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バレットモンク(2003/アメリカ)

 日本のお坊さんは物静かだが、中国やチベットのお坊さんは武闘派である。中国や香港の動作片や武侠小説に触れていると、知らず知らずにこーゆー認識をうえつけられてしまうのだが(笑)、もちろん実際そんなことない…と思う。(というか学生時代チベットに行ったときに出会ったお坊さんは決して武闘派ではなかったし)。彼らが戦うのは平和と大切なものを守るため。お坊さんだから人だって殺さない(ものすごーく悪い奴は別かもしれんが)。平和を愛し、それを脅かすものと戦う地上最強のチベット僧を主人公にしたアメリカンコミックが原作の『バレットモンク』(マンガ原作のせいかチラシにもマンガがあったぞ~)。タイトルロールは、よっ、待ってましたの我らが亜洲影帝、チョウ・ユンファだ!

 1943年チベットのある寺院。“この世を楽園にも地獄にも導くことができる究極の巻物”を託され、その代わりに名前を捨てた一人の坊主(ユンファ)がいた。彼がその奥義を引き継いだ時、ナチスの軍人ストラッカー(カレル・ローデン)が巻物を狙って寺院を襲う。そして時代は流れて2003年のニューヨークにて、60年前と全く変わらない姿の坊主は謎の男たちに追われていた。その途中、坊主は一人のスリの若者カー(ショーン・ウィリアム・スコット)と出会い、アホでスケベでカンフーオタクのチンピラだが根っからのワルではない彼にある資質を見抜き、彼の働く映画館に押し入って行動を共にする。そんなカーは地下を仕切るストリートギャングとのいざこざの最中に出会ったファイター、バッドガール(ジェイミー・キング)にひかれていく。だが、ストラッカーが差し向ける部下たちの、坊主への追撃は激化していく。やがて、カーは坊主の秘密とその使命を知ることになる…。

 う~む、うう~む…。ハリウッド式アクション映画に仏教の考えを盛り込んだというアイディアはそれなりにいいと思うし、お坊さん役に初挑戦というユンファを選んだのもいい。しかし、しかーし、これでアメリカ人はホントに喜んでくれたんだろーか?これでいいのだろーか?それにアクションが『グリーン・デスティニー』と同じ方式(つまりあれ)というのはどーゆーことだ?この方式も最近はハリウッドだけじゃなくて日本でも濫発気味だから新鮮さがなぁ…。
 でもね、新鮮に思えたところもちゃんとあった。まず、この映画でのユンファの立ち位置はカーやバッドガールたち若者を正しい道、彼らの果たす使命へ導くという文字通りの“導師”であるということ。特にカーは最初が最初なだけに「ホントにこいつは自分の正しい道へ行けるんかいな?」なんてあきれて観ていたけど、そんなお調子者のカーを諭したりちょっとからかってみたりする時のユンファの柔和な表情やかる~いユーモアをにじませた台詞(もちろん英語よ)に、香港時代とはまた違った“オトナ”な印象を受けたもんだ。このお坊さんには是非日本の若者もシバいて、いや鍛えてやってくださいって頼みたいねアタシは。あとはファッションね(笑)。坊さんなので髪型は五分刈り、それはしょうがない。『挽歌』の頃は黒のロングコートだったけど、こっちは同じロングコートでも渋いブラウンのトレンチ。なんとなく『ブレードランナー』でハリソン・フォードが着ていたようなのを彷彿とさせるような感じのくたびれたコート。その下に変わった形のベスト+台襟ワイシャツ+長袖Tシャツ+コットンパンツ、さらに巻物の入った革のカバンをたすきがけ。まぁ、旅のチベット僧って雰囲気のコーディネートを意識したんだろうけど、よくみりゃ西部劇的?それもある意味新鮮だったかな…。
 そんな坊主ユンファに導かれる、ショーン君演じるカー。ちなみにこの役名は香港カンフー映画をリスペクトしているという性格に合わせて名づけられたそうだけど(ネタバレになるので詳細は控えます)、そんならカーフ○イとかカーウァ○とかいう名前でも…とか考えちまって一人笑い。彼が間借りする映画館の支配人は日本でもお馴染のマコ(岩松信)さん。バッドガール役のジェイミーはいかにもはねっかえりで、どうしてもカーは彼女に敵わないって点がホントにイマドキな感じ。うふふのふー。
 製作に我らがジョン・ウーが名を連ねてはいるけど、ウーさんの映画の影響はあまりないかも。この映画の監督はPV出身ってことで、どちらかといえば成龍さんやリンチェイ主演のハリウッド映画や『リプレイスメントキラー』のA・フークワ監督の映画と同じような印象を受ける。もっとも、成龍さんやリンチェイのハリウッド映画を観ていつも「なんでカンフー映画にこの音楽を合わせるのかなぁ、いくら香港映画の支持率が黒人やB-BOYに高いからって…」と感じるようなヒップホップ曲は多用されてなかったけど(音楽は御大エリック・セラなのでちょっとヒーリング入った感じ)、それでも演出のリズムは似ているのよね。まぁ、フークワ監督も確かそうだったけど、成龍さんたちの映画の監督もPV出身の人が多いからかなぁ。

 最後に一言。邦題、『弾丸坊主』でよかったと思うんですけど。インパクト十分だし。以上!

原題:bulletproof monk 監督/ポール・ハンター 製作/ジョン・ウー 音楽/エリック・セラ
出演/チョウ・ユンファ ショーン・ウィリアム・スコット ジェイミー・キング カレル・ローデン マコ

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