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The snows(2001/日本・香港合作)

 祝!スティーブン・フォン(以下ステ)来日&初監督長編作品《大[イ老]愛美麗》完成記念に感想アップ(こじつけくさいなー)。ちなみに先日行われたステのファンパーティー、ワタクシは“フルタイム・エフェクト”ツアー中だったので参加しなかったのだった(…ってステのファンだったのか?>もとはし^_^;)。
この作品は昨年、みちのく国際ミステリー映画祭にて鑑賞。(本館の日記ページに書いたレポートに加筆訂正した決定版感想である)おそらく劇場未公開になる可能性が大きいため、多少ネタバレになるところもあるけれど、そこはご了承を。

 ずいぶん前から電影迷の間では多少話題になっていた、ステが出演する江戸川乱歩原作、共演が伊東美咲&谷原章介という、この『白髪鬼』。しかし、ステはいつの間にかハリウッドへ行ってしまい、いろいろオーディションを受けまくっているらしいと聞いた(現在は帰ってきている)時はすでにこの映画がどーなったかなんて誰も口にしなかったように思える。あれこれ調べてみたら、監督もあの『詩人の恋』のケイシー・チャンからぜんぜん聞いたこともないような人に代わっていたし、そもそも香港でも上映されていなかったというから、きっと何かあるに違いないなぁ。なんだろう?といろいろ思いながら来盛したステとともに映画を観たのだった。

 時は戦後、舞台は長野。えーとこの若き当主・林保(ステ)は友人の画家川村(谷原)と共に冬を過ごしていた。ある日林邸で開かれた舞踏会で、保は美しい女性瑠璃子(美咲)に心を奪われる。早速二人は結婚するものの、保は仕事で上海へ。彼の留守中に、もともと彼女に恋していた川村は瑠璃子と親密になる。保はチフスにかかって帰国して療養、その後に瑠璃子の妊娠が発覚し、二人は保に隠れて産まれたばかりの子供を殺す。さらに川村はスキーに出かけた際、事故で負傷した保の頭を石で殴って殺す。保は林家の墓(というか土蔵のようだったが…)に丁重に葬られるが、密かに息を吹き返す。墓から這い上がった保の髪は白髪に変わってしまい、傷を負った美貌を仮面に隠して「保の叔父・里見」と名乗り、川村へ復讐する…。

 …ああ、痛たたた。痛いよぉーこりゃ。いやぁ、香港でも未公開ってのはなんとなくわかるよーな。つーか上映中は心の中で突っ込みまくり、上映後に友人たちとツッコミ合戦を始めたくらいだもの。とにかく珍作だった。
 ワタシは本好きのくせに実は乱歩は読んだことがない。横溝正史の金田一は子供の頃に読んだけど、乱歩はTVドラマや映画で観たから、知ってるつもりになっているところがある。(『乱歩R』は観ていません。これで『白髪鬼』はやったのかな?)全体的な出来は、昔天知茂の明智小五郎シリーズ(明智は稲垣のゴロちゃんも演じてたっけ)を放映していた頃のような『土曜ワイド劇場』の雰囲気を目指したけど思いっきり失敗した?という感じだったかな。香港でも『リング』や『死国』等のジャパニーズホラーが流行ったので、アジアンホラーの先駆者になろうと意気込んでこんなふうになってしまったのだろうか。ステを使う意義もあまりないような…。監督こそ香港人だけど、スタッフロールを眺めていたらほとんど日本人だったしな。日本主導の企画だったのか?
 おどろおどろしく退廃的な乱歩作品だからとはいえ、えぐい場面も多数あり。特に川村が里見こと保に「新作絵画のインスピレーションとなるモチーフ」を贈られ、川村が「それ」を描くことにとりつかれていくところなどはかなりきつかった。原作でもそうだったのかな?このあたりは香港なら確実に三級片決定だろーな、というものだったよ。

 ステは日本人役なので声は吹き替え(担当は置鮎龍太郎氏)。これは『南京の基督』『kitchen』での富田靖子ちゃんの逆ヴァージョンね。結構渋い声に感じたので「え?こんな声でいいの?」と思った次第(笑)。この映画の撮影の時はちょっと太っていたみたいで、なんだかおちびに見えたが、川村が彼をモデルに絵を描くシーンでいきなりヌードを披露。しかも微妙なアングル。サービスカットかい?(*^_^*)このシーンからしばらく観ていると、「保と川村って実は愛し合ってるんとちゃうか?」と錯覚した(爆)。いや、ホントに。保が瑠璃子とラブラブしているときに川村が見つめている眼が妙にそーゆー感じだったのでね。
 その川村役の谷原君、白髪の復讐鬼里見に追い詰められて壊れていく怪演っぷりがすごかった。今までよく知らなかった俳優さんだっただけにちょっとこれから気をつけて観てあげようかな、なんて思ったりして。
 んでヒロインの美咲嬢だが…実はアタシ、彼女の演技観るのはこれが初めてなのよね。(邦画では『模倣犯』に出ていて、現在主演作を撮っているって聞いたけど)そんで、この映画が実質上の銀幕デビュー作だそーだが…。いやぁ、すっげー…だった(ファンの人ごめんなさい)!TVでは結構演技派なのに銀幕デビュー(それも合作)では期待を裏切る…演技だった某嬢を思い出したよワタシ。いや、それ以上か。なんかもう、はあぁ…って感じのものでしたわ。

 香港公開から日本公開まで3年かかった『フルタイム・キラー』もなぜそこまで放っておかれたか、観たときにはなんとなーくわかったけど、この映画の場合は香港ですら公開されていないというから、…まぁ、実際見てその理由はよくわかったわ。監督が交代した理由もね。
 ステよ、監督作品を作るために、この映画に参加したことはとってもいい経験になったことだろう。これからも、君の夢に向かって邁進してくれたまへ。そして《大[イ老]愛美麗》を引っさげて再びみちのくミステリー映画祭に来てくれい(願望)。

原題:白髪鬼(Face to face)
監督:ウォン・マンワン 原作:江戸川乱歩『白髪鬼』
出演:スティーブン・フォン 谷原章介 伊東美咲 石堂夏央 置鮎龍太郎(声の出演)

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コメント

白髪鬼、聞いた話では日本側が制作費を工面できず、香港サイドのお金だけで撮影したものの、内容、出来にどちらサイドも満足できず、お蔵入りになっていたのを、反対者の多いなか、表に出したのだとか。多分、日本サイドのギャラを支払うためでは?ステはいい奴でした、と聞きました。

投稿: M エム | 2005.06.09 19:32

Mエムさま、コメントありがとうございました。
多分そうじゃないかなと思っていました。
日本ではDVD化までなったのですよね、確か。

2年前のみちのくにて、サポートしていた知人がステに直接この映画の話も聞いたらしいのですが、完成品を見ていろいろ思うことはあった、と言っていたそうです。

投稿: もとはし | 2005.06.09 21:10

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