙で曇る視界。こちらも実際に遊郭を覗き見るような気持ちになる。
 トニー、ミシェル、カリーナと明星が揃えば、充分にアイドル映画にできるし、実際、デビューしたてのホウちゃんは阿Bことケニー・ビーを台湾に招いてアイドル映画を数本撮っているからそうすることはできたのだろうけど、あえてそうせずに、格調高い文芸作品に仕上げていた。この映画に関しては、寝てしまっただとか退屈だとかいろいろと感想を聞いてきたけど、ワタシは退屈しなかったし、寝もしなかった。
 この映画はトニー映画ではなくてホウちゃんの映画。そして、ホウちゃんが自分の可能性を試してみたかった実験作ではないかと思っている。その実験が成功したか失敗したかはホウちゃんしか知らない。この映画の後、次回作にさまざまな企画が挙がっていた中(例えばトニー&北野武主演で撮りたいとか、トニー&マギー&すーちー主演の企画とか)、ホウちゃんは売れっ子すーちーを主演に『ミレニアム・マンボ』を作り、今年は初の日本語映画にして小津安二郎生誕100年記念映画『珈琲時光』を世に放つ。かつて『恋恋風塵』や『童年往事』そして『悲城情市』の頃と比べると、ホウちゃんはどんどん進化している。もしかして、人によってそれは「ホウちゃんどうしたの?」と思わせてしまう傾向にあるのかもしれない。ホウちゃん自身もすっごく迷っているのかもしれない。でも、そんなふうに思われても彼は映画を撮りつづけながら進化しているんじゃないのだろうか。好きな映画監督であることもあって、世界の巨匠になっても、台湾総統選がらみで事実無根の批判をされても、今後の作品が見逃せないのである。

 それから小紅役の羽田美智子(以下はたみっちゃん)と聞いて、思い浮かぶことなど少々。

1、デビューは資生堂化粧品のCFじゃなかったっけ。
2、ヴォーカリスト渡辺美里の大親友で、彼女のアルバムによくコーラスで参加している。(本当です。以上情報提供は美里迷で偉仔迷の本橋たかこさんです。って自分じゃん)。
3、サラリーマン金太郎のヒロイン。
4、「まぁ!!可愛い!!!」が口癖の駄洒落歌の詠み手亀山千鶴(fromトリック)はサイコーだった。

 以上のように列挙してみるとおちゃめなんだかお嬢様なんだかよくわからない、はたみっちゃんである。そんなはたみっちゃん、実はマギーの代役としてこの役に選ばれ(というより合作先のプロデューサーがかんでたんだろーが)たものの、完成と同時に合作先が「お家騒動」でとばっちりを食ってしまい、今思えばとってもかわいそうな立場に立たされてしまった人だ。ワタシも当時は「トニーと初めて本格的に共演した日本女優」として彼女を観ると「ううう、いいなぁはたみっちゃんうらやましいいぃ~」なんてやっかんでしまっていたし、カリーナやミシェルのような堂々とした女優たちと比べちゃうと、なんか演技力がなぁ…。なんて思ってへこんだもんだった。でも、彼女にとって、これもいい経験になったのではないだろうか。この映画があったからこそ、彼女に注目するようになったし、『トリック』のゲストのはじけっぷりも面白かったしさ。あのプロデューサーとはとっくに切れているんだろーしね(笑)。某☆月の主演女優より注目しちゃってあげてるのはいうまでもないけど、代表作がサラ金(笑)ってのもどーかと…。
と、なんかわけのわからないまま終わる。

 この映画、おそらくDVD化されてないんじゃないか?と思って調べてみた。…やっぱり。松竹さ~ん、せっかく『珈琲時光』を製作&配給されるのですから、それを記念してこの映画も一緒にDVD化しちゃってもかまわないんでわないでせうか?どーぞよろしくー。

原題:海上花
監督:ホウ・シャオシェン(候孝賢) 原作:ハン・チーユン(韓子雲)『海上花列伝』(平凡社刊)/チャン・アイリン(張愛玲)『海上花開。』『海上花落。』
脚本:チュー・ティエンウェン(朱天文) 撮影:リー・ピンビン(李屏賓) 音楽:半野喜弘
出演:トニー・レオン(梁朝偉) 羽田美智子 ミシェル・リー(李嘉欣) カオ・ジエ(高 捷) カリーナ・ラウ(劉嘉玲)

|

« 『ぺディキャブ・ドライバー』(1989/香港) | トップページ | これまでの3ヵ月を振り返りつつ、新しいことも。 »

台湾映画」カテゴリの記事

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/14197/427050

この記事へのトラックバック一覧です: 『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(1998/台湾=日本):

« 『ぺディキャブ・ドライバー』(1989/香港) | トップページ | これまでの3ヵ月を振り返りつつ、新しいことも。 »