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『北京故事 藍宇(ランユー)』北京同志

 本日、やっと《藍宇》を鑑賞。今Reviewを書いている最中なので、原作本の感想を先にアップ。
なお、今回の文章は別名義で中華ものと無関係な某日記サイトに書いたものを加筆訂正した“funkin4hk version”なのでご了承を。

 『北京故事 藍宇(ランユー)』北京同志 九月訳 講談社

 自らゲイとカミングアウトした後、ジェンダーをめぐるドキュメンタリー《男生女相》やゲイの男性とストレートの女性を交えた複雑な人間模様を描く『ホールド・ユー・タイト』を発表したスタンリー・クワン。現在はプロデューサーも兼業している彼が注目し、香港映画でありながら北京を舞台に、『東宮西宮』《無間道2》の胡軍(フー・ジュン)、『山の郵便配達』の劉燁(リュウ・イエ)を主演に撮ったゲイムービー《藍宇》の原作。ちなみに訳者の「九月」さんは香港映画専門のフリーライター、浦川とめさんのペンネーム。浦川さんは以前「千夜ハルコ」のペンネームで『夜半歌聲』ノベライズの翻訳も手がけられていました。
 
 最近こそ、女子高生に人気の『Deep Love』シリーズ(全4巻)やドラマ化された市川たくじの『Separation』など、携帯サイトやネットで発表された小説が日本でも認められるようになったけど、インターネットはインディーズ小説の発表の場として最適なメディアだと思う。ただ、日本語だとどうしても読者層が限られてしまい、外国語に翻訳されない限り世界に広がっていかないと思うけど、この小説版『藍宇』は中国のネットで連載されて評判を呼び、台湾で単行本化されたものだ。各国・都市の中国語圏でのつながりなどを考えると、このようなケースは決して珍しくはないのだけど、この小説が話題になったのは、中国本土では禁じられている同性愛者の恋愛をテーマに取り上げられた小説だからなのだ。(ちなみにゲイは中国語で「同志」というスラングになる。だから作者名を日本語にすると「北京のゲイ」というようになる)
カンヌ映画祭パルムドール受賞作『覇王別姫』は同性愛を描いている点で問題になり、現代中国のゲイを取り上げた『東宮西宮』はカンヌ映画祭の“ある視点”部門に強行出品されたことが中国政府に問題視された。一方、香港ではゲイが主人公の映画は『ブエノスアイレス』や『美少年の恋』を始め、多数存在する。ついでに同テーマを扱った日本の一般映画は橋口亮輔監督の『ハッシュ!』や江國香織原作の『きらきらひかる』くらいかなぁ…。わりと少ないはず。

 中国の民主化が始まろうとしていた1980年代後半の北京。高級幹部のボンボンでベンチャー企業を営む陳捍東(チェン・ハントン)は男女を問わずベッドを共にするバイセクシュアルのプレイボーイ。そんな彼が、北京に来たばかりという北方出身の16歳の大学生・藍宇(ランユー)と出会う。最初は遊びと割り切って彼を抱いたハントンだが、これが初めての性の相手となったランユーは彼を純粋に慕い、二人はやがて心から愛し合うようになるが…。

 異性でも同性でも、人を愛する心は同じであると私は思うけど、今だに一般社会(特に男子の多い職場など)でそういうことを大っぴらにいうと思いっきり誤解される。(やれお前はオカマがいいってのかと何とか。なぜ一般的な男の人はオカマとホモとゲイを同じものって捉えてしまうのか?と考えちゃうんだけど…これはワタシの周りだけか?)
使い古されたフレーズだけど、愛の形はさまざまだし、障害があるほど愛は燃える。ハントンとランユーの恋愛は、たまたま好きになったのが同性で、自分たちが同性愛が認められない中国に生きているから障害が大きいってだけで、あとは至って普通の恋愛だ。恋愛にほとんど障害がなくなってしまい、中高生でも出会ってすぐセックスしちゃうようなチープでお気楽な日本の恋愛物語に飽き飽きしていると、こういうものが新鮮に思える。…なんてことをいったらいろんな人に怒られそうだなぁ。

 そういえば、私は商売上ボーイズラブ小説も多少は読むけど、あれも出来不出来が激しいので、ただただ意味なくラブラブなだけのはずれ小説に当たるとげんなりしてしまう。BL好き婦女子はこの小説をどんな風に捉えて読むのか知りたいなぁ。
 中華なBL小説といえば、角川ルビー文庫から出ていた『美少年の恋』ノベライズ版もあるので、これも過去に書いた文章を加筆訂正の上、近日Reviewをアップ予定。映画やコミカライズと一緒に感想をアップしようかな。

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