《摂氏零度 春光再現(Buenos Aires zero degree)》
1997年にカンヌ国際映画祭に出品され、最優秀監督賞を受賞した王家衛作品『ブエノスアイレス』。この映画についてのさまざまなエピソードは主演のトニー・レオンや王家衛のインタビュー、クリストファー・ドイルの『ブエノスアイレス飛行記』(プレノン・アッシュ)で語られてきたが、この《摂氏零度 春光再現》は未公開シーンや当時の台湾人撮影スタッフによるロケ地探訪を交えつつ、この映画がいかに作られたかが改めて語られたメイキング・ドキュメンタリーだ。
メイキングにはこれまで知識として知っていた、全編カットされたシャーリー・クワン出演のくだりや、当初“トニーの死んだ父の男性の恋人”役だったレスリーの女装姿(なぜか反転カット…ほわーい?)、トニー演じるファイが自殺する場面などが盛り込まれているが、改めて知った物語もあった。自殺を図ったトニーは近所の中国人女性によって助けられたというエピソードがあったこと、そして、チャン・チェンとシャーリーがお互いに関わることになる話もあったこと。チャンとシャーリーの話はこれだけで1本の映画にできそうだが、王家衛は「トニーとレスリーのための映画」を目指したようで、そこにこだわらず結局カットした。これは当然だと思う。『ブエノスアイレス』は『恋する惑星』のような「イマドキの若者の二つの恋の物語」ではなく、「一人の男とその恋人の一つの恋の物語」なのだろうから。 レスリーのスケジュールの都合さえなければ、王家衛も「トニーとレスリーの物語」に存分にこだわって、濃密な恋愛模様を描きたかったのかもしれない。そんな映画も観てみたかったが、今実際にワタシたちが観ている作品とは、おそらく違うものになっていただろう。
ワタシ自身『ブエノスアイレス』にはわりと思い入れがある。簡単な感想は本館に書いたが、このメイキングを観たら、あらためて見直してもう一度感想を書こうかなという気もしてきた。
監督:クワン・プンリョン&エイモス・リー
ウォン・カーウァイ監督作品『ブエノスアイレス(春光乍洩/happy together)』より
ラインプロデューサー:ジャッキー・パン 撮影:クリストファー・ドイル
出演:トニー・レオン レスリー・チャン チャン・チェン シャーリー・クワン ウォン・カーウァイ レティシア・イエ
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