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2004年1月

the EYE【アイ】(2002/香港・タイ合作)

 1998年に日本で公開されたホラー映画『リング』が、ジャパニーズホラーブームのはしりとなったのは今さらワタシが言わなくてもいいだろう。翌年、地元の映画が低調だった(!!)香港でも大ヒットを飛ばし、韓国やアメリカでもリメイクされた。その後、日本だけではなく、韓国の『ボイス』や香港の『カルマ』(後日感想をアップ)、そして港タイ合作のこの作品『the EYE【アイ】』により、アジアンホラーというムーブメントが出来上がった。
…とかなんとか書いたけど、ワタシはホラーなんて大大大どぅわいっきらいだあぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~!!!なのだ。…でもワタクシもとはしも、たとえホラーがどうしてもイヤでも一香港電影迷としてこの映画は観ねばならぬ。というわけで観た。というわけで感想。

 目の不自由なマン(アンジェリカ・リー)は角膜移植を受けるが、光を取り戻した彼女の目には、普通の人には見えないものが見える。それが死者だと気付いた彼女は心理療法士ワー(ローレンス・チョウ)に打ち明ける。マンとワーは角膜提供者の情報を追ってタイへ。提供者だったタイの少女リンには、人にはない能力ゆえに人々から迫害されて自殺したという哀しい過去があった…。

 15年前、香港で角膜の手術を受けた16歳の少女がその1週間後に自殺した…という実話をもとに、「なぜ彼女は自殺したのか?」を大胆に推理するとこうなった…って映画っす(^_^;)。この内容が事実か否かってことで議論を呼んだというけど、…議論するほどのものか?フィクションってわからんか?とツッコんだだろーな、もしワタシが香港人だったら(笑)。
 ファーストシーンから心臓がバクバク、これだからホラーキライなんだよアタシは!と心の中で呟きつつ、この調子で心臓が止まりそうなショットが続くのなら途中退場覚悟だ、と中盤まで思っていた。…しかし、ビックリ描写はマンが死者たちにいぢめられまくる(おいおい)前半まで。ワー先生とともに角膜提供者の謎に迫るようになってからはビックリ描写も減ったので、自分の角膜を経由してマンに“想い”を託した少女リンの悲劇に心で涙した。
 ところで『リング』&『らせん』を観た時に、「なんで貞子はあんなにかわいそうなんだ(T_T)。…でも、あそこまでひどい目にあって死んじゃったら確かに怨みは激しいに違いないけど、何も世界全体を怨まなくたって…」なんて思ったくらいのワタシ、この映画でもやはり同じことを思ったりした。でも、貞子とリンは同じ立場にあって死んでしまったものの、リンはマンに自分がもっとも訴えたかったこと―母へ許しを乞うことと、自分が人々を助けたかったこと―を託した。自分のことを理解してもらいたいという思いがかなえられずに死んでしまったため、その勢いで世界全体を敵に回して激しく怨みまくる貞子とは違うなぁ(ごめん、ワタシ貞子のこと誤解してるかも)。悲劇から人々を救おうとマンが走り出すクライマックスには、この映画がすっかりホラーであったことを忘れて見入ってしまった。しかし、クライマックスの後のあのラスト(ネタバレ禁止といわれてるのでバラしませぬ)は、ちょっと後味が…。あれでよかったのかなぁ、という気持ちと、マン自身にとってはあれでよかったのかなぁ、という思いも…(切れ味の悪い書き方で失礼)。

 とかなんとかいいつつもやっぱホラーなので、あちこちに出てくる死者たちは見ものではある。この映画が公開された時「本物の幽霊が写っている!」と話題になったけど、まぁあれは全て仕掛けだよねぇと私は理解している。ただ、パンフに紹介されていた“死者たち”のなかで最初の方にマンがアパートで出会った子供の幽霊がいたけど、そのシーンの向こうに写っていた人影について触れられてなかったから、それがなんか本物っぽいとどっかでいわれていたんだ。あれは本物の幽霊じゃなくて、単に人影がボーっと写ってただけじゃないかなぁって思ったもんなんだけど…。だよね?

 ちなみにワタシは霊感ゼロで幽霊も見えないけど、とりあえず幽霊がいそうなところには「はぁ~いお元気ぃ?」と一声かけることもたまーにある。傍から見るとよっぽど不気味だろーな、そっちの方がな。

中国語原題:見鬼
監督/オキサイド&ダニー・パン 製作/ピーター・チャン&ローレンス・チェン
出演/アンジェリカ・リー ローレンス・チョウ キャンディ・ロー

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続いてツインズ・エフェクト関係ネタ

 昨日の『ツインズ・エフェクト』ネタの続き。香港で製作が予定されている続編にて、なんと成龍さん(ジャッキー・チェン)の息子さんが芸能界デビューされるとか。…て、幾つなんだろうか?この続編には『藍色夏恋』のチェン・ポーリン君も出るらしいので、きっとTwinsとからむ役どころなんだろーなきっと。

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香港よりついにTwins襲来!

 主演作品『ツインズ・エフェクト』日本公開決定を受けてか、サンスポにてTwins紹介記事を発見!

 しかし、“香港のタトゥー”と呼ばれないのは幸いとしても(笑)、“香港のミニモニ。”ってー紹介のされ方はどーよ。まぁ、こーゆー紹介のされ方は香港明星の宿命とはいえ、この二人、ともに身長150センチ以下ってことはないと思うのだが…。(ミニモニ。って身長150センチ以下の子のユニットだったよね) 
 

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香港行きをラジオで予習する。

 気がつけば、香港行きまであと2週間ちょっと。さて、何をしようかなぁ~と思うこの頃。 
そんなとき、つけっぱなしにしていたラジオから、なんといいタイミングで香港カルチャーライター水田菜穂さんのインタビューが流れてきた。番組ウェブサイトを見に行ったら、テキストもあって安心。あとでじっくり読んで香港行きの予習をしようっと(^_^)。

 しかし、こういうところで紹介される香港ポップスって、どーしてもフェイの『夢中人』になっちゃうのね…(&紹介される映画も王家衛の『恋する惑星』だし)。日本でいちばん知られている香港ポップスだからしょうがないのかな。

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至福のとき(2000/中国)

 2年前の秋、留学中の弟を訪ねて大連へ行った。街は北京や上海より小さいが、あちこちでビルが建設されていて、急激に発展していこうとしている印象があった。チャン・イーモウがあの『英雄』の前に撮ったこの作品の舞台が、この大連である。その街で繰り広げられるのは、失業中の中年独身男チャオ(趙本山)が、見合い相手から押し付けられた盲目の少女ウー・イン(童潔)の幸せのために元仕事仲間と東奔西走するハートウォーミングな物語だ。

 いつかは産業分野で確実に日本を追い越すんじゃないかと見られている中国でも、日本と同じようにリストラや家族離散といった問題を抱えている。強いものが勝ち残る中、失業者のチャオや障害者のウー・インのような存在は切り捨てられる。しかしチャオは映画の冒頭、婚約者に対して見栄を張るために友人の助言で公園の廃バスをラブホテルに仕立てて小銭を稼ぐし(中国にラブホがないっていうのは知ってたけど、公園でそこまでしてヤリたいんか君ら、とつっこみたくなった。しょーがないってことは承知だけど)、ウー・インも父の再婚相手(が現在のチャオの婚約者)に虐げられても、自分を置いて出稼ぎに行った父親に再会したくて働きたいと思っている。貧しくても希望だけは捨てない。バスは処分され、婚約者に捨てられても、なんとかウー・インを失望させまいと、チャオは友人たちと廃工場にニセのホテルを仕立て上げ、マッサージが得意なウー・インを“就職”させる。お客は自分と仲間たち、チップは本物のお金と紙切れ、マッサージ室は工場の材料で作り、外の喧騒は録音(早朝録音されたらしく、体操の掛け声みたいな「イー、アル、サン、スー」のエンドレスに笑った)…。お金はないけどなんだか幸せも感じるが、嘘はいつかばれることがある。ひょんなことから事実を知るウー・インだけど、実は早い段階に気づいていたのかもしれない…。現代的な物語でちょっとビターな部分もあるけど、後味は悪くない。イーモウ作品としては『初恋のきた道』の後に作られた作品。『初恋~』を作ったからこそこういう作品をさくっと作れたのかもしれない。作品の幅が広がったのね、イーモウ(^o^)。

 主演のトンジエちゃんは当時20歳とは思えないほどキュート!中国初のインターネットオーディションに合格したそうだけど、芸能界デビューのきっかけとなったのは、中央電視台の特別番組でニコの“花嫁”役に抜擢されたからだとか。いかにも人がよいおじさんって感じの趙本山おじさんはどっかで見たことある顔だなーと思ったら『始皇帝暗殺』に出ていたとか。

原題:幸福時光(happy times)
監督/張藝謀(チャン・イーモウ) 原作/莫 言(モー・イェン) 出演/童 潔(トン・ジエ) 趙本山(チャオ・ベンシャン)

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恭喜發財、萬事如意!

今日は春節
行きつけの中華芸能・香港明星サイトを回ると、あちこちで新年のあいさつが交わされる。
いやぁ、太陰暦っていいなぁ~(笑)。新暦の年末年始みたいにバタバタしなくていいし。
さ~て、これから年賀状でも書くかな…。(実は今年一枚も出さなかったもとはし)

 春節に関してこんな記事をみつけたので、今晩通っている中国語教室で話題に上げたところ、講師の張老師がこんなおもしろい対聯があるよ、と教えてくれた。
それはこんな感じ。

 長長長長長長長
 長長長長長長長

もとはし「…なんすか、これ?」
張老師「“長”の発音は2つあるでしょ?『長い』を表すchangの2声と、『一番上』とか『増える』を表すzhangの3声。
だいたいの意味としてはこの“長”を“もやしのように長く伸びる”にかけて、商売に携わる人たちが、もやしのようにお店の業績が伸びてお金持ちになり、お金も増えてほしいと言う意味をこめているんです」
もと「ふぅ~ん…。でも、中国語だからこれが面白いんですね」
老師「そう、これが文化の違いだよね。日本語だと何これ?になってしまう」

 ワタシは大陸でも台湾でも旧正月当日を過ごしたことがないせいか、春聯などの旧正月の習慣をよく知らない。
この機会にちょっと詳しく調べようかな。まぁ、だからと言って自分の部屋や職場に自作の春聯を貼ったりはしないけどね(大笑)。

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パープルストーム(1999/香港)

 この映画を観て思い浮かんだのは、映画『マイノリティ・レポート』や『ブレードランナー』の原作者であるフィリップ・K・ディックが自著でよく取り上げていた「偽物の記憶や自分」というテーマ。いまの自分の記憶が作られた偽物で、本当の自分に隠された衝撃な事実を知った時、アイデンティティは崩壊していく。もし、そんな自分にどちらかの運命を選ばなければいけないという究極の選択が迫られた時、どうするのだろう…。

 カンボジアのクメール・ルージュの残党から構成されるテロリストの一人、トッド(ダニエル)は香港に停泊した北朝鮮籍貨物船から化学物質「リシンX」を強奪する任務の最中、銃撃戦に巻き込まれて香港警察に身柄を拘束される。警察の対テロ部隊(ATI)主任のマー・リー(エミール)は検査の結果から、トッドが記憶喪失にあることを知り、テロリスト殲滅のためにトッドを利用し、精神科医シャーリー(久々の香港映画出演!のジョアン)の協力を得て彼の記憶を偽造する。「テロリスト集団に入り込んでいた潜入捜査官」に仕立て上げられてしまったトッドだが、ときおり過去の記憶のフラッシュバックに悩まされる。やがて、彼の目の前に現れたテロリストのソン(現在は映画監督であるベテラン、カム・コクリョン)とグンアイ(ジョシー)により、トッドは自分の本当の姿を知ることになるが、それと同時に、ソンたちの行動に疑問を抱くことになる…。

 観ていると、いろんな痛みが伝わってくる。物心ついた頃から戦いの中に身を置いてきたトッドは自らの過去と正義との間で葛藤する。彼とは親子の縁を切りながらも、父親としての姿を見せてきたソン、ソンからトッドへ与えられた「恋人」でありながら彼女なりの方法で彼を愛してきたグンアイ。戦いの意義を失いかけたテロリストたちがめざしたのは祖国への復讐だった…。この映画は決してテロ賛美映画ではないし、悪が善に勝つ話でもない。しかし、テロリストである3人の描写には説得力があった。それゆえ、ATI側の描写が弱いのが気になる。いや、エミールには罪はないけどね(笑)。ついでに蛇足。テロリストといえば、かつてのソンの上官役が、中国で社会派コメディ映画を作ることで有名な(日本では『黒砲事件』『青島アパートの夏』が映画祭で紹介)黄建新監督だった。なぜ?カム・コクリョンさんの人脈かな?

原題:紫雨風暴
監督/テディ・チャン 出演/ダニエル・ウー カム・コクリョン エミール・チョウ ジョシー・ホー ジョアン・チェン

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SARSがなんだ!行くぞ香港!

 2月8日から11日まで、3泊4日で香港へ行ってきます。
…まだ、職場には言ってません。

 本当はまとめて休めるクリスマスに行く予定だった。個人的な事情により今年度は仕事がしんどくて、その頃ストレスが最高潮に蓄積されてたので、香港で発散したかったんだ。…しかし、クリスマスに職場の陰謀で仕事を入れられた。そこでキレたワタシは、比較的仕事が楽になる2月に行くことを決意したのであーる。ホテルもエアチケも希望のものが取れたので、後は行きの新幹線と、前泊する成田のホテルの予約だな。

 2月に香港に行った経験はある。4年前、旧正月真っ最中の頃に行った。この頃は『東京攻略』『決戦・紫禁城』が上映されていて、ワタシは友人たちとワクワクしながら街を歩いていたのを思い出す。
 今年の春節は1月24日だそうなので、2月に行く頃まで旧正月映画がやっているかどうかちょっと不安…。今年の旧正月映画はリー・チーガイ監督が久々にメガホンを取った《魔幻厨房》、ラウチンがホイ三兄弟作品のリメイクに挑んだ《鬼馬狂想曲》、ミシェル・ヨー姐さん&リッチーの《飛鷹》と賑々しい。Twins&イーキンの《見習黒薔薇》も旧正月映画だったっけか?あとは《無間道3》と《地下鉄》のDVDがでてたら欲しいなぁ。
 今回は5年ぶりの一人旅なので、限られた時間内でいろんなところを回りたい。行きつけの店はもちろん、新しいお店も開拓したいし、行ったことがないところにも行きたい。KCRに乗って新界方面でも行こうかな。

 え、SARS?それがなんだってーの!一応用心のためにマスクとうがい薬と消毒用合成洗剤は持っていくことにするよ!用心のためにね!

 なんとか無事に帰ってきたら、このblogで旅行レポートを書きます。タイトルはまだ未定。
さーて、これから健康には十分気をつけなくちゃだわ~。

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『OVER SUMMER』(1999/香港)

 今回はちょっと前に観た『OVER SUMMER』。初めて観た時には夏だったのに、感想をアップするのは冬って…(笑)。

 ワタシは、アカデミー賞俳優ケヴィン・スペイシーを「ハリウッドのン・ジャンユー」と呼んでいる。顔は全然似ていないんだけど、なんか、雰囲気が似てない?…という前置きはさておき、ジャンユーって最初観た時はやりすぎ感のある悪役(『キラーウルフ・白髪魔女伝』や『欲望の街・古惑仔Ⅰ・銅鑼湾の疾風』あたりを思い出していただきたい)だなぁって思ったけど、いろんな作品で顔を見るたびにいい味出しているよなぁ…って思うようになってきたのだ。ちなみにワタシが一番好きなジャンユーは『公元2000』のロナルド警部かなー(^.^)。そして、その次に好きなのが、この『爆裂刑警』の主人公マイク。タイトルと相方のルイス・クー(以下古天楽。こっちの方がなじみあるもんで)の顔だけ見ると、う~ん、これは派手派手なポリスアクションか?とよく考えずに判断してしまったものなのだが、実際はそんな映画ではない。

 凶悪犯ドラゴンを追う一本気なベテラン刑事マイク(ジャンユー)と女好きの刑事ブライアン(古天楽)。ドラゴン一味を監視するために張り込み捜査に入る二人だが、無理やり部屋を提供してもらったおばあさん(ロー・ラン。この映画で金像奨助演女優賞受賞)には孫と思われてかわいがられたり、情報屋の妹分で女子高生のイェン(ミシェル)が転がり込んできたり、なぜかドラゴン一味と夕食を共にすることになったりする。そんななか、マイクはひょんなことから助けたシングルマザーの妊婦ユン(ステファニー・ラム)に惹かれるようになり、難病を抱えて自らの死を自覚している彼は彼女と子どもを養わせてほしいと申し出る…。

 “Bullets over summer(銃弾の向こうの夏)”というなかなかに詩的(?)な英題のこの映画、確かにキャストは地味だしストーリーもありきたりな感じだけど、観た後はなぜか心に残ったものだった。この映画でマイクは家族に恵まれずに成長し、おまけに難病まで抱えてしまい、一通りの不幸を背負っている。そんな彼が密かに想っていたのであろう「家族が欲しい」という願いを天が聞きつけ、相棒のブライアン、ちょっとボケたおばあさん、ナマイキな今時のギャル(死語)イェン、そして健気なユンといずれは生まれてくる彼女の子どもをひとところに集め、緊張が続く捜査の合間に安らぎを、そして死期を悟った彼に最後の輝きと最愛のひと時を与えてくれたのではないかな。そんなことを考えてしまうのだ。

 キャストでは『古惑仔』と『硝子のジェネレーション』でナンのおばあちゃんを演じていたローランおばあちゃんがやはりいい味だしていた。そういえばナンのおばあちゃんもちょっとボケてたところあったっけなぁ…。あと、古天楽はこの映画で初めて演技しているところを見たんだけど、顔の濃さにひくかなと思っていたらそんなにこゆいヤツじゃないのね、と知ってちょっと安心(こらこら)。

原題:爆裂刑警(bullet over summer)
監督/ウィルソン・イップ 出演/ン・ジャンユー ルイス・クー ロー・ラン ミシェル・アリシア・サラーム

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春の惑い(2002/中国)

 再び中国映画。先に書いた『北京ヴァイオリン』のチェン・カイコー、『英雄』のチャン・イーモウと並んで“中国第5世代”の監督の一人である、ティエン・チュアンチュアン(田壮壮)監督、実に10年ぶりの監督作『春の惑い』。もとはしはこの映画がお初の田監督作品だったりする。『青い凧』観てないんすよ~。
 国破れて山河あり 城春にして草木深し。なんかそう言いたくなってしまう(笑)、抗日戦争終結直後の蘇州が舞台のこの映画、よく聞くと中国初のリメイク映画で、オリジナルの『小城之春』は40年代中国映画の傑作と言われているらしい。(中華人民共和国成立前の1948年製作)ちょっと意外。自国映画初のリメイク?でも確かレスリーの『夜半歌聲』はこの頃の中国映画『深夜の歌声』のリメイク…と思ったらあれは香港が返還される前に香港で作られたものだし、かつて別の国で一度映画化されたガルシア=マルケスの『予告された殺人の記録』が中国でもリメイク…と思ったら、同じ原作でも翻案されたものだというし…。まぁそんなことはどーでもいいか。そもそもワタシ自体、この映画のオリジナルなんて全く知らないのだから、全くの新作としてみなければならないと思って、この映画に臨んだ。

 突然我が家を訪ねた夫の友人は、ワタシの昔の恋人だった…。
 戦争で破壊された街、病に倒れ、心も病んで長く伏せっている夫(ウー・ジュン)との間はなんとなくギクシャクしている妻(フー・ジンファン)。辛い日々が終わり、希望あふれる春を迎えようとしているのに、心は揺らいでいる。そんな時にやってきた章医師(シン・バイチン)。彼はまだ彼女のことを思っている。そんな二人の心は一瞬触れ合うが、思いを遂げることはできない。夫も二人の気持ちはどこかで感じていた。いくつのも想いが交差したまま、医師は上海へ帰っていく…。

 ただ、それだけ。不倫にもなっていないような気もする。
 ワタシは自分のポリシーとして「不倫なんかしたくない」主義である。「人のものは取っちゃダメ」と厳しく教育されてきたから…というのは軽~い冗談だけど、だから不倫映画や不倫小説が嫌いとかいうわけではない。瀬戸内寂聴尼も「不倫も真剣にすれば純愛になる」と言っていたし。
 何がよくて何が悪いというわけではない。夫は自分が病弱なのを妻に申し訳ないと思い、妻の“本音”を見てしまって嫉妬で自暴自棄になる。妻は医師への思いを心に蘇らせるものの、今の自分の状況や世間体を考えれば彼との恋に溺れるわけには行かない。医師は思いがけない再会に驚きつつ、それでも妻に思いをよせる。それが淡々と続く。時代背景もモラルもあるのだが、これを「単なる不倫もの」の一言で終わらせてはいけない。これは一場面ごとに人物を見つめ、心の動きを読み取っていく映画だったような気がする。

 妻のまとう禁欲的にもエロティックにも見えるチャイナドレスやハンカチーフの使い方も印象的だった。あと、役者の顔が妙に若いなぁと思ったら主演の3人は1970年年代前半の生まれ。多分、劇中の役の実年齢に合わせたキャスティングを狙ったんだと思うけど、同じ世代の日本や香港の俳優と比べると、皆落ち着いているなぁ。

原題:小城之春(springtime in a small town)
監督/ティエン・チュアンチュアン(田壮壮) 撮影/リー・ピンピン(李屏賓)
出演/フー・ジンファン(胡靖[金凡]) ウー・ジュン(呉軍) シン・バイチン(辛柏青)

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バレットモンク(2003/アメリカ)

 日本のお坊さんは物静かだが、中国やチベットのお坊さんは武闘派である。中国や香港の動作片や武侠小説に触れていると、知らず知らずにこーゆー認識をうえつけられてしまうのだが(笑)、もちろん実際そんなことない…と思う。(というか学生時代チベットに行ったときに出会ったお坊さんは決して武闘派ではなかったし)。彼らが戦うのは平和と大切なものを守るため。お坊さんだから人だって殺さない(ものすごーく悪い奴は別かもしれんが)。平和を愛し、それを脅かすものと戦う地上最強のチベット僧を主人公にしたアメリカンコミックが原作の『バレットモンク』(マンガ原作のせいかチラシにもマンガがあったぞ~)。タイトルロールは、よっ、待ってましたの我らが亜洲影帝、チョウ・ユンファだ!

 1943年チベットのある寺院。“この世を楽園にも地獄にも導くことができる究極の巻物”を託され、その代わりに名前を捨てた一人の坊主(ユンファ)がいた。彼がその奥義を引き継いだ時、ナチスの軍人ストラッカー(カレル・ローデン)が巻物を狙って寺院を襲う。そして時代は流れて2003年のニューヨークにて、60年前と全く変わらない姿の坊主は謎の男たちに追われていた。その途中、坊主は一人のスリの若者カー(ショーン・ウィリアム・スコット)と出会い、アホでスケベでカンフーオタクのチンピラだが根っからのワルではない彼にある資質を見抜き、彼の働く映画館に押し入って行動を共にする。そんなカーは地下を仕切るストリートギャングとのいざこざの最中に出会ったファイター、バッドガール(ジェイミー・キング)にひかれていく。だが、ストラッカーが差し向ける部下たちの、坊主への追撃は激化していく。やがて、カーは坊主の秘密とその使命を知ることになる…。

 う~む、うう~む…。ハリウッド式アクション映画に仏教の考えを盛り込んだというアイディアはそれなりにいいと思うし、お坊さん役に初挑戦というユンファを選んだのもいい。しかし、しかーし、これでアメリカ人はホントに喜んでくれたんだろーか?これでいいのだろーか?それにアクションが『グリーン・デスティニー』と同じ方式(つまりあれ)というのはどーゆーことだ?この方式も最近はハリウッドだけじゃなくて日本でも濫発気味だから新鮮さがなぁ…。
 でもね、新鮮に思えたところもちゃんとあった。まず、この映画でのユンファの立ち位置はカーやバッドガールたち若者を正しい道、彼らの果たす使命へ導くという文字通りの“導師”であるということ。特にカーは最初が最初なだけに「ホントにこいつは自分の正しい道へ行けるんかいな?」なんてあきれて観ていたけど、そんなお調子者のカーを諭したりちょっとからかってみたりする時のユンファの柔和な表情やかる~いユーモアをにじませた台詞(もちろん英語よ)に、香港時代とはまた違った“オトナ”な印象を受けたもんだ。このお坊さんには是非日本の若者もシバいて、いや鍛えてやってくださいって頼みたいねアタシは。あとはファッションね(笑)。坊さんなので髪型は五分刈り、それはしょうがない。『挽歌』の頃は黒のロングコートだったけど、こっちは同じロングコートでも渋いブラウンのトレンチ。なんとなく『ブレードランナー』でハリソン・フォードが着ていたようなのを彷彿とさせるような感じのくたびれたコート。その下に変わった形のベスト+台襟ワイシャツ+長袖Tシャツ+コットンパンツ、さらに巻物の入った革のカバンをたすきがけ。まぁ、旅のチベット僧って雰囲気のコーディネートを意識したんだろうけど、よくみりゃ西部劇的?それもある意味新鮮だったかな…。
 そんな坊主ユンファに導かれる、ショーン君演じるカー。ちなみにこの役名は香港カンフー映画をリスペクトしているという性格に合わせて名づけられたそうだけど(ネタバレになるので詳細は控えます)、そんならカーフ○イとかカーウァ○とかいう名前でも…とか考えちまって一人笑い。彼が間借りする映画館の支配人は日本でもお馴染のマコ(岩松信)さん。バッドガール役のジェイミーはいかにもはねっかえりで、どうしてもカーは彼女に敵わないって点がホントにイマドキな感じ。うふふのふー。
 製作に我らがジョン・ウーが名を連ねてはいるけど、ウーさんの映画の影響はあまりないかも。この映画の監督はPV出身ってことで、どちらかといえば成龍さんやリンチェイ主演のハリウッド映画や『リプレイスメントキラー』のA・フークワ監督の映画と同じような印象を受ける。もっとも、成龍さんやリンチェイのハリウッド映画を観ていつも「なんでカンフー映画にこの音楽を合わせるのかなぁ、いくら香港映画の支持率が黒人やB-BOYに高いからって…」と感じるようなヒップホップ曲は多用されてなかったけど(音楽は御大エリック・セラなのでちょっとヒーリング入った感じ)、それでも演出のリズムは似ているのよね。まぁ、フークワ監督も確かそうだったけど、成龍さんたちの映画の監督もPV出身の人が多いからかなぁ。

 最後に一言。邦題、『弾丸坊主』でよかったと思うんですけど。インパクト十分だし。以上!

原題:bulletproof monk 監督/ポール・ハンター 製作/ジョン・ウー 音楽/エリック・セラ
出演/チョウ・ユンファ ショーン・ウィリアム・スコット ジェイミー・キング カレル・ローデン マコ

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北京ヴァイオリン(2002/中国)

 前回、レスリーについて書いたときに、ああ、『覇王別姫』はやっぱりレスリーの最高傑作だったけど、あれは同時に、チェン・カイコーの代表作でもあるんだよなぁってしみじみ思ったものだった。個人的には最高傑作と断言できないのだけど(『黄色い大地』があるからね)、あの時のカイコーは輝いていたんじゃないかな(?)だって、『覇王別姫』以降のカイコー作品といえば、いったいどうしたんだカイコー?と言いたくなった『花の影』、大作ってことはわかるが地味ーな印象しかない『始皇帝暗殺』、そしてハリウッドで撮った『キリング・ミー・ソフトリー』に至っては、あまりの評判の悪さに観に行くのをやめたくらい。ああカイコーよ、キミはどこへ行くんだ?と心配していたら、いつの間にか中国に戻ってきて、こーんな小品『北京ヴァイオリン』を作っていたんだ。しかも、自分も出演している!!…なんてこったい、カイコー。

 ヴァイオリニストを目指す息子チュン(タン・ユン)の才能を信じ、彼に尽くしてきた父親(リウ・ペイチー)。やや無口な息子は思春期まっさかり、ヴァイオリンも好きだが女性にも興味津々。そんな二人が住みなれた街を離れて、北京で出会うさまざまな人々。現在の音楽教育に嫌気が差し、無気力に生きていたチアン先生(ワン・チーウェン)。奔放な恋に生き、チュンがほのかな恋心を寄せるリリ(チェン・ホン)。そして、世界的に称賛された新進ヴァイオリニストを育て上げた音楽教育界の権威ユイ教授(カイコー)と、やがて彼の弟子となるチュンに猛烈なライバル心を抱く少女リン(チャン・チン)。そして、父がチュンに傾ける過大な情熱の裏には、チュンの出生の秘密が隠されていた…。

 いやー、ええ話や~。いや、特にヘンな意味はなしで、ストレートで。この話は中国で放映されたクラシック演奏家のTVドキュメンタリーを基にしているそうだけど、親子一緒に共通の夢を見るということは、一昔前の高度成長期の日本でも起こりえたことじゃないかな。それを考えると、現在の中国はその頃の日本に似ているのではないだろうかという気がする。カイコーやチャン・イーモウは過去の作品で、地方の小都市や豊かではない村を舞台にそこに生きる人々を描いてきたけど、イーモウも『英雄』の前作『至福のとき』で現代の大都市を舞台にしたこともあるので、ある程度キャリアを積み、中国内外でも確実な評価を得た彼らは今、歴史映画から現代映画に題材を移すことによって、中国のいまとこれからを映し出し、この国の未来とこれからの問題点を語っていくのかな。
 類まれな才能を持つチュンと、彼を温かく見守る人々の優しさが心地よい。時々「おとさんそれはやりすぎっ」とツッコミたくなるほど情熱的な父の愛、全く正反対の教育方針を持つチアンとユイの教え、自由奔放な中にもチュンを暖かく包み込むリリの母性愛。それを受け止めながら、チュンは自分の歩く道を自分で決めていく。世界的名誉ではなく愛を選び、父のもとに帰っていくが、それはまた彼の人生の新たな始まりである。これから、チュンがどう生きて、ヴァイオリンを愛し、人を愛していくのか。それが観たくなる終わり方だった。  

 チュン役のタンユン君は実際にヴァイオリニストの卵だとか。うん、いかにも中国の芸術少年という感じ。まるで少年のような父役のペイチーさん、これまたよかった。どこか仙人ぽい印象もある“ネコおじさん”なチアン先生、ああ、ホントに北京でもこういうふうにネコと暮らす人はいるかもしれない、と感じさせられたりして。(ネコの面倒を見なけりゃ、のくだりが好きだ)殺風景な広いアパートをあれこれ飾り立てるリリさん、え~、カイコーの奥さんなの!とビックリ。そして、こんな素敵なキャラクターを揃えておきながら、話の一番おいしいところを全部かっさらっていったのが、他でもない、監督であるカイコー自身である!ああ、なんておいしすぎるんだ、カイコーよ!全くアンタはぁ~とかあきれてしまったけど、それもまたイヤミじゃないから、まいっかぁ~(爆)。

 そんなカイコーの次回作は武侠ものらしい。キャスト候補にはヒロこと真田広之氏や郵便配達のリウ・イエ君が上がっているのだが…、あー、もしかしてカイコー、盟友にしてライバルのイーモウを意識してる?なんてね。

原題:和[イ尓]在一起(Together) 監督/チェン・カイコー(陳凱歌) 出演/タン・ユン(唐 韻) リウ・ペイチー(劉佩奇) チェン・ホン(陳 紅) ワン・チーウェン(王志文) チェン・カイコー

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ダブルタップ(2000/香港)

 レスリー・チャンが亡くなって、もうすぐ1年になる。ワタシは彼の熱烈なファンではなかったけど、日本公開された映画はだいたい観たし、日本でコンサートがあると必ず足を運んだし、CDだって何枚か買った。来月香港へ行ったら、お墓参りはできなくとも、マンダリンオリエンタルの前で手を合わせてこようかな…。
 もとはし的レスリー主演ベスト映画は『男たちの挽歌』『狼たちの絆』『さらば、わが愛・覇王別姫』『大英雄』そして『ブエノスアイレス』。ついでにワースト映画は『星月童話』だ!(大笑)…彼の自殺を知った直後、あまりに動揺しまくって本館に追悼文を載せたのだが、さすがに今は冷静なので、4月までにこちらでもレスリーの映画で本館に感想のないものを書いていきたいので、そのときはよろしく。

 その第一弾というわけではないのだけど、今回は先月TVで観たこの作品について。
この映画、実はワタシの街では劇場未上映。しかし、2001年のみちのく国際ミステリー映画祭でプレミア上映されたのだ。…その時、ワタシは仕事があったので、でっかいスクリーンでは観られなかったのだ(;_;)。刑事、泥棒、京劇俳優、音楽プロデューサー、売れない映画監督、世間知らずな神父、ストイックな剣士、自由奔放なゲイ、妙にキラキラした編集者、日本人ホテルマン(!!)…と西暦2000年より前にある程度の役はこなしてきたレスリーがこの作品で演じたのは、なんとサイコキラーだった…。

 優れた射撃の腕を持つ刑事ミウ(アレックス・フォン)は、射撃練習場で自分と同等以上の腕前のリック(レスリー)と出会う。二人が参加した射撃大会の最中、ミウの同僚が突如乱心し発砲しまくるという重大なトラブルが発生。それを治めたのは、リックが撃った銃弾だった。しかし、それ以来、リックは人を射殺する快楽を覚えてしまい、3年後、刑事たちを次々に射殺し、警察に対して“ゲーム”を仕掛ける…。
 競技としての射撃がねたになっているせいか、ここで使われている銃が異様な形だったのにまずはビックリ。ワタシ自身射撃の経験がないのはもちろんなんだけど、競技射撃ってあまりメジャーじゃない気がするので、これで射殺されるのはあまりにも痛いんじゃないか、などとまるで見当違いのことを考えてしまうワタシ。(周りにガンマニアもいないので聞くに聞けないしなぁって何いっとるんじゃワタシ)
「なぜ人を殺す?」と聞くと「そりゃ殺したいからに決まってるからさぁ」と平然と答えそうなくらいキレまくってたレスリー。彼、カメラの前に立つと役にのめりこむタイプじゃないかなと思うところがあるせいか、マジでこいつ怖ぇよぉ~と思ったよ、ホント。クライマックスじゃ彼女平気で蹴飛ばすしさ(^_^;)。あまりに怖すぎるので、ワタシはアレックスばかり観てたよ。…そう、アレックス。今回の彼の役どころはよかったっす。彼、レスリーより若いんだけど、長身で落ち着きがあるんだよ。『風雲』では“風”のお父さん役で、長髪に鋭い眼が印象的だったし、『君を見つけた25時』のプレイボーイの営業マンも面白かったけど、これまで観た中ではミウの役が一番よかったかな。
 ストーリーとしては、レスリーのサイコキラーというのが上段にある話のせいか、ちょっと説明不足かな?とか、このあたりは妙に矛盾していないか?とか突っ込みたくなるところが幾つかあったんだけど、それをあれこれ書くと長くなるのでパス。…いや、手元にビデオがないので確認もできないし。(ちょっと言い訳っぽい?)   
 監督のロー・チーリョンは『夢翔る人・色情男女』でイー・トンシンと一緒に監督し、『星月童話』で脚本も手がけた人。これが単独監督第1作だったっけかな?レスリーとローさんはこの次の作品『カルマ』でも再びコンビを組むけど、結局それは最後のコンビ作品になってしまったのね…。

原題:鎗王 監督/ロー・チーリョン(羅志良) 出演/レスリー・チャン アレックス・フォン ルビー・ウォン ヴィンセント・コック

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藍色夏恋(2002/台湾・フランス)

 最近の台湾は男性アイドルの宝庫だ。金城武は言うまでもないけど、日本語でCDを出してお菓子のCMにも登場したワン・リーホン(王力宏)、昨年は『T.R.Y.』『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』(しかも初の外国人仮面ライダー!)への出演で話題を呼んだピーター・ホー(何潤東)、日本マンガが原作の『流星花園・花より男子』に出演し、劇中の呼び名をそのままユニット名にしたF4などなど。『ブエノスアイレス』『グリーン・デスティニー』で注目され、ついに撮了した王家衛の新作&木村拓哉初の外国映画主演で話題の『2046』に出演のチャン・チェン(張震)もアイドルだったっけか?彼らに続いて台湾から登場した新アイドル、それが前回書いた『最後の恋、初めての恋』にてトンジエ小姐のボーイフレンドを演じたチェン・ポーリン(陳柏霖)君らしい。らしい、と書いたのは彼が日本のバラエティ番組でココリコの遠藤とアイドルユニットを組んでいたというのをつい最近知ったので、彼の人気がどんなもんだかピンときてないからなのだ(笑)。おっとくだらない前振りはこんなとこにしておこう。
 その、ポーリン君の初主演映画が今回取り上げる『藍色夏恋』。監督は日本初紹介のイー・ツーイェン(易智言)。ヒロインもこれがデビュー作になるクイ・ルンメイ(桂綸[金美])だ。

 台北のフツーの17歳の女子高生、モン・クーロウ(クイ・ルンメイ)。彼女は親友のリン・ユエチェン(リャン・シューホイ)に「好きな人がいるの。水泳部のチャン・シーハオ(チェン・ポーリン)。でも恥ずかしいから替わりに気持ちを確かめてくれない?」と相談される。モンは言われた通りチャンにコンタクトを取り、その旨を伝えるがチャンはそれを信用せず、モンが自分と付き合いたがっていると思い込む。モンは内気なユエチェンに告白の練習を付き合ってあげたりして、彼女に尽くす。そんなユエチェンがモンの名を騙ってチャン宛にラブレターを書いたことから事態は微妙に変化する。チャンはモンを意識し始め、ついには告白するが、モンの好きな人は意外な人物だった…。

 個人的なことから感想を始めるけど、私は学生時代、半年ほど台湾に留学した。その時のことを思い出しながらこの映画を観ていた。台北の街ですれ違った高校生たちは男子も女子も飾り気のないシンプルな制服に身を包み、髪もこざっぱりしていて、日本の高校生よりマジメそうだった。この映画に登場する高校生たちも10年以上前に台湾で見た彼らと全く同じだった。それもまた懐かしさを覚えたけど、そんな体験のない人たちでも、この映画で語られるもどかしい初恋の気持ちは誰もが経験したことで、きっと懐かしく思った人もいると思う。ちょっと粋がっているところもあってそれがまた微笑ましいチャン、ボーイッシュで寡黙な内面に、親友への適わぬ恋心をときめかせるモン。彼らの関係の変化はみていて心がキュンとなったり切なくなったりしたものだ。いまどきの日本の高校生の恋愛は心より体の駆け引き(笑)に終始しているんじゃないかと思うと、ぜひいまどきの高校生にも観てもらって彼らの心の駆け引きを見習ってほしいかもなぁ~なんて、あれこれ考えていたらこんな妙な結論にたどり着いてしまった(笑)。あと、個人的にウケたのは、ユエチャンが二番目に好きなのが木村拓哉だったというオチでした(^o^)。

 台湾は亜熱帯の島。そんな島の大都市のあちこちに、この映画のようなかわいい恋があるんだろうな。ラストのモンの台詞「ワタシたちは見えない未来に向かって青い門をくぐる」というのが、この映画の原題の由来。ん、とすると、もし直訳で邦題がつけられたら『青春の門』になってたかもしれないってこと?

原題:藍色大門(Blue Gate Crossing)
監督/イー・ツーイェン(易智言) 出演/チェン・ポーリン(陳柏霖) クイ・ルンメイ(桂綸[金美]) リャン・シューホイ(梁淑慧)

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『最後の恋、初めての恋』(2003・日中合作)

 当サイトのMovie Reviewは、中華系映画限定で最近観た映画から以前観たものまで幅広く書いていきますが、まずは先週末に観た『最後の恋、初めての恋』から。   

 恋人に裏切られ、事故で先に死なれてしまったショックから立ち直れないまま自動車メーカーの上海支社に赴任した若きビジネスマン早瀬(渡部篤郎)。赴任当日、滞在先のホテルにて酔った勢いで睡眠薬自殺を図るが、その場に居合わせたフロント係のファン・ミン(シュー・ジンレイ)に救われる。一方、日本語を学んでいる女子大生ファン・リン(トン・ジエ)は教授にだまされて企業向け中国語研修を受け持つことになり、そこで早瀬と出会う。彼にひとめぼれしたリンは自分の家に招待し、そこで早瀬はミンとリンが姉妹であることを知る。この二人との出会いで、仕事にも人生にも前向きになれなかった早瀬の心に変化が訪れる。姉妹はそれぞれ早瀬に思いを寄せるが、彼は姉のミンにひかれていく。しかし、ミンは不治の病に冒されていた…。

 SARSに揺れた昨年前半、オール上海ロケで撮られたこの映画。監督さんが日本人、スタッフも日本人メインなのでやはり日中合作でも日本映画の色合いが強いかな。恋人の死、異郷での新たな恋というシチュエーションは日港合作『星月童話』を思い出させるし、不治の病に冒されたヒロインは90年代香港映画の名作のひとつ『つきせぬ想い』を彷彿とさせるので(おそらく後者の映画や韓国の『八月のクリスマス』の影響を受けているのかな?)、非常にオーソドックスで古典的なラブストーリーだったな、というのが観終わってすぐの印象。一人の男の心の再生と恋愛にスポットがあたっているけど、ロケでは上海の新旧名所が登場し、ビル街から古いアパート群に至るまで発展途上中の上海の様々な顔が見える。さらに日中ビジネスの駆け引き(交渉先のディーラーの社長さん、どこかで見た顔だと思ったら日本在住の京胡演奏家ウー・ルーチンだった!)も盛り込まれているので、かなりお腹いっぱいになる。満腹になるけど、ここまで詰め込むならもうちょっと話の焦点を絞っていいかな、と思うこともあり。
 苦悩する姿がはまっている篤郎さんは適役かと思うけど、苦悩に満ち満ちていて演技がちょっとへヴィかな?という感じ(篤郎さんという俳優自身、私は好きですが)。彼に思いを寄せるシュー・ジンレイは『スパイシー・ラブスープ』以来の日本登場かな?なんでも彼女は中国四大女優の一人だとか。清潔感にあふれて、落ち着きのある女優さん。これから日本公開作が増えてくれるといいね。妹役のトンジエは『英雄』の張藝謀監督作品『至福のとき』でデビューした若手。『至福の~』での目の見えない少女役から一転して恋にときめくキュートな女子大生。成長したってこともあるけど、すっかりあかぬけたなぁ…。案外日本受けしそうな女優さんじゃないかなって思ったのだけどどうでせうか?

とりあえず、こんな感じでした。しかし、日中合作というと歴史ものあたりのイメージがこれまで強かったんだけど、こういう映画も撮れるようになったんだ…。ああ、時代は変わったわ、と思うもとはしであった。

中国題:最后的愛、最初的愛 監督/当摩寿史 主演/渡部篤郎 徐静雷(シュー・ジンレイ) 董 潔(トン・ジエ) 陳柏霖(チェン・ポーリン) 石橋 凌 筧 利夫他

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はじめまして&このサイトについて

 みなさま初めまして、こんにちは。ワタシ、もとはしと申します。

 このサイト『funkin'for HONGKONG@blog』はワタシが立ち上げている中華趣味サイト『funkin'for HONGKONG』の別館です。
ここでは、最近観た(または今まで観た)中華圏映画の感想、中華系書籍や中華ポップスの紹介、
中華圏への旅行の記録を手軽に書いていく予定です。当面は映画の感想メインになると思います。

 本館を立ち上げてそろそろ2年ですが、HPの更新がなかなかできない日々が続いております。
書きたいこともいっぱいたまっているのですが、日中は仕事もしているのでにアップするのもなかなか大変ですね。
そんな時に、本館のプロバイダーさんであるニフがこのblogサービスを始め、仕事関係のHPでもBlog風の日記ページを使っているので、ちょっと試してみようかなって思った次第です。

 感想等はここで一日分で一作品ずつ書いていきます。ある程度たまったら本館にもアップします。
こちらでは中華趣味ネタが多くなりますが、中華もの好きな方はもちろん、そうでない方にも楽しんでいただければ幸いです。

 最後に、ここでの感想の書き方についてのスタンスを幾つか述べて、あいさつを締めたいと思います。 
 1.現在公開中の映画については基本的にネタバレなしとする。(公開終了後、ネタバレあり感想をアップすることもアリ)
 2.多少辛口になるかもしれないが、暴言は控えめにしたい。
 3.好きな映画は大いにほめるが、それでも内容に納得いかなければツッコミを容赦なくいれることもある。

 では、これからよろしくお願いいたします。もとはしでした。


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