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『狼たちの絆』(1991/香港)

 前回はブリブリ怒りまくり見苦しかったと思います。失礼いたしましたm(_ _)m。
今回は思いっきり楽しみながらReviewいたします。

 ワタシにとって、前回アップした『星月童話』は先に書いたようなことから、考えれば考えるほど腹が立ち、気分が滅入ってくる映画だが、今回取り上げる『狼たちの絆』は考えれば考えるほどニコニコしちゃって気分がよくなる映画だ。今日はレスリーの命日。彼の不在を嘆くのなら、好きな彼の映画を語ったほうがいい。
 この映画はワタシから説明するのもなんだけど、前年病を患って休業宣言をしていたチョウ・ユンファの復帰作にして、チェリー・チェンの女優引退作、そして当時の日本では「レスリー・チェン」と表記されていたレスリーの引退作(その後あっさり復帰したが)となった作品だ。ユンファ&レスリーといえば『男たちの挽歌』2部作というわけで、監督はウーさん。この後に撮った『ハードボイルド』を最後に香港を離れるから、このトリオの最後の作品ともなる。ハリウッド進出後の活躍は言うまでもないけど、ジョン・ウーというと「乱暴で銃撃ばっかり」とか「人殺しすぎ」とか言って見向きもしなかったり、最新作『ペイチェック』に違うものを期待してガッカリした一般的ハリウッドファンには、是非この作品を観ることをオススメしたい。ウーさんは、こんなおちゃめで粋なコメディタッチのアクション映画も撮れるんだから。

 悪徳美術品ブローカーのチョウ(ケネス・ツァン)に盗みの技術を仕込まれ、兄弟同然に育てられたジョー(ユンファ)、ジム(レスリー)、チェリー(チェリー)。フランスで名画泥棒として暗躍するジョー&ジムは仕事より3人で暮らす幸せを望み、とある名画を盗み出すが、獲物は謎の組織に強奪され、ジムは被弾。ジムを助けたジョーは逃亡の果てに車で転落して行方不明に。数年後、結婚したジムとチェリーは車椅子姿のジョーと再会。さらに因縁の絵画がオークションにかけられることを知った二人はリベンジを決意。だが実は、この絵画の強奪に関わったのが育ての親のチョウとその一味。幼少時から3人組を知るもう一人の“育ての親”である警官(チュウ・コン)が心配する中、壮絶な名画強奪大作戦が香港にて展開する。

 この映画は学生時代、もうすぐ再開発で取り壊されてしまう銀座シネ・ラ・セットが「有楽シネマ」だった頃に發仔迷の友人と一緒に観に行った記憶がある。よく考えれば初劇場でのウーさん映画、ユンファ映画、そしてレスリー映画だったのだ。『男たちの挽歌』でユンファ&レスリーが日本でも知られたのはいいが、ユンファ主演でマフィアや殺し屋や刑事が主人公のノワール映画が日本で公開される時にはなぜかシリーズでもないのに『○×たちの挽歌云々』とつくのがすっごく不思議だったが、この映画は上のようなキャスティングにして上のようなストーリーだったのに、なぜか『男たちの挽歌○×』ではなくて上のような邦題。…しかし、いかにもーなハードボイルドな邦題なのに中身はアクションコメディ。当時何かを期待して行った人たちはガッカリしただろーなー。でも、今だからこそ評価されていいと思う映画だと思う。
 ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの如く、粋で気のあったコンビプレイを見せてくれるユンファとレスリー。ユンファはその人柄がにじみ出るようなユーモアに時々笑いをとりつつ、アクションシーンではきっちり決める。クライマックスでいきなり舞うカンフーシーンに「似あわねーっ」と苦笑したものの、まさかこの約10年後にカンフー映画(『グリーン・デスティニー』)に出るとは思わなんだよ。しかしねぇ、『バレットモンク』でも思ったけど、あまりユンファに無茶なカンフーシーンを振らせるもんじゃないよ、ハリウッドよ。
 当時36歳のユンファと一つ違いのレスリー。いやぁ、この頃はまだ若い。だって○が○○○○…。(こらこら!!)こちらは色男路線でカッコよく決める。
香港ではすでに『欲望の翼』の演技が評価されていたけど、この映画では『挽歌』のキットにつながるかわいいやんちゃさも発揮。そしてこの時すでにあやふやな日本語を(一言だが)喋っていた…。これが『星月』とかコンサートの「スケベェさん」につながるのか(大笑)?劇中に流れるのは山口百恵の「さよならの向う側」をカバーした「風繼續吹」。当時観た時はもちろん、地元のオールナイトで上映されたときも、来日コンサートでもこれを聞いてジーンとしたものだった。名曲だわ。レスリーの歌の中では一番好きだ。
 そんな二人に愛されるチェリーは、この素敵な映画にふさわしい大人の味わいを醸し出したヒロイン。笑いもとるけどジョーとジムの間で揺れる心は隠せない。パーティーシーンが素敵だったわ。そして『挽歌』シリーズに欠かせない名脇役、チュウ・コン&ケネス・ツァン(彼はユンファと共に渡米して『リプレイスメントキラー』や『アンナと王様』に出演したり、久々の香港映画『美少年の恋』では彦祖のパパ役だったっけね)も3人の共演に花を添えてくれる。
気心の知れた仲間と楽しく気楽に作ってみました、とウーさんが言っているような気がしたキュートな小品だった。
 『挽歌』では少年くささ(といってもこの時すでに30歳超えてたんだが)が抜けなかったレスリーも、この映画ではすっかりオトナな存在に。これからという時に引退を宣言したわけだから、惜しまれたんだろうね、当時は。…でもそれから間もなく引退宣言を返上して芸能界復帰しちゃったわけだから、当時の香港人は力いっぱいつっこんだに違いないだろうね。「なに帰ってきとるんじゃオマヘわ(^_^;)!!」って感じで。
でも、それももう、今となっては思い出の彼方なんだねぇ、きっと…。

原題:縦横四海(once a thief)
監督・製作・脚本:ジョン・ウー 製作総指揮:テレンス・チャン
出演:チョウ・ユンファ レスリー・チャン チェリー・チェン チュウ・コン ケネス・ツァン  

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