【覚書】今年観た中華電影、今年読んだ中華関連本、感想を書く予定一覧

大変ご無沙汰してしまいました。生きてます。まあtwitterではほぼ毎日tweetしてるから、そっちで生存確認はできますね。SNSメインになって申し訳ありません。
本業がかなり忙しくなっているのに加え、未だにPCもvistaなので、もう更新も大変で大変で(来年には買い替えます)。春の香港旅行記以来、映画や本の感想もかなり溜まってしまいました。
気がつけば今年もあと僅かですが、旧正月くらいをめどに、なんとか感想等をアップしていこうと思います。短く客観的かつ批評的な文章を目指して書きますね。
全部記事を書くまで、この覚書をblogのトップにおいておきます。

映画祭で鑑賞 した映画
『メイド・イン・ホンコン』 デジタルリマスター版

『アリフ、ザ・プリン(セ)ス』

『怪怪怪怪物!』
『超級大国民』 デジタルリマスター版
『ミスター・ロン』
『相愛相親』

『山中傳奇』デジタルリマスター版
『ジョニーは行方不明』

『天使は白をまとう』

劇場で鑑賞 した映画
『人魚姫』
『霊幻道士 こちらキョンシー退治局』
『牯嶺街少年殺人事件』デジタルリマスター版

『イップ・マン 継承』
『グレートウォール』
『おじいちゃんはデブゴン』
『コール・オブ・ヒーローズ  武勇伝』
『レイルロード・タイガー』
『草原の河』
『湾生回家』
『十年』

『スキップトレース』
『海の彼方』

TV録画等で鑑賞
『誘拐捜査』
『ブラッド・ウェポン』
『やがて哀しき復讐者』
『盗聴犯 狙われたブローカー』
『九龍猟奇殺人事件』

今年読んだ中華関係本
『台湾少女、洋裁に出会う  母とミシンの60年』鄭鴻生
『日本×香港×台湾 若者はあきらめない』SEALDs
『星空』ジミー・リャオ
『蔡英文 新時代の台湾へ』蔡英文
『ハゲタカ2.5 ハーディ』真山 仁
『13・67』陳浩基

以上です。
では、頑張って記事書きます。
書き上がり次第、随時UPいたしますね。

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ジョニーは行方不明(2017/台湾)

大都市台北に暮らす若者たちが抱える孤独を描く映画といえば、真っ先に思い浮かぶのが、エドワード・ヤンの『恐怖分子』『台北ストーリー』であり、蔡明亮の『愛情萬歳』である。80年代後半から90年代にかけ、歴史的にも経済的にも大きな変化を遂げていく台北で、家族や恋人と分かり合えなかったり、思いの届かない片思いやひとときの情事に身を任せても満たされない人々の姿をスクリーンで観てきた。
台北ストーリーの主演俳優であるホウちゃんこと侯孝賢のスタッフだった黄煕監督のデビュー作『ジョニーは行方不明』を観てまず感じたのは、先に挙げたような、いわゆる“台湾新電影”の名手たちが描いてきた作品群であった。しかし、これらの作品には似ていても、全く同じというわけではない。21世紀を迎えた若者たちの孤独の描き方と、それへの向かい方は先の作品とは違う。



予告はこちらから。

車のガス欠により地下鉄に向かう男、同じく地下鉄で出会う青年と女が、それぞれ同じダウンタウン台北の古めのアパートに向かう。青年李立はアパートの大家の息子で、発達障害があるために家族から心配されている。このアパートに越してきたばかりの女・徐子淇はインコと共に暮らしている。そして男・張以風は大家の依頼でアパートのリノベーション工事を請け負うことになる。
心配されるのが苦手で、だけど自由気ままにいたい立くん。台中から一人で出てきて、友人や恩師の悩みに親身になって付き合う風くん。そして香港からやってきた徐さんには恋人がいるらしいが、どうもうまくいっていない。そんなことがわかった時、徐さんが新しく家に迎えたインコが逃げ出し、それと時を同じくして彼女のスマートフォンには「ジョニー、いる?」と間違い電話が次々とかかってくるようになる。

徐さん、立くん、風くんに共通するのは、形は違えど、それぞれが孤独に向き合っていることだ。だけど、彼らは孤独を悲しむことはない。立くんには家族がいるし、風くんは人助けが好きだ。彼らは孤独と向き合うことで、今の自分の状況を確認し、次にどこに向かおうかと思案しているように見える。決して行き場のない絶望ではない。それは、この三人の中で最も悩んでいる様子が伺える徐さんにも見られる。好きな仕事に就き、好きなインコと気ままに暮らしているけど、不倫の関係を精算できないし、実は香港に子どもを残してきている。だから、この台北の真ん中で足踏みして迷っているようなのだ。
そんな彼女は風くんと出会い、他愛もない話をしていく。彼らの関係は決して恋愛とはいえない。あくまでもご近所さん的に描かれる。それでも彼女には救いになっている。風くんも時折淋しげな佇まいを見せるし、彼のバックボーンも詳細には語られない。だけど、人に寄り添って助けてあげる親切心があり、それが大切であることを知っている。そんな親切が徐さんを解きほぐし、一歩前に踏み出すことを決意させてくれたのではないか。

ゆったりした街の映し方、住宅地のすぐ横を流れる川の風景、そして台北のマチナカに架かる道路。徐さんと風くんが疾走する夜の高架沿いの躍動感は、王家衛にも通ずる。TVドラマから派生しての良質な青春映画を多く産み出してきた台湾映画界だけど、そのみずみずしさを経由して、新電影時代に見られたテーマを描くとこのように深化していくのだろうか、ということも観終わって考えた。そして、孤独であることは決してネガティヴではないこと、そしてどんなに辛くても人とふれあい、親切にしていく/してもらうことがいかに大切なのかを語ってくれたと思った。
我らがルンルンことクー・ユールン、黄遠の2人も好演だし、レバノンと台湾のハーフというタレントのリマ・ジダン嬢(金馬奬最優秀新人賞受賞。恭喜!)の無国籍さを活かした伸びやかな佇まいも実にいい。大きな事件もなく、淡々としたスケッチのように物語は展開するけど、その淡々さがなんともよい味わいだった。

フィルメックスの監督Q&Aはこちらで読めます。動画もあり。

原題&英題:強尼・凱克(Missing Johnny)
監督:ホアン・シー 製作:ホウ・シャオシェン イエ・ルーフェン 音楽:リン・チャン シュー・シーユエン
出演:クー・ユールン リマ・ジダン ホアン・ユエン チャン・クオチュー

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霊幻道士 こちらキョンシー退治局(2017/香港)

最近、twitterでこんな気になるやり取りを見かけた。

田中泰延氏古賀史健氏は共にフォロワーも多く、インフルエンサーでもあるお二方。
特に田中氏は映画コラムの連載も持っているので、映画に造詣が深いのもわかる。
…でもさ、正直いってがっかりしちゃった、このやり取りは。
確かに映画でも旅行でも返還以前で時が止まっている人が世の中にあまりにも多すぎて、返還直後から香港に通い、全てではないけど90年代の黄金期晩期からの香港映画を観てきた身としては、それだけを言われることにムズムズしてくる。ましてやノワールとか言われても、それは何を指すの?インファ?トーさん?とツッコミたくなるし。そして取りこぼされる王家衛。
ああ、書いてて虚しいけど、オタクだからそういうところには過敏に反応しちゃいますね。悪い癖です。すんません。

そんな往年の香港コメディ映画が懐かしい、田中さんと古賀さんにもぜひ観てほしい最新作の感想を書いちゃいますよ。

 



予告はこちらから。

この春の香港旅行は、珍しく香港国際電影節の開催前という谷間のシーズンで、興味を引く映画が少なく、あと1日帰国を遅らせたら、ショーンとエリックとっつぁんの社会派映画《一念無明》が観られたのにとガッカリしてた。でもその中でヒットしていたのがこの映画。
おっ、主演は最近名前と顔をよく見かける香港映画の新たなるスター、ベイビージョン・チョイ(以下べビジョン)じゃないか!そして共演にはずいぶんお久しぶりの錢小豪!久しぶりじゃないけどリチャード・ン!そして安心のゴッドマザー、スーザン姐!…で、これ何なの?キョンシーもの?

お気づきかと思われますが、実はワタクシは、霊幻道士と幽幻道士を全スルーしたまま、ここまできた中華電影迷なのであります。ちなみにジョージ・A・ロメロの『ゾンビ』もこの秋やっと初めて観ました>あまり関係ないか
中国の古代伝承や志怪小説からヒントを得たキョンシーものは、Wikipediaによると1980年前後から映画に取り上げられており、香港映画黄金期の85年に公開された『霊幻道士』がその決定版となり、台湾映画の『幽幻道士』やアイドルものの『ハッピー・キョンシー』など多くの作品が生まれた。近年では、ジュノ・マックがやはりシウホウ主演で撮った「リゴル・モルティス 死後硬直(一般公開題・キョンシー)」という、コメディ要素抜きのがっつり怖そうなオマージュ作もある、とまとめておこう。

そんないちいち調べないとキョンシーものを語れないくらいのヘタレ香港映画好きのワタシが、果たしてこれを楽しめるか否か?と心配して劇場に入ったのだが…大丈夫でした、楽しめました(^O^)

香港開闢以来、この地には常にキョンシーが跋扈していた。そのため密かにキョンシーに対抗し、発見次第駆除する秘密捜査処理班を当時の行政が設立した。それはイギリス統治と中国への返還を経た現在も続き、香港市民の安全は彼らによって保たれていた。現在の部署名は、食環處秘密行動組。英語名はVampire Cleanup Depertment、略してVCD。
これはべビジョン演じるオタク青年の張春天が、ある夜VCDとキョンシーの格闘に巻き込まれてしまったことから始まり、キョンシーと戦う宿命を背負った彼がVCDの新人メンバーとして昼は街の清掃、夜はキョンシー退治に勤しみ、これまた宿命的な恋に落ちてしまうといういろいろとてんこ盛りな物語である…。

…と物語を説明すると、よくある話ではあるんだけど、これがまたとっても楽しい。
オリジナルの道士役・林正英は既に亡くなっているけど、シリーズ出演者であるシウホウ&リチャードさんがしっかり脇を固めているので、世界観的には間違いはないんだろう。特にシウホウはさすが!と嘆息するアクションの切れ味。キャリアを重ねてもキレキレだったので、これは若い頃の作品も観なきゃかな、と。
それでも現在進行系の香港映画好きとしてはやっぱりべビジョンに注目してしまう。今年で31歳だというのに、かわいらしい英語名とそれにふさわしいベイビーフェイス、香港演藝学院を卒業後、しばらく演劇をやっていたという地元人的にはいいキャリア、日本公開作では『ドラゴン×マッハ!』や葉問3にも出演し、主役も脇役もこなす器用さ、そして既婚者!はいそこでガッカリしないように。もちろん、アクションだって難なくこなしますよ。

日本では早くも今年の夏のカリコレで上映され、出演者が重複することから「霊幻道士」シリーズ最新作と銘打たれてしまったけど、もちろんつながりはない。ユーモラス感はもちろんあるけど、春天の両親の悲劇や彼と美少女キョンシー小夏との恋、そしてどちらかといえばグロ指向のラスボスキョンシーとの闘いなどの現代的アレンジは、オールドファンにはどう観られたのか気になるところ。

劇場公開は特集上映のみで終わってしまい、地方上映もないままソフト化されてしまったのは残念だけど、これからはCSの映画専門チャンネル等で放映されるし、youtubeムービーでレンタル視聴もできるようなので、多くの方にご覧いただければ幸いです。

田中さ~ん、古賀さ~ん、もし未見だったらぜひ是非これ観てくださいねー。
今の香港映画は決してノワールばっかりじゃないんですよー!>届くことはないとわかっているけど、このサイバー空間の片隅から一応叫んでみる

原題&英題:救殭清道夫(Vampire Cleanup Depertment)
監督:ヤン・パクウィン&チウ・シンハン
出演:ベイビージョン・チョイ チン・シウホウ リチャード・ン リン・ミンチェン ロー・ベン ボンディ・チウ ユエン・チョンヤン エリック・ツァン スーザン・ショウ

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相愛相親(2017/中国・台湾)

シルヴィア・チャン監督の『相愛相親』は、監督自身が演じる主人公・岳慧英が老いた母親を看取る場面から始まる。慧英自身も定年を間近に迎えた高校教師で、自動車教習所の教官である夫と地元TV局に勤務する成人した娘を持つ身であり、ここから物語は彼女の老い支度が始まるのかと思いきや、約20年前に亡くなった彼女の父親との合葬に、田舎に住む父の墓を守る最初の妻が猛反対するという展開になる。
そのおばあちゃんから見れば、慧英は妾の子。しかも「夫に先立たれ、その後ずっと独身を貫いた妻の貞節を称える」などという碑のある村に住んでいるものだから、村人も当然おばあちゃんの味方。おまけに娘の薇薇が撮った村での様子がテレビ局の看板番組に取り上げられることになり、さらに大騒ぎに…。

予告はこちら

父親の死をめぐり、最初の妻と最後の妻の子どもが争うなどというプロットは決して珍しいものではなく、総じてスキャンダラスに描かれるものであり、かつどこか古臭く感じる。しかし、この映画ではそうならなかった。20世紀後半からの中国の人々の背負った歴史も背景に匂わせつつ、急激に発展した21世紀の地方都市を舞台に、価値観や立場の違う人々のぶつかり合いから和解に至るまでを、ユーモアを交えて温かく描いている。

生真面目で家長を自認しているからこそ、愛し合っていた父と母を一緒の墓に納めたい慧英、貧しさから若いうちに別れることになってしまったけれど、死んでもなお夫を強く愛するおばあちゃん、そして慧英に反抗して家出し、恋人の阿達と共になぜかおばあちゃんのもとに住み着いてしまう薇薇の三世代の描き方が面白い。
慧英の強引さもおばあちゃんの一途さも同じ土俵に載せられているので、人によってはおばあちゃんに同情してしまう人も少なくないだろうし、その狙いも明白である。
ここで物語に客観性を呼び込むのが慧英の夫である尹孝平。妻の尻に敷かれ、家庭でも存在感が薄い、いかにも今時らしいお父さんなのだが、暴走する慧英と母親に不満ばかりを抱く薇薇の間に入って宥める役どころも果たしている。子は鎹ではなく父が鎹と言ったところか。彼を演じるのがあの田壮壮監督。『呉清源』がきっかけで面識ができ、キャスティングも想定して脚本を書いたということだが、その試みは成功していて、いいアクセントになっている。

また、岳家のファミリーアフェアも描きながら、慧英の担任するクラスで問題を抱えている学生・盧くんとその父親で売れない俳優・盧明偉と彼女の関係、西安から北京に行く途中で街にとどまり、ライヴハウスで歌うようになった歌手の阿達と薇薇の発展しない恋愛など、脇の人間関係も興味深い。これらの筋が物語にうまくハマり、慧英とおばあちゃんがそれぞれ決意をして争いを収めようとする結末に向かう。それを思うと、Love Educationという英題からは、自分と異なる人の行動や思考から相手を理解し、考えを深めて次に進むという意味がこめられていると考えられる。
発展著しい中国の地方都市の文化や生活も見え、いろいろと考えさせられながらもポジティヴ良心的な作品。『戦狼』のようなビッグバジェットではなく、第五世代のような巨匠たちの作品ともまた違う中国映画である。一般公開する価値は十分にあるので、各配給会社さんに是非期待したい。

東京フィルメックスではオープニングフィルムとして上映。
2年前に審査員を務めたシルヴィアさんが再び有楽町にやってきました。

上映時のQ&Aはこちらから。
動画は上記の題名にリンクした作品紹介ページでも観られます。

英題:Love Education
監督:シルヴィア・チャン 脚本:シルヴィア・チャン&ヨウ・シャオイン 撮影:リー・ピンビン 音楽:ケイ・ホアン
出演:シルヴィア・チャン ティエン・チュアンチュアン ラン・ユエティン ソン・ニンフォン ウー・イェンメイ タン・ウェイウェイ カン・ルー レネ・リウ

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イップ・マン 継承(2015/香港・中国)

昨年の『ローグ・ワン』と今年初めに公開された『トリプルX:再起動』という2本のハリウッド大作に次々と出演し、香港映画ファン以外にも知られるようになってきたんじゃないかと思われる我らが宇宙最強ド兄さんことドニー・イェン。
ただ、ハリウッドに出てくれたことで説明しやすくなったのはありがたいが、主演作が地方までくることは少なく、本当に悩ましいのもまた事実。現にこっちには『捜査官X』以降の主演作は全く来ていない。ファンの中には「映画館にきても入らないから、ソフトや配信で観る」などと思っている人もいるかもしれない(そんな人いないと信じたい)が、そう思うのは本当にもったいない。と、ド兄さんの出世作となったシリーズの最新作『イップ・マン 継承』を観て思ったのであった。

日中戦争を背景に、故郷の佛山を占領した日本兵との対立を中心においた2008年の『イップ・マン 序章』、戦後移住した香港で功夫の先達から認められ、彼らを見下す英国人ファイターに挑んだ2010年の『イップ・マン 葉問』から5年が経って登場した第3作。この間にはもともと企画が先行していたものの、例によっての王家衛だから完成まで13年かかった『グランド・マスター(以下一代宗師)』もやっと公開された。この他には、デニス・トー主演でハーマン・ヤウ監督の『イップ・マン 誕生』、同じくハーマンさん監督で秋生さん主演の『イップ・マン 最終章』も作られているけど、すみませんこの2本は未見です。



1作目は金像奨で作品賞も獲り、ド兄さんの熱演で映画界における葉問ブームが湧き上がったのが(ただし一代宗師は除く)もう10年近く前になるのにびっくりしているが、以前の感想にも書いているけど、実は諸手を挙げて評価しているわけじゃないんだよね、前2作は。大陸を向き始めた頃ってのもあってか、敵を中国以外の者に設定してイデオロギーやや高めな感じになってるのが引っかかった。そのあたり数年の時代ものアクション映画になぜか抗日的要素が入ってしまっていたのは、谷垣健治さんも著書で触れられていましたっけね。

今回の舞台は1950年代の香港。ド兄さん演じる葉師傳もすっかり香港の生活に馴染み、次男の葉正もやんちゃな小学生へと成長。貿易港湾都市として好景気に沸く香港での問題は地上げであり、葉正の通う小学校が標的にされることから、物語は不穏な方向へ動き出す。
この事件から出会うのは葉正の同級生の父親で、車夫をしている詠春拳使いの張天志(張晉)。向上心に燃える張天志は、いつかは葉問のように香港の武林に認められることを望んでいる。しかし生活のために闇の格闘技試合に出場し、上昇志向が強いために、やがて葉問と対立することになる。



戦時中→対戦直後→50年代香港と時代を移し、その時々の状況に応じた好敵手が要問の前に現れ、彼と拳を合わせる。先に書いたように、全2作の敵はいずれも香港(というか中国)の外からの敵であったのだが、今回は同じ香港居民であり詠春の使い手であるというところが特徴的である。それをベースにして語られる物語は、果たして強いだけでいいのかという基本中の基本でもあるのだが、対抗する張天志の事情もよく分かるだけあって、ちょっとしたボタンの掛け違いのようなすれ違いで葉問を越える野望を露わにしてしまったのは切ない。演じる張晉もまた良いキャラだからなおさらそう感じた。

しかし今回の葉問しーふーの、まあなんとエレガントなこと。
それはド兄さんが重ねたキャリアと年齢が活かされているのは言うまでもないのだけど、品格があって愛妻家で息子思いで人を尊んでご近所のマダームにもモテモテでなんとまあ隙がない。あまり品行方正なのもどうかと思うけど、まあしーふーだからそれはそれでいいか(笑)。冒頭で登場する、陳國坤演じる生意気なあの青年(とだけ言っておこう)との痛快なやりとりなどは、まさにしーふーとしての品格からなるものであったしね。
香港の武林界でもリスペクトをもらった彼が語るのは、守るための詠春という考えを受けての、未来の世代にそれを受け継ぐという決意がこめられていたこと。
こういうのがあるから、ワタシはこの映画に好感が持てたし、邦題もうまかったよなって思うのであった。



史実では、葉問の妻永成は彼が香港に渡っても佛山に残り、そこで一生を終えたというのであるが(だから一代宗師ではそのへんは忠実である)、ここでは彼女も一緒に香港で暮らしているという設定になっている。この永成(熊黛林)と葉問との愛もシリーズの見どころであるのだけど、今回は永成が胃ガンにより余命わずかとなったことも物語に絡んでくる。佛山の苦難の時代からずっと葉問のそばにいて、彼が危機を冒して戦う姿をずっと見てきただけあるので、病を抱えながらも、小学校をめぐるいざこざや、「詠春正宗」を名乗ってはなんとか戦いの場に引っ張り出そうとする張天志に向かう葉問を大いに心配する。だけど夫である彼も彼女の気持ちは痛いほどわかっているので、最期の時を一緒に過ごそうとする。フィクションではあるけど、こういうエピソードもバトルと並べても浮いてはいないのだから、今回はとても良くバランスの取れた構成だった。
製作発表当初はマイク・タイソンの特別出演で話題になったけど、これも物語から浮かずに処理できたのもよかったしね(まあ、タイソン自身のルックに「そういう顔にタトゥー入れたイギリス人不動産屋さんはさすがにおらんだろ?」という気にはなったが、映画だから気にするな)

そして最後にこれだけはいいたい。
今こそこのシリーズはド兄さんの代表作となり、この3作目はシリーズでも最高傑作となった。でもだからといって、一部にある「ド兄さんの葉問こそ唯一」という意見には納得できないし、返す刀で一代宗師を批判されたくない。むしろしたら倒してやる、と逆上する。
それはここでも書いてきたように、一代宗師が先行しているわけだし、どちらも同じ葉問であっても、アプローチも違えば演技も違う。だからこそ、アクションや娯楽性だけで同じまな板に乗せて論じることは意味がない。同じ映画としてエールを送り合っているようにも見えるから、比べることなどできないのだ。そこを心得ないといけないと思う。

原題:葉問3(Ip Man3)
監督:ウィルソン・イップ 製作:レイモンド・ウォン 脚本:エドモンド・ウォン 撮影:ケニー・ツェー アクション指導:ユエン・ウーピン 音楽:川井憲次
出演:ドニー・イェン リン・ホン マックス・チャン パトリック・タム ベイビージョン・チョイ チャン・クォックワン マイク・タイソン ケント・チェン

注:youtubeの仕様が変わり、縮小できないまま予告を貼ってしまいましたが、画面上のタイトルをクリックorタップすれば該当ページが開きますので、そちらでご覧下さい。

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残酷ドラゴン 血斗竜門の宿(1967/台湾)

先月、岩手県北の二戸で行われたカシオベア星空映画祭という野外上映イベントにるろけんを観に行った。「なんどめだるろけん!」というツッコミは承知の助だが、監督の大友さんがトークをされるので、久々にるろけん話が聞けるのは嬉しいぞ♪ってなわけで行ったのである。
内容としては人気マンガの映画化の苦労などを中心に今まで聞いてきた話をまとめた感じになっていたけど、20年前の米国留学時にキン・フーから始まる香港のアクション映画に多く触れ、そこで谷垣健治さんを知ったというくだりにはやっぱりニヤニヤさせられたのでした。以前フィルメックスで『侠女』を観て、「この映画がるろけんにつながるのかあああああぁぁぁ!」と大興奮していたのだけど、「つながった!これでやっぱり裏付けされたわねー!」とまた一人で妙に盛り上がっていたのでした。すいません、ほんとに単純バカっすねオレ。

さて、今年の始めに侠女と共に東京で公開されたキン・フー監督作品がこの『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』2月の五月天ライヴの翌日、予定が変わり日中のスケジュールが空いたので、劇場で観ることができました。ああ、スクリーンで観られて本当によかった…。

↑は劇場でもらったオリジナルポスター版ポストカード。
そしてオリジナル予告はこちら(埋め込みサイズが大きいのでリンク)

 

 追われる者と追う者、あるいは目的は同じなれど様々な思惑を抱えた者共が一つの宿に集まり、一触即発の状態を保ちながら駆け引きをし、クライマックスに雪崩れ込む…これは後の『ドラゴン・イン(1992/すいませんいまだに未見です)』や『ドラゴンゲート(2012)』など後に徐克さんがリメイクした2作品ももちろん同じ。そしてドキドキハラハラしながらも、非常に燃えるシチュエーションだったりする。
 追われる将軍の遺児たち(徐楓さん)、追う側は太監・曹少欽(白鷹)の部下たち、守るのは将軍の元部下とその妹(薛漢&上官靈風)、風に吹かれてやってきたような義士・簫少鎡(石雋)。曹の部下が辺境の地の宿・龍門客棧を借りきり、そんな中に簫が飛び込み、場を引っ掻き回すくだりが楽しい。椅子など日常のものを使ったコミカルなアクションは成龍さん作品でよく見られるけど、すでに60年代にキン・フーさんが先駆けていたとは、と感心。上官靈風さんが演じる男装の剣士も中華電影ではお約束なので、彼女の存在もまた楽し。石雋さんは侠女でのややボンクラ入った知性派とは違う役どころで、もちろんアクションも見せてくれるんだけど、すっとぼけながら密偵たちを手玉に取るユーモアがあって軽快でよかった。
 宿の主人も簫たちと合流し、曹の部下の密偵たちを撃破。そしてついに曹が彼らに立ちふさがるのだけど、さすがラスボスの貫禄ありで、ものすごく強くて憎々しい。そこまでに至るテンポもよく、観ていてほんとうに楽しかった。京劇のメロディを織り込んだ音楽も、現代の作品では定番になっているけど、公開当時は結構珍しかったんじゃないかな。

 しかし、これのどこが残酷なんだ?日本公開は74年だったそうなので、もろに燃えよドラゴンのフォロワー的扱いを受けての邦題なのだろうけど、人はガンガン死んでいても、そんなに残酷じゃないじゃん…と思ってラストにたどり着いたら、うわーっ、それは残酷だー!たしかに誰が観ても残酷だー!と心のなかで叫んで大いに納得したのでした。
以上、ちゃんちゃん♪

なんかすんません、ふざけた感想で。でもものすごく面白かったんです。
『楽日』で苗天さんと石雋さんがしみじみと観ていたのが、この映画だったんだなあとジーンとしたのも確かだったし。

原題(&英題):龍門客棧(Dragon Inn/Dragon gate inn)
監督&脚本:キン・フー 撮影:ホア・ホイイン 武術指導&出演:ハン・インチェ
出演:シャンクァン・リンフォン シー・チュン バイ・イン ツァオ・ジエン シュエ・ハン ミャオ・ティエン シュー・フォン

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春光乍洩單身修学旅行完結編・香港編3

3月29日、香港滞在もあと1日半。
この日の早餐は、openriceで調べた叁去壹という點心粉麺飯のお店で、腸粉と焼賣をいただいた。前日の反省を生かし、二件だけにした。焼賣を饅頭系點心にしたら、確実にお腹が膨れそうではあるか。

早餐の後は、軽く西環を散歩。ここは崇真會救恩堂

前半は遠出メインだったので、今回は日中のうちに近場で回れるところは回ってしまうことにした。でも、あまり行かないところを先に行きたいと思い、まずは香港大学に行った。
実は初めてではなく、二度目の旅行の時に足を運んでいるはずなんだけど、当時は決して気軽に行けるところではなかった。でも大学までMRTも開通したので、行ってみた。

校舎が高台に沿って建てられているので、アップダウンはなかなか激しい。
ここは図書館横だが、アピール文を読むと大学の自治が何かよく分かる。このような自由が奪われないことを願うばかり。雰囲気のいい本館で暫し休憩。(参考として地図

ランラン・ショウ・タワー(!)の一角にあるビジターセンター。
ここでキャンパスグッズをいろいろ販売。

次は中環まで戻って、最近の香港ガイドでは必ず取り上げられる新スポット、PMQへ。

SOHOまで足を運ぶことはめったにないのだが、旧警察官舎のことはなんとなく憶えていた。
行った時間が早かったこともあり、まだ営業を開始していないお店も多かったが、香港アートの発信基地だけあって、古い建物内に点在するオブジェや雑貨屋台を見て回るのは楽しかった。
ここでは老舗の劉裕發茶荘が経営する工夫茶舎に寄り、Chocolate Rainコラボパッケージの普洱茶を購入。後はJBLのサウンドブースで無間道ごっこ(違)もしてきた。

あ、無間道といえば!と言うわけで、昼に深水埗へ移動。

午餐は劉森記麵家の蝦子撈麵。澳門でも名物として紹介されているけど、食べてこられなかったのでこちらでリベンジ。
その後は坤記に寄って、食べ歩き用に砵仔糕を購入。

日本はもちろん、台湾でも食べられないこのふるふるの感触が大好き。
写真には写ってないけど、黒糖味のも美味しかった。

雨がパラパラ降るのを気にしながらしばし散歩し、尖沙咀に戻って映画の座席を押さえ、美麗都大廈に移転したJenny Bakeryでお使いした。重慶大廈にあった頃はかなり長い行列ができていて、それに並ぶのが嫌で買わなくなったのだけど、人気が一段落したようなので割とすぐ買えた。お使いついでに職場土産にも買ったのでした。

映画は夜の回の席を取ったので、重い荷物を置きたくて一度帰ることにしたが、その前にここに寄らないと、とプロムナード改修&再開発により尖東に移転中の星光花園に足を運んだ。




天上天下麥兜(マクダル)独尊…なんちって



撮影中。李小龍像も梅姐像ももちろん一緒に引っ越し中。
ちなみにこの時期は梅姐の特集展示がされていました。

歩道の手形もこのように仮展示。改修後どのように変化するのか楽しみ。だけど、開設されて20年も立ってないのに、もう改修というのは…とちょっと疑問に思ったのも確か。そもそもプロムナード自体が老朽化していたというのもあるのかな。

ホテルに帰って荷物を降ろし、再び尖沙咀のthe oneへ。
観た映画はこれ!《救殭清道夫》こと『霊幻道士 こちらキョンシー退治局』。



これは後ほど感想を書きますね。楽しかった~。



映画が終わって外に出ると、ちょうどsymphony of lightsの時間。相変わらず人で一杯のチムだけど、久々に香港島ハーバーサイドのビルの光の点呼を楽しみ、いい春の夜風に吹かれてた。もちろん帰りはスターフェリーで。

香港最後の晩餐は、鏞記の燒鵝飯をテイクアウトし、コンビニでブルーガールビールと源記で燉蛋(たまごプリン)を買ってホテルでゆっくりいただいた。

3月30日、ついに最終日。香港らしい曇り空で、もちろん名残惜しさを感じてる。
帰りの飛行機は夕方発、チェックアウトは12時なので、最後の悪あがきとして朝の尖沙咀を散歩することに決定。荷造りは夜にしちゃったので、早餐を取ってそのまま渡ることにした。



この旅最後の早餐は、再び金沙冰室で通粉のセット。
朝飲むのはだいたいミルクティー。



4年前にはなかった観覧車を横に見ながらスターフェリーターミナルへ。

チムに着いて、まだショップ開店前だった1881ヘリテージ(ホテルは5月末で閉館…もったいないけど高級すぎたのかな)やペニンシュラなど、あまり遠くに行かない範囲でブラブラと歩く。なにせほとんどお店は開いてなかったからね。

暦の関係か、珍しく3月スタートじゃなかった香港国際電影節は、文化中心にポスターが展示され、プログラムは配布されていた。
今年の電影大使はご覧の通り古天楽。黒い…のは仕様ですから仕方がない(笑)。



香港エンターテインメントエキスポの巨大ポスターもあった。こちらの大使は黎明。

最終日にいわゆる香港らしいところを歩けて満足しちゃったので、11時前には西營盤に戻ってきた。でもホテルに戻る前にもう少し買い物がしたくなって、惠康に寄ってクノールの鶏粉、リプトンのインスタントミルクティーやお茶のディーバッグなどを買い出して、キャリーバッグの隙間に詰めた。準備もできたのでチェックアウトし、西營盤からMTRで中環に向かい、AELでインタウンチェックイン。お昼は今まで一度も行ったことがなかったあの添好運に並び、名物の叉焼包と桂花と枸杞のゼリーをテイクアウト。向かいの天仁茗茶で珍珠奶茶も買い、空港の隅っこ(パシフィックコーヒーの近くのイートインスペースで…といえばわかる方にはわかるよね)で食べた。これで結構満足。



それから出国し、おみやげを買いつつ搭乗を待ち、定時発のANAで復路は成田へ。運行にもトラブルなく定時に到着し、無事に帰国したのでした。

4年半ぶりの香港は、今まで行ったことのない場所やもう一度行きたかったところにも行け、短い期間でも思いっきり楽しんだけど、それでも行けなかった間に香港で起こったあれこれの事件を街のあちこちで十分感じさせてくれた。
澳門から香港に移動する日が例の行政長官選挙の日で、結果は言わずもがな。それから3か月の返還20年をはさみ、民主派への大陸の締め付けが厳しくなっているのは、報道でも追ってきた。初めて香港に行ってからちょうど20年にもなるので、この間の変化は旅行客であってもよくわかるし、特に大陸の現政権になってからの約束破りも厭わぬような処置の仕方は外国人であっても不安にさせられる。
この話題に関しては『十年』の感想と合わせたほうがいいので後で述べるけど、たとえ香港が中国の一都市になって、街の略称も「港」ではなくなぜか「香」と書かれるようになっても(この表現すんごくイラッとするんだけどなんで?「港」の略称って正式じゃないの?)、いい意味での猥雑さと、それが産み出すパワフルさは奪ってほしくない。普通話じゃなくて広東語を学んでまで香港に行くのは、そのパワフルさが大いに刺激になるからだ。
香港映画を愛し、そこから香港という街に魅了された身として、ここは単なる観光地ではなく、今では街そのものを愛おしく感じているし、インスピレーションをもらえる場所としても尊く思ってる。物価も高くなっているし、諸事情で以前ほどの頻度で行くことも難しくなっているけど、今度は来年の夏から再来年の春の間に行きたい。てか、『モンスター・ハント2』の上映に合わせて行きたいなあ。

そうそう、今回の旅行記は「修学旅行」とは銘打ってるけど、これで広東語も普通話も勉強やめるわけではないですよ―。今はどちらもお休みしているけど、仕事が楽になったらまた復帰します。
そんなわけで、かなり時間もかかりましたが、春の香港旅行記はこれにて締めます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
次からは今年観てきた映画の感想を、思い出せるだけ書いていきますね。

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春光乍洩單身修学旅行3・香港編2

3月28日、香港3日目。
もともとあまり体調がよくないのに、1日1万5千歩以上歩いてしまっているのだが、疲れは確実に身体に出るので、左側の首筋から肩が痛い。それでも休んでいられない。
天気もよかったので、この日は大澳に行くことにした。
早餐はケネディタウンにある飲茶店、新興食家。朝3時から営業する地元の人気店だそうで、8時前に行ったらものすごい混雑。おじちゃんおばちゃんの間に入って普洱茶を頼み、自力で点心の籠を取りに行きましたよ。

注文したのは叉焼包に名物のカスタードまん、写真を撮り忘れたけど蝦餃。

写真を見てもわかるように、結構ブツも大きかったが、なんとか完食。しかし三件は量が多く、お腹パンパン。テイクアウトも可能だったので、カスタードまんと叉焼包は1つずつ持ち帰って遠足に持っていけばよかったかな。そんなわけで、午餐過ぎまで何も食べなかったのであった。とほほ。

行きはMTRで行き、帰りは少し歩いてトラムで。ちょっと歩くと海が見えるのがいいな。
ところでこの海、ヴィクトリア湾の一部だと思いこんでいたのだが、今街道地方指南見たら、ベルチャー湾という名前がついていたのであった(笑)。

一度ホテルに戻ってから、10時過ぎに出発。中環でランタオ島東側の梅窩までフェリーで行き、そこからバスでガタガタと30分くらい走って大澳に到着。以前行った時は9年前の夏で、雨に降られてゆっくりできる状態じゃなかったが、この日はピーカンで、日焼け確実な晴天であった。

まずは湾に長く張り出した海廊を歩き(この写真から左の陸地側は、塩田になっているらしい)、中心地に戻って半島沿いの石仔埗街を歩く。

港町だからか、にゃんこが多い。でもカメラを向けたら、プイッとそっぽ向かれた(^_^;)

石仔埗街の一番端っこの山の上には、大澳文物酒店がある。かつての警察署の官舎をリノベして開業した、香港唯一のユネスコ認定ホテルだとか。部屋までは見られなかったけど、コロニアル様式の建築とガラス張りのレストランは雰囲気がいいし、屋外のベンチでもゆっくりできそう…と一応書くけど、当日は海風がえらく強くて吹き飛ばされそうになって大変であったのよ。
空港にも近いので、旅の最初か最後に1泊ってのもいいかな?と宿泊費を確かめたら…あ、やっぱりいいお値段ねー(^_^;)。

再び中心街に戻り、今度は新基橋を渡って棚屋の間を歩く。
以前訪ねたときと違う印象を受けたのは、天気がよかったのと家々にまだ春聯などが貼ってあったからかな。しばらく天気がよかったせいか、運河の水は少なかったなあ。

以前は行けなかった楊侯古廟までたどり着いた。
大きな旗がたくさん立っていて、強い風にたなびいている。この廟の向こう側に建設中の長い橋が見えたのだが、あれが噂の港珠澳大橋か…って写真撮ってなくてすみません。

ようやく小腹も空いてきた。手軽につまめる小食として、魚丸と雞蛋餅をいただいた。

帰りは東涌までバスで出てMTRで香港島へ。途中、中環にあるニコがオーナーを務めるクッキーショップ鋒味に寄って、茶餐廳クッキーなどを購入。

オーナーは不在でしたが(笑)、立て看はあった。

ホテルに戻ってまずは一休み。夜は映画に行こうか飲みに行こうかあれこれ考えたのだけど、まだ余裕もあるので中環へ飲みに行くことにした。

行ったのはSOHOにあるクラフトビールのお店、何蘭正
たくさん飲んでしまうとヘロヘロになるので、とりあえず一杯ってことで。
選んだのは香港製造のクラフトビール、CityBrew(城醸)のin the mood for spring saison。ちょっと花様年華っぽい名前が気になって、気持ちよく春の酔いを感じておりました。つまみはフレンチフライと枝豆。英語でもedamameっていうのはホントだったのねー。



飲んだ後はやはり甜品が欲しくなったので、ずっと行きたいと思っていた香港最古の糖水舗、源記甜品専家へ。ホテルにも近いのが実にありがたい。8時過ぎてもえらく混んでいるお店で、さすが老舗。ここでは看板メニューの桑寄生蓮子茶を注文。優しい味で疲れが取れるようだった。

あっという間に旅も折り返し。ここ2日とも遠出したので、次の日こそはいつも行ってる場所に行き、映画も観たいと思ってさっさと寝たのでした。

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春光乍洩單身修学旅行2・香港編1

18時発の澳門からのフェリーは、19時半に上環のマカオフェリーターミナルに到着。
Google Mapsを見たら、西營盤にある華麗都會酒店(グランドシティホテル)までは歩いていけそうだったので、ひーひー言いながら海沿いの干諾道西を歩き、ヒーヒー言いながらキャリーを持ち上げて歩道橋を上った。

30分後にホテルに無事チェックイン。西營盤はこれまであまり行くことがない場所ではなかったけど、2年前にMRT港島線が香港大学まで延線し、ガイドブックにも紹介されることが増えてきたので、今回は九龍ではなく久々に島に泊まりますか、と予約したのでした。
ちなみに島に泊まるのは、あのマンダリンオリエンタル泊以来。つまり震災直前の6年ぶりか…。

部屋はオーシャンビュー。朝ホテルの窓から撮ってみた。ビルの隙間からだけど、ちゃんと見えるのは嬉しい。高い階だともっと眺めも良さそうだね。

お腹も空いたので、夜食を買いに外に出た。
正街の下り坂の方にあった茶餐廳で、香港では結構珍しい煎餃があったのでテイクアウト。結構時間がかかったけど、カリカリに焼きあがっててビールのお供には最高であった。好食♪

開けて3月27日。この日から本格的に始動。
まずはセブンイレブンで最新版の街道指南を購入。噂になってた1977年復刻版はさすがになかった。単独ページで載る地域もどんどん増加していくので、行かないところを眺めるのもまた楽しい。

早餐は正街にある翠苑にて。目玉焼きとハム入りのインスタントラーメンは香港の朝に欠かせない。日本じゃなかなか作らないしね(笑)

西營盤駅からMTRに乗り、尖沙咀で降りてまずは重慶大廈で両替。
当日は天気がよかったので、今までなかなか行けなかった南生圍に行くことにした。

『鐵三角』などのトーさんの映画や、後ほど感想を書く『霊幻道士 こちらキョンシー退治局』などのロケで数多く使われている南生圍。尖東站から西線に乗って元朗まで行き、駅前にある大家樂單車行で自転車をレンタル。お腹も空いたので、持ってきていたブラウニーを午餐代わりに食べて、いざ出発。

駅から青山公路へ進み、入り口を最初間違えてしまったけど、戻って湿地帯のサイクリングコースをひたすら飛ばす。コースの前半は運河沿いに走るけど、後半はどこかで見たことがあるような森や並木道に入る。えーともしかしてそのへんになんか埋まってるんじゃないか?とかつい思っちゃいたくなる(笑)。

森を抜けると、複数の休憩処があった。
その横道を入っていくと、小さな川(山貝河)と渡し船が。6元で自転車を載せて渡してもらえた。向こう岸はもう住宅街で、2時間くらいで元朗駅まで戻ってこられた。

元朗から途中乗り換えて、次に向かったのは前回の宿泊地だった觀塘。
apmへ行って、許留山でや楊枝甘露をいただいた。
疲れて甘いものが欲しかったのでちょうどよかった。
しかし許留山、最近はフードメニューも出しているのかと気づいたが、頼む勇気がなかったのであった。



同じapmの片隅ではこんなイベントも。昨年を代表する邦画となったアニメ『この世界の片隅に』のミニ展示。香港では30日からの公開で、残念ながら観ることは叶わなかったのだけど、この展示はSNSで紹介されていたので、見に行こうと思っていたのだ。物語や設定資料の紹介、そして香港の漫画家による「私の愛する香港の片隅」などが展示されていて、ささやかながら愛らしい片隅であった。

次はapmから觀塘の片隅こと、裕民坊へ。
ここのマクドナルド(世界で一番売り上げが高かったという話を聞いたんだが果たして?)はすでに閉店し、入り口も閉鎖されている所も多い。4年前と同じように、屋上まで上がろうと頑張ってみたのだけど、時間も遅かったり体力も消耗していて今回は完登できず。うーむ、残念。

今度来る時、この建物がまだあることを願いながら、MTRに乗って港島へ向かう。
ちょうどりえさんのこんなtweetを見かけていたので、場所を調べて太古駅で降りた。

鰂魚涌はいつもトラムで通っていて、この表側(写真左奥のカーブになった建物)はよく見ていたが、この中が話題の「怪獣大廈」で、先の記事にも挙げたこのMVにも登場している新名所が中にあるとは全く思いもよらなかったね。

そして中に入ると、本当にフォトジェニックな風景であった。
6時頃に撮影したのだけど、曇ってしまったので、あまりきれいには撮れなかったねえ。こんな感じですが許してね。

 

帰りはトラムでのんびり、2時間位かけて帰った。
晩餐はananにも紹介されていた金沙冰室へ。
まずは熱檸檬茶。



そして、パンにカレーライスがライスごと詰められていると炭水化物満載な農夫一口包にしてみた。カレーはベーシックなチキンカレーなんだけど、ご飯と一緒に食べるからものすごく食べがいがあって完食が苦しい…。で、結局完食できなかったのでした。ちゃんちゃん。

こんな感じですごした香港2日目でした。つづくっ!

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春光乍洩單身修学旅行1・澳門編

 実に4年ぶりの香港に、春休みを利用して行ってきました。
前回の香港行きの後から広東語の勉強を再開し、昨年ひとまず修了したので、もっと勉強したかったけど、ここでやっぱりちゃんと広東語聞きたい、そしてなんとか喋ってきたい!と思ったのと、昨年度は仕事がかなり大変で凹んでいたので、ここはやっぱり行くしかないだろうと。しかも往路は深夜便で取っちゃったから、最初の1泊は10年ぶりに澳門行くかなー、ちょうど『2度めのマカオ』も観たことだし、ということで、思い切って行くことにした次第。

 3月24日夜、年度末最後の仕事を終えてキャリーバッグを持ち、盛岡から新幹線に乗って東京経由で羽田に向かう。往路深夜便は7年前にも経験しているけど、もう体力もあまりないし、実は体調も崩していたので、飛行機では寝ることに徹して出国してからトイレで楽な服に着替え、搭乗後はアイマスクして耳栓して機内食もスルーした。途中起きたりもしたが、何とか睡眠時間は確保。
5時ちょっと前に香港に到着し、トイレで着替えてここからマカオへ…と思ったらつまずいた。空港から直接マカオに入ろうと思ってフェリー乗り場に行ったところ、カウンターが開いておらず、ベンチで待ってる人々が鈴なり。そこでしばらく待っていたが、よく見たら一番速くて昼前出発だったので、これは一旦香港入りしてマカオフェリーターミナルから行った方がいいと判断。
7時前に入国してAELで香港島まで行き、よろよろしながらMTR乗り換えで上環に行き、8時半発のターボジェットに乗る。当日は土曜だったせいか、大陸からのご老人団体客が大量ご乗船されていて、もう大騒ぎで大変。 なんとか無事にマカオに着き、バスでセナド広場を過ぎたところで降り、本日の宿である新新酒店に荷物を預けた。
ここで時刻は10時過ぎ。チェックインは14時なので、それまで食べ歩きしながらセナド広場周辺をぶらぶら歩くことにした。


澳門上陸後最初に食べたのが、黄枝記の鮮蝦雲呑麵。
日本を発ってから何も食べてなかったので、五臓六腑に染み渡ったわ。



その後は歩いてカフェ・エ・ナタへ。ここはいつも大賑わい。なんとか席を確保して、この旅初のエッグタルトを熱檸檬茶とともにいただく。



裏にあったもう一つのカフェ、金船餅屋でもエッグタルトをテイクアウト。
これは食べ歩き用に。



聖ポール大聖堂を横に抜け、すっかり名所となった恋愛巷へ。
このアングルは、やっぱりイザベラを思い出すねー。



ここには恋愛電影館という映画ミュージアム&ミニシアターができたのだけど、まだ開館前だった。

雨も降って足場も悪かったけど、チェックインまで時間もたっぷりあったので、恋愛巷から前回も行ったリアルセナド(民政總署)や福隆新街を散策し、思い切って海の方まで歩くことにした。
↓こちら民生總署。



福隆新街。大手のお土産店である鉅記が複数出店していて、かつ土曜ということもあって大賑わい。一部緑に塗り替えられた一袋もあり、そこもまた悪くない雰囲気だった。



フェリーターミナルからの終点地にもなっている媽祖閣。
香港や台湾の天后廟と似ているようで異なるのは、山沿いに廟が作られているからか。上まで登ったけど、眺めは…まあ、昔はよかったんだろうなというような感じでした。

ここは媽閣廟から10分くらい歩いたところにあるリラウ広場の近辺。
そこからさらに歩くと、近年一般公開が始まった鄭家大屋に着きました。
コロニアル様式の建物もいいけど、中華式の重厚さもやはり好きである。
結婚式のアルバム等で使われるのかなー(当日は撮影なかったけど)

このように雨に降られながらあちこち歩いているうちに、チェックインの時間になったので再びホテルへ。夜行で来たし、午前中でかなり歩いたので疲れたし汗でベタベタにもなったので、シャワーを浴びて夕方まで寝ていたのでした。

晩餐はポルトガル料理かマカオ料理にしたいけど、10年前みたいな失敗はしたくないし、どこかイートインで食べられるところを…と思ってSNSで聞いてみたら、ザ・ヴェネチアンに手頃なイートインがあることがわかったので、ホテル前からバスに乗ってコタイ地区まで行く(ちなみにギャラクシーまでしか行かなかったので、そこで降りて10分ばかり歩きましたよ)
そういえば、10年前にはなかったんだよね、コタイという場所は…。

こちらがギャラクシー。『2度めのマカオ』で紹介されていたバー・貝隆飲み放題プランもひかれたけど、酒飲む気分じゃなかったのでパス。

こちらがヴェネチアン。フードコートにローカルなマカオ&ポルトガル料理店の新口岸葡國餐が出店していたので、ここで焗葡國雞を注文。骨付きチキンのポルトガル風シチューといえばいいのだろうか?骨が多いけど、辛さがなく食べやすかった。



デザートは別のお店で食べた木瓜冰糖雪耳。



食事の後はショッピングモールを散歩。ものすごく広いので大変だったけど、なかなか面白かった。コンサートホールの金光綜藝館近く(多分。この夏學友さんが演唱會やるらしい)ではよくわからん韓国アイドルのライヴを控えて若い女子がいっぱいいた。カジノはサラッと覗くだけ(後で母に話したら行ってやりたいって言ってたけど、さすがにこちらは貧乏トラベラーなもんでね)。
あと、広東語よりも普通話の方がよく聞こえたのが印象に残った。まあ、そういうことか、と。

腹も満たされたのでヴェネチアンを出て、またギャラクシーまで歩いてバスを捕まえ、ホテルに戻る。かなり歩いたし、疲れてもいたので早めに就寝。

3月26日日曜日、この日も天気はあまりよろしくなかった。
早餐はやっぱりお粥よね、ということでセナド広場の奥にある洪記へ。

朝7時頃の雨のセナド。観光名所とは思えないほど静かだった。

そんなわけで豬潤瘦肉粥。雨降りの中、屋台のテントに潜り込んで熱々を食べる嬉しさよ。

この日は昨日の夜よりもっと南に下り、コロアン地区を回ることにした。
タイパも行きたかったけど、まあ次の機会にでもと今回はパス。
ホテル近くからは直で行けるバスがなかったので、タクシーを拾って向かった。

コロニアル調で統一された建物がステキ。ザビエル教会もあれば譚公廟や天后廟もある中洋折衷感が面白い。調べたらホステルもあるようで、ここで宿泊というのもアリなのかな?

これは譚公廟にあった船の模型。

当日は日曜なので公共機関も休みだし、雨で人出も少なかった。晴れた日に来ればまた雰囲気が違うのだろうな、と思い、クルッと回ってバスターミナル周辺に戻り、お馴染み安德魯餅店でエッグタルトやブラウニーを買う。

アンドリューのエッグタルトという名で日本でもお馴染み。
先日地元にもイベント出店してくれたので買ったけど、やっぱり焼きたてが一番美味しい。

コロアンの桟橋。川の向こうは珠海。
ここから境界を越えるのではなく、市街地に船で行ければ便利かな。

だいたい一周りしたので、バスに乗ってセナド広場まで戻る。
これまで歩いたことがなかった山間の市街地をぶらぶらしつつ、openriceで午餐できそうな場所を探すと、新鴻發咖琲美食というお店を見つけたので、ここで豬扒包を食べた。
食べごたえある…。

相席は小さな男の子を連れた若いお母さんだった。思わずにっこり。
その後は盧廉若公園あたりをあれこれ散歩。
(下の写真は違うんだけどね。名前失念)

そこからモンテの砦まで歩けてしまったので、登って10年ぶりににこういうバカなことをやり(前回はこちら)、聖ポール天主堂側に抜けた。当たり前だが人は多かったわ。日曜だったしね。

セナド広場まで降りてきたので、さてお土産を買うか、と件の鉅記に入ったが、どこのお店も買い物客がすごすぎて、ゆっくり選べたものじゃない。それならと、10年前に来た時にはこっちの方が混雑していた咀香園餅店に入って(リンク先はタイパのお店)、エッグロールをいくつか買った。

ホテルへの帰り道に貢茶に寄り(そういえば春水堂は見かけなかったな…)三兄弟奶茶という、タピオカ&仙草&プリン入りのミルクティーをテイクアウト。すでにチェックアウトしていたので、荷物を引き取ってキャリーを詰め替え、教えてもらったバス停からフェリーターミナルヘ。混んでいたので予定より遅い18時発のフェリーで香港へ向かった。

10年ぶりに行った澳門だけど、前回は日帰りだったしセナド周辺しか歩いてなかったので、新しくできたコタイや小さな港街だったコロアンに行けたのは面白かった。それでもごく一部しか回れなかったので、また近いうちに1泊か2泊くらいで行きたい。今回は天気が悪かったのが残念だったしね。

そんなわけで、次回からは香港編です。

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