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『もういちど逢いたくて・星月童話』(1999/日港合作)

!注意!今回はかなり暴言が連発されることが予想されます。この映画をこれから観ようと思っている人およびこの映画が好きな人、この映画の主演男優&主演女優を熱烈に愛している人はここから先は読まないことをオススメします。万が一読んでしまって不快な気分になってしまった場合、筆者は一切責任を負いませんのでご了承ください。

 ああ、ついにこの映画について語るときがきたか…。
何度となく言っているのだが、どんなトホホ作品でも香港映画なら「許せる」感があるのだが、それでも、どうしても許せない映画というのがある。でもさぁ、嫌いな映画の感想って書くの難しいんだよねぇ。でもなんとか書いてみよう。
もとはしにとってはオールタイムワースト香港映画はこの『星月童話』なのだ。

いつもなから個人的なことから感想を…。
何度となく書いてきたが、ワタシはラブストーリーがキライだ。もちろん、すべてのラブストーリーを憎んでいるわけではないが、特にキライなのが90年代初頭に日本で氾濫したトレンディドラマに代表される薄っぺらい恋愛ものだ。いつも同じ顔ぶれの俳優陣でストーリーもあってなきが如しだし、それよりも主人公たちの着ていた服やロケを行った最先端スポットばかりが話題になる。なんかそれが馬鹿馬鹿しくて見られなかった。それと同時に、バブル時に確立されたクリスマスやバレンタインデーの恋愛イベント化で、日本の若者の「恋愛体質」が進行していったことも引いてしまう要素となったし、なによりも自らが恋愛体質ではないので、「どいつもこいつも愛だ恋だ言うなぁー!」なんて吠えていたのであった。心の中で。
そんなふうに月に吠えていた(やや誇張気味)90年代に、「トレンディドラマの女王」として君臨した女優がこの映画の主演女優だ。ちなみに彼女とワタシは同世代である。念のため。

 香港人の母親を持つ日本人ホテルマン達也(レスリー)との結婚を控え、幸せの絶頂にいたOLの川村瞳(常盤)25歳。しかし、車の運転中に達也の携帯を瞳がとってあげなかったことが原因で事故が発生。瞳は生き残り、達也は死んだ。達也の死が認められない瞳は、彼の故郷でもあり結婚後に彼が勤務することになっていた香港へ飛ぶ。同じ頃、香港ではマフィアの金(カオ・ジエ)のもとにもぐりこんでいた刑事セッ・カーポウ(レスリー)が瞳の滞在したホテルに張り込んでいた。カーポウが危機を察知してとっさのカムフラージュをした時にこの二人は出会う。恋人と同じ顔をしたカーポウを見た瞳は達也が生きていたと錯覚し、カーポウを追いかけるのだが…。
 ストーリーは観たままを書いてます。公式発表と違うのは充分承知。
まずは製作発表から思っていたことだが、「死んだ恋人と瓜二つの男性と出会い、お互いに愛し合う」物語ってあまりにもベタ極まりなし。だいたい愛しの達也と同じ顔だからって同じ人間じゃないってわからんかなぁ瞳よ。情緒不安定だからってその行動ってどーなんだよ!ってつっこんだこと数度。見知らぬ男の部屋に上がりこんだらレイプされる可能性があるってことくらいわかれよ!たとえ香港といえども外国なんだから、無防備にしてたらカモにされるんだぞ日本女子。…そうそう、瞳は片言だけど異常にヒアリングがいい広東語を操るわりに、香港にそのまま日本の習慣を持ち込んでるんだよね。海外で日本と全く同じ料理が作れるとは思えないけど、いくら当時の香港が日本ブームに沸いていたとはいえ、なんかなぁ…って気分にさせられた。
 カーポウは潜入捜査官なんだが、襲撃事件の末にマフィアと警察双方から追われることに。当然彼にくっついていた瞳もそれに巻き込まれ、二人で逃亡する羽目に。『無間道』のようなハードボイルドな雰囲気はないけど、カーポウとマフィアたち、そして警官たちの攻防は非常に見ごたえがあった。演出も色合いやカメラワークも最高。このトーンでどんどんストーリーを進めてほしかった。だけどなぁ…この物語は所詮ラブストーリー、アクションはあくまで脇役なのだ。だから中途半端になってしまいガッカリするしかなかったのだ。カーポウと瞳は新界の牧場に逃げ、彼の死んだ妻の姉(ミシェル・ヨー)に出会う。彼女から瞳はカーポウの過去を聞き、やはりカーポウ=達也ではないと自覚する。姉もカーポウが好きだったのだろう、しかし、潜入捜査官である彼を心配するあまり情緒不安定で自殺してしまった妹の思いを考えると、じっと見守るしかなかったのか。ここでのミシェル姐さんはサイコー。一気に画面を引き締めてくれたんだが…瞳よ、ぶち壊すなよぉ。
 このあとはなんのかのあって、ヴィクトリアピークでハッピーエンドを迎えるのであった。…しかし、うまくやっていくというより、瞳は今後もあの調子でカーポウを振り回していくんじゃないかなぁ、と思うと…。

 常盤嬢はこの映画が初主演だったとか。書き下ろし脚本とはいえ、初主演で「憧れの人(本人談)」と共演、海外合作とかなりデカイ話で本人はビビッてんじゃねーか、と思いきや、全くそうではなかった。きっと彼女、プレッシャーとか感じないんだろーな、最近出版されたエッセイでもかなり天真爛漫に書き綴っているから、何事においてもひたむきで年齢を感じさせないくらいに無邪気、それゆえにお茶の間で大人気、ドラマ撮影現場でも評判がいいらしい。だけど…、映画とテレビは違うものってのは、演技者であるのならひたむきで天衣無縫ちゃん(天然ちゃんとはそれは違うか?)でもちゃんとわかるもんじゃないかなぁ。映画での彼女の演技がテレビと全く同じものだったので、映画を見慣れているこちらから観ると、あまりにもきつかったのだ。頑張って広東語を修得し、撮影時に自分でいろいろチャレンジしていくのは悪くない。しかし、テレビでは演技派に見えるとはいえ、映画で顔だけ(しかも表情はパターン化)の演技は辛いのだ。『南京の基督』での富田靖子は声こそ吹き替えられたものの、彼女の演技全体は台詞が本人の声ではないハンディを吹き飛ばすくらい感情豊かだったので、そういう前例と比べてしまうと、この映画にヘコむのだった。あんな無邪気な日本女子より、もうちょっとしっとりして意志がしっかりした演技だったら、まだ話にあったと思うんだけど。そう、ミシェル姐さんのような大人の女。彼女やマギーやカリーナなど、香港のオトナな30代女子(皆さんもう40歳近いけど)が好きだと、瞳のキャラがとにかく幼稚で、自分もまた幼稚だから観ていて腹立たしくなってきちゃってさぁ…。同種嫌悪というほどワタシは常盤に似てないがな。名前はいっしょだけど。(ワタシのフルネーム「もとはしたかこ」だからね)
 レスリーはさすがに女性に優しいからうまくフォローはしてあげているけど、やっぱり日本人役がきつい。『東京攻略』のトニーのへっぽこ日本語に負けていない。誰か何とかできなかったのか、達也役に椎名桔平を起用するとか(おいおい!)でもさぁ、なんでレスリーはこの映画に出たのかなぁ…。それはオファーがあったからっていうのは事実だけど、カンヌウィナーの『覇王別姫』や『欲望の翼』でアイドルから演技派男優に脱皮し、歌手活動復帰後は彼にしかできないステージングを見せたレスリーなら、もっといいストーリーでのオファーがあってもおかしくなかっただろうし、日本で自分をアピールできるからといっても、日本で共演するなら山口智子とか薬師丸ひろ子くらいの(まさにカリーナやマギーと同年代だ)ヴェテラン女優あたりだろう。…黒木瞳も可だったか?でもファンから反発きちゃうか。やっぱりさぁ、今思えばこれは間違っていたと思うよ。だって、1年前のあの日以降、ワイドショーでレスリーのプロフィールが紹介されたとき、「常盤と共演した香港俳優」っていう一言と、この映画のシーンが繰り返し流されてしまったもの…。こういう情報で一般人にレスリーのことが記憶されると思うと、ファンじゃなくてもワタシは悔しい思いをしたんだもの。(関係ないけど、サッカー好きの某ラジオパーソナリティーが自分の番組で「香港四天王の一人レスリーが…」といっていたときも悲しかったもん。彼が四天王なら誰が抜けるんか?なんてとっさにボケた自分も悲しかったもの…)

 なによりも、せっかくの香港映画だったから、恋愛よりもアクションメインでいってほしかった。香港でラブストーリーだからといって、日本のドラマ作りと同じように映画作りを考えているのなら『君さえいれば』や『恋する惑星』と同じ、いやそれを超えるものは作れない。骨の髄まで香港映画に冒されていて、日本の若者の恋愛至上主義に辟易しているもとはしのような人間にとっては素直に受け入れることができない映画だった。「香港映画で日本人が日本の様式そのまま持ち込んでトレンディドラマ作んじゃねーよ!おまけにちっとも異文化交流になってねーぞ!」と月に向かって吠えた、5年前の初夏だった。

 この長文を読んでご気分を乱された方、申し訳ございません。海より深く反省しております。というわけで次回は、お詫びも兼ねて私のすきなレスリー映画の感想をアップいたします。予定としては『覇王別姫』か『狼たちの絆』です。ではでは。

英題:starlight express
監督:ダニエル・リー 脚本:青柳祐美子&ロー・チーリョン 音楽:松本晃彦 アクション指導:ドニー・イェン
出演:レスリー・チャン 常盤貴子 ミシェル・ヨー サム・リー

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コメント

 ほとんど同感でございます。私はとくに「いずみさの映画祭」でスー・チーちゃんだったからうちんだったかの本物を見て、熱いオールナイトを過ごした翌朝になんばの映画館で「星月童話」を見たので、ほとんど無意識に手を前に伸ばしてリモコンでチャンネルを変えようとしたものでした(寝ぼけてる)。
 何がイヤって、肉じゃがをレスリーに食わせようとしたのがイヤ。大嫌い。あの場合はとっさにお粥を作るのが日本女子の心意気ってモンだろうが! 「なんでこの粥には味がないんだ!」「弱った体には白粥がいちばんでしょ?」「そんなもの、香港人が食うかーっ! 鶏肉で湯を作れっ!!」「トリ肉でお湯を?」「Soupだよっ」と、無言で筆談して笑わせてくれるぐらいの茶目っ気が必要でしたよ。わしに全面改稿させなさいっっ、とイライラしたことでした。いや、広東語を入門コースででも勉強してたら、日本の白粥と中華粥の違いのことぐらい知ってるって(-_-;)

投稿: nancix | 2004.04.01 13:26

 いやぁ、当時「香港映画は2回観る」がモットーだったワタシなんですが、2回目観ればいいとこ見つけられるかも…なんて思って再見したら、ツッコミ倍増しましたね(^_^;)。
 手作り攻撃って自分でやるのも苦手です(お菓子作って友人にやるのは好きなんだが)。肉じゃがは私も得意だけど、これ作ってやったってことは達也の好物だからって考えをひいても「日本女子は肉じゃがでオトコを落とす」っていう定説を香港で踏むとはなんてこと!落とすなら粥はもちろん包子とかちまきとかイタリアンポーク(冗談)だろーと今思ったのでした。

投稿: もとはし | 2004.04.01 22:57

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