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ヘブン・アンド・アース 天地英雄(2003/中国)

 祝!貴一ちゃん日本アカデミー賞最優秀男優賞受賞記念!(冗談冗談。しかもワタシ貴一ちゃんファンじゃないし)というわけで『ヘブン・アンド・アース 天地英雄』を観た。日本では20年以上のキャリアを誇る彼がなぜ中国映画に出演!?いや、香港ではフェイと共演の『ウソコイ』の時に「日本周潤發」と紹介されていた(オーバーな!とツッコミ入れたもんだ)くらいだから知名度はそれなりにあるんだろーけど、貴一ちゃんくらいのキャリアになるとあまり日本から出たがらないじゃないかな。だから驚いたのさー。でも、いい心がけだぞ貴一ちゃん。しかも共演は姜文さんにヴィッキー!豪華やーん。
 …しかしこのタイトル、やっぱなんとかしてくれ。「天地英雄」だけで充分だよ。

 唐代初期!飛鳥時代末期!遣唐使!シルクロード!突厥!キャラバン!馬賊!いやぁ、こうやって語句を並べたてるとなんかロマンだねぇー(^o^)。飛鳥時代から平安時代初期までに唐へ渡った遣唐使でいちばん有名なのは、文明堂のドラ焼き「三笠山」の由来になった句「天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山にいでし月かも」を詠み、故国に帰ることなく客死した阿倍仲麻呂じゃないかと思うのだが、どうだろうか。
 でもさー、実際に遣唐使って唐では何をやっていたのだろう?阿倍仲麻呂は当時の皇帝に重用されたそうだけど、学校の日本史ではそこまで習わなかったような気がするんだよん。ホントにこの映画の来栖(貴一ちゃん)のように、皇帝の密使として裏切り者の暗殺するための刺客として送り込まれたりしたのか?…まぁ、『英雄』や大河の『新選組!』に倣って(ん?)時代考証に口出し無用ってことでいこう。細かいこと気にすんなってことやな!(おいおい、それでツッコミできるのか?)
 その貴一ちゃん、もとい来栖が将軍の娘文珠(ヴィッキー)と共に追う裏切り者は元軍人の李隊長(姜文さん)。彼は突厥の捕虜(といっても女性や子供)を処刑しなかったことで朝廷のお尋ね者となっていたが、キャラバンの用心棒をして暮らしていた。そんななか、李は印度から経典を持ち帰る少年僧のキャラバンを護衛することに。そのキャラバンを狙うのは馬賊の安(王学圻)や突厥の兵。やがて来栖もキャラバンに合流し、任務はとりあえずおいといて僧と荷物(これに伏線がある)を守り、安たちと対決することに…。

 観ていて思ったこと。う~む、キャッチコピーと内容がかなーり違うじょー(爆)。
 主人公は来栖一人だけじゃなくて、メインはあくまでも李隊長。よーするにダブル主演なのか?そのため、語りの視線も来栖に同行しつつ李隊長にも思いを寄せる文珠に設定してるわけだな。
 しかし話はかなり大味だったぞー。僧侶が運んでいた荷物の実体が明らかになるあたりでううーむ…となってしまったし、多勢に無勢が見ても明らかになったクライマックスの城砦での戦いの決着も「おいおいそれでいいのかよホントにぃ!」と叫んだ(もちろん心の中で)。いや、それがなんだかは書かないよ。ここでネタバレしたら余計つまんないし。
 アクションはワイヤーをあまり使っていないせいか(でも一部で人が飛んでた場面あったな)、日本の合戦シーンのような団体戦メインかな。しかし貴一ちゃんが刀を振るうと、どーしても日本の時代劇を観ている気分になるのはワタシだけでせうか?カメラワークはアクティブで、「ドイルにーさんじゃないんだからー」とつっこんでいたら、なんと撮影監督はベテランカメラマンにしてウディ・アレン作品でもカメラを担当しているチャオ・フェイ(趙非)さんじゃないすか。ビックリー。

 その時代劇っぽい(おいおい、この映画も時代劇じゃないか)アクションしてた貴一ちゃん、一番心配してたのは中国語の台詞なんだけど、…悪くなかった。でも『大地の子』での上川隆也さんの台詞運び(実際、日本俳優では彼が一番中国語が流暢だったと思う)のレベルにはまだまだかなって感じ。細かい三つ編みを組み合わせた長髪と衣裳は凝ってたな~。んで姜文さんは久々のカッコいい役。でも、あまりにも典型的なヒーローキャラで面白みがないような気も…?最初の長髪より短髪の方がいい。ヴィッキーはほこりくさい西域に出てもちゃーんとキレイどころなので殿方はご安心を。(って何を安心するのだ?)

 全体的には平坦かなぁ、イマイチ面白みに欠けるとこあるかなぁって作りだけど、最近では珍しい唐代が舞台で、新疆ロケが生きている乾いた西域の映像は悪くない。シルクロードがお好きな方はそのへんだけでも観る価値はあるかもしれないなぁ。あと、インドの巨匠A.R.ラフマーンの音楽は、ちゃーんと中国の大作映画にふさわしいスコアだったよ。

監督:何 平(ホー・ピン) 音楽:A.R.ラフマーン
出演:姜 文(チアン・ウェン) 中井貴一 ヴィッキー・チャオ 王学圻(ワン・シュエチー)

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コメント

 どもども。
>文明堂のドラ焼き「三笠山」の由来になった句
 の形容に大笑いさせていただきました。
 そう言われちゃうと形無しねー、阿倍仲麻呂大先生も。

 中国映画でも台湾映画でも日本男優が起用されて監督やスタッフに「プロフェッショナルだ」と褒め称えられてますが、そのたび(じゃあ自国の俳優は歌手活動とかで掛け持ちでいい加減なのかよーどうなんだよー)と絡みたくなっちゃいます。社交辞令なのかな。新劇出身とかで演技の基礎がきちんとできてる、というならわかるけどね。
 アジア映画への日本俳優起用はいいんだけど、日本ではその俳優しか話題にならないのが不満なんだなー。共演者そっちのけになっちゃうんだもん。
 はー、今から「2046」報道を想像するだけで憂鬱です。まあ、トニーさんは「インファナル・アフェア」であんなに「ハリウッド版は…」とばかり聞かれたし「2046」上海会見にも出席して、日本人報道者の興味関心は自分たちにないんだってこと、悟りきっておられるでしょうけど…悲しい。

投稿: nancix | 2004.02.25 00:54

こんばんは、「ドラ焼きは三笠山に限る」と思うもとはしです。
ちなみに私が百人一首の中で一番早く覚えた歌もこの仲麻呂の歌なのですが、食い意地がはっているから覚えたというわけでは…決して、ないと思うんだけど…(自信なし)。

それはさておき、貴一ちゃんや香川さんや真田さんが高く評価されて大陸や台湾の映画に出るのは、やはり中堅俳優だけあって演技力が確実だからじゃないかなって思うんですが…。まぁ、アクティブファクターとしての導入も考えられるかもしれませんね。んじゃその逆に、日本映画における中華明星はどうなのか?というと…、どーだか?って感じですねぇ。とりあえず、最近中華明星が出た映画をビデオ鑑賞でもしたら、ここで書きたいと思います。(まずはピーター・ホーが出ている《[巾蒙]面超人555劇場版》でも観ようかしらん、なんて思ったりして。はははのはー)

《2046》については私も映画仲間や友人からいろいろ聞かれますけど、まぁ某木村さんについてコメントするのなら、世界は意外と広いんだぞ、と彼を持ち上げるマスコミに申し上げたい次第です。ふっふっふっふ~。

投稿: もとはし | 2004.02.26 00:16

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